ICDAホールディングス 取締役の不正行為(着服) 決算発表延期

ICDAホールディングスは2/1、「当社元役員による不正行為発覚に伴う特別調査委員会設置並びに2024 年3月期第3四半期決算発表の延期及び当該四半期報告書の提出期限の延長申請の検討に関するお知らせ」を公表しました。

ICDAホールディングス

ICDAホールディングスは三重県内でホンダの新車販売店、および各メーカー車種を扱う中古車買取・販売店を中心に展開する企業。このほか、輸入車の新車販売店の運営、自動車リサイクル事業も手掛ける東証スタンダード上場企業です。

不正の概要

2023年11月から実施されている同社子会社に対する税務調査及び社内調査の過程で、同社元役員が2016年4月から2023年10月までの期間において、中古車の買取取引等を利用して金銭の着服を行ってきたことが判明したといいます。

現時点において同社は、元役員による自供により判明した本件不正行為の事実関係及び手口を認識しており、これまでの税務調査及び社内調査により判明した元役員の着服金額は、累計約270百万円と推定しているとのこと。

ここでいう認識している「手口」なるものについては、今回の開示では説明されていません。特別調査委員会を設置して、事実関係、類似する事象の有無を調査するとしています。

スタンレー電気 海外子会社での送金詐欺で特別損失34億円

スタンレー電気は1/31、「当社アジア大洋州グループ会社における資金流出事案について」を公表しました。同社のアジア大洋州グループ会社において、悪意ある第三者による虚偽の指示に基づき資金を流出させる事態が発生したということです。

スタンレー電気

スタンレー電気は、四輪・二輪用の照明製品を手がける自動車機器事業を主力とし、自動車用照明器大手の一角を担う企業。環境にやさしいエコ製品のLED(発光ダイオード)ヘッドランプやLEDリアランプの受注拡大を推進中の東証プライム上場企業です。ホンダ向けの売上比率が高いようです。

事案の概要

発生時期は2023年12月上旬から2023年12月中旬とされており、損失見込額は最大 約 34億円だそうです。いわゆる送金詐欺とか、ビジネスメール詐欺と呼ばれる類の犯罪に巻き込まれたということのようですね。

関係各国の捜査機関に対し被害の報告を行っており、捜査上の機密保持のため、現時点ではこれ以上の詳細の開示は差し控えるとしています。また外部弁護士3名にて構成される調査委員会を組成したことも付記されています。

しかし、34億円はデカいですねぇ。先日当ブログでも取り上げたスリー・ディー・マトリックスは、約2億円の損失でした。まぁ、会社のサイズが違うものね。少しだけ疑問を持ち、念のための確認ができれば避けられる詐欺なのに・・・。

愛媛銀行の元パート職員の女 顧客の金を盗んだ疑いで逮捕

少し前になりますが1/23、顧客の金1,900万円あまりを着服したとして懲戒解雇されていた元愛媛銀行のパート職員の女が、このうち1人から現金30万円を盗んだ疑いで警察に逮捕されました。銀行や保険の営業職による顧客資金の着服、なくなりませんねぇ。

愛媛銀行

愛媛銀行は愛媛県松山市に本店を置き、愛媛県を中心に支店展開する地方銀行です。愛媛県の地域金融機関としては、預金量、貸出残高ともに伊予銀行に次ぐ第2の規模。元は相互銀行ですね。現在は東証プライム上場企業です。

不正の概要

この着服事件については、昨年11/17、「不祥事件の発生について」で愛媛銀行も公表していました(適時開示はなし)。同行吉田支店のパート職員(女性:50代)が、2018年7月から2023年10月までの間、教育費や仕送り、他行他社の借入返済等を賄う目的で、顧客宅を訪問した際、キャッシュカードを預かり、ATM から出金するなどの手口で着服していたということです。

被害者は8名の顧客で、被害金額は累計で19,332千円だそうです。・被害に遭った顧客の家族からの問合せを受け昨年10月に発覚しました。当該元パート職員は、同月末日付にて懲戒解雇となっています。被害金についは、愛媛銀行が全額弁済し、警察には被害届を提出したとのこと。

8人の顧客って、やっぱり高齢者なんでしょうね。孤独な老人に、「こんなに優しく接してくれるのはこの人だけ」って感じだったのかな。つけ込んで着服する奴が悪いのは間違いないけど、高齢者をそんなふうにほったらかしにしてる家族もちょっと考えないとね。

株式会社JERA 愛知県武豊町の武豊火力発電所で爆発・火災事故

1/31、午後3時10分ごろ、愛知県武豊町の武豊火力発電所で爆発火災事故が発生しました。爆発は建物13階のボイラー施設内で起きたとみられ、燃料を運ぶためのコンベヤーなどからも出火したということです。

JERA

JERAはエネルギー事業を営む日本の株式会社。東京電力フュエル&パワーと中部電力との合弁企業で、日本国内の火力発電・ガス事業が中心です。液化天然ガス (LNG) の取扱量は世界最大級だそう。両社の出資比率は50%となっています。

事故の概要

この武豊発電所は石炭や木質バイオマスを燃料とし、最大出力は107万キロワット。爆発を受け、同3時半ごろ、発電機の運転を停止しました。バイオマス燃料の一時保管場所が火元とみられると公表しています。幸い人的被害はありませんでした。

この発電所は、設備が老朽化していたこともあり長期停止予定だったそうですが、東日本大震災で原子力発電が停止に追い込まれる中で、再起動させたものだったようです。かなり無理して運転してたんですね。

JERAは武豊火力発電所での事故をふまえ、同様の木質バイオマス燃料を使用する碧南火力発電所(愛知県碧南市)および常陸那珂火力発電所(茨城県那珂郡東海村)において、設備の安全性を確認する緊急点検を実施するとしています。

東北・上越・北陸新幹線 停電事故について

1/23に発生した停電トラブル。東北新幹線が東京―仙台間で、上越・北陸新幹線が東京―高崎間で終日運転を見合わせるなどして、計283本が運休、計約12万人に影響しました。復旧に当たった作業員が感電して負傷したっていう話もありましたね。

事故の概要

事故を受けJR東日本は、「東北・上越・北陸新幹線 架線故障による運転見合わせに伴う点検と対策について」を公表しました。架線垂下、架線張力を調整する滑車式自動張力調整装置(WTB)の重錘ロッドが破断し、垂れ下がった架線下を列車が通過したことで、車両のパンタグラフおよび架線金具が損傷。架線からの異常な電気を検知したことで、停電発生に至ったということです。

問題

今回の開示文では見当たらないのですが、報道によると、「破損した架線の重り装置が交換の目安となる30年を超えて使われていた」、「同社管内の新幹線にある同様の装置約490カ所のうち、半数に当たる約250カ所が同様に30年を超えている」ということらしいです。

この「交換の目安」というのがどういう位置付けの規制なのか分かりませんが、一応決められた目安がありながら、それが無視されてきたという事実は非常に問題だと思われます。

今回の事案は「停電事故」と表されることが多いようですが、場合によっては人的被害の出る大きな事故になってたかもしれません。原因となった装置の点検や交換は当然ですが、組織の中に上記のような気の緩みが出ていないか、全社早急に確認する必要があります。