ダイハツ工業 新社長就任 それでもトヨタから

車の安全性を確認する試験で25の試験項目に及ぶ不正をしていたダイハツ工業。どうやら新しい社長が決まったようです。やはりというか、それでもというか、トヨタの人ですね。トヨタ自動車中南米本部の本部長をしていた方とのこと。

会見で新社長は

人事を発表した記者会見で新社長は、「就任後に最初に取り組みたいのは社員と直接会話をすることだ。販売の第一線の人たちとコミュニケーションをとり、元の体制に戻しながら新しいダイハツへの再生を進めたい」と述べていました。

現場の人間と直接会話する。非常に大事なことです。しかし、実際に現場のダイハツプロパーの従業員がどこまで本音で語ってくれるのか。まずはそこで躓くものなんですね。毎度毎度トヨタから社長がやってきて、無理難題を押し付けてきました。従業員たちはイエスマンになるしかなかったわけです。

今回の新社長にしても同様。従業員の心を開かせて真剣に語り合えるなんてのは、まぁ言ってみれば幻想です。新社長はトヨタの方を向いている人なのか、本当にダイハツに向き合ってくれそうな人なのか。従業員たちはそこを注視しながら、新社長との距離を測っていくでしょう。

しかし、ダイハツプロパーの新社長って線はなかったんですかね。あれだけ長期間トヨタからの天下り組に蹂躙されてきましたからねぇ。骨のある経営層や管理職層ってのはもういなくなってたかもしれません。

今回のトヨタによる記者会見、いつもどおり素晴らしい会見になってますが、こういうのを聞きながら日野や豊田自動織機、ダイハツと不正発覚が続いてきましたからね。新社長就任でダイハツが生まれ変われると思ってる人、どれくらいいるんでしょう。

ラックランド 今度は代表取締役社長の接待費等に関する不正?

ラックランドは2/14、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。昨年二度の不正が発覚したラックランド。東京国税局による税務調査の過程において、同社代表取締役社長の接待交際費等について、不適切な会計処理の疑いが生じたとのこと。

これまでのおさらい

ラックランドは店舗施設の制作会社。商業施設や小売・飲食店舗をはじめ、各種施設などの企画開発、デザイン、設計、施工、メンテナンスサービスなど一貫対応する企業でしたね。

昨年5月、同社が手掛ける制作案件において、工事原価に関する下請け工事業者からの見積書の電子ファイルが変造されていたという不正が持ち上がりました。そしてさらに、この事案を調査している最中の6月、協力会社との間で原価の付け替えに係る不適切な要請などが行われたという会計不正も出てきました。

3度目は社長?

そして今回の開示では、東京国税局の指摘により、同社代表取締役社長が接待交際費等として精算申請を行った費用の一部について、科目処理の誤り等の不適切な会計処理の疑いが生じたとしています。

社内調査により、接待交際費等の一部について、同社代表取締役社長が精算申請時に申告した情報に、事実と異なる内容が含まれていたこと等が判明したということです。社長が相手だもんねぇ、本格的な調査委員会が必要になりました。しかしまぁ、次から次へと、、、大丈夫かいな、この会社。

中部水産 架空取引が発覚? 特別調査委員会を設置

中部水産株式会社は2/9、「特別調査委員会設置並びに2024年3月期第3四半期決算発表の延期及び当該四半期報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ」を公表しました。第一報ですが、併せて特別調査委員会のメンバーも公表されています。

中部水産株式会社

中部水産は、江戸時代に始まった熱田魚市場の流れをくむ名古屋市中央卸売市場が拠点の水産物卸売会社。全国の生産者などから生鮮、冷凍、加工水産物の販売の委託、または買付を行い、せり売りなどの方法で仲卸業者などに販売しています。名証メイン上場企業です。

不正の概要

開示の冒頭では、「取引先が過年度より、当社に対し実在性のない架空取引を行っていたことが判明した」、と書き出しています。さらに、「2019 年頃から、当社と取引先との間で発生した不適切取引の可能性があることが判明いたしました。」としており、事実関係及び当社の業績に及ぼす影響は未だ明確でない点があり、現在調査中といいます。

開示された情報はここまで。一旦「架空取引」と書いてるんですが、あくまで主語は取引先としており、同社としては被害者であることを訴えているかのような表現。架空取引だったら普通、両社ともに不正を働いてると思うんですが、、、書き振りが気になってしょうがありません。

建設技術研究所 また? 不適切な原価管理が発覚

建設技術研究所は2/9、「2023年12月期決算発表の延期及び社内調査委員会設置のお知らせ」を公表しました。同社が受託している業務に関し、不適切な原価管理が発生した疑いがあることを認識したということです。

建設技術研究所

建設技術研究所は河川、ダム、道路、環境、情報など公共事業に関する総合建設コンサルタントの大手。国土交通省が発注するインフラプロジェクトに強味を発揮する、東証プライム上場企業です。実はこの企業、当ブログに登場するのは3回目。またですかぁ、って感じです。

不正の概要

同社が受託した業務の遂行において生じた人件費等を、当該業務に計上せず、別業務に付け替えた旨の従業員からの申告があったということです。付け替えた費用の詳細については、現在精査中としており、今回の開示ではこれ以上の情報はありません。

2021年には、架空発注で資金を還流させるという従業員の不正行為が発生。そして2023年8月にも従業員の不正が。いずれもかなり長期間続いた不正でした。そのたびに調査委員会を設置して改善してきたはずですが、未だその成果が表れているとは言えません。

原価管理の問題としていますが、他にも問題を抱えているのではないか、こうしたことが起こる背景に何があるのか、、、「従業員の不正」だけで終わらせることなく、今回こそ膿を出し切らないとね。

マーチャント・バンカーズ株式会社 適時開示に関する疑義 第三者委員会設置

マーチャント・バンカーズは2/9、「第三者委員会設置及び過去に公表した開示内容の経過等に関するお知らせ」を公表しました。過去の適時開示に関する疑義について社内調査を行ってきた結果、徹底した事実関係の調査並びに原因究明を行うため、第三者委員会を設置することになったということです。

マーチャント・バンカーズ株式会社

マーチャント・バンカーズは、国内外の企業および不動産への投資を行うマーチャント・バンキング事業を基幹に、ボウリング場などを運営するオペレーション事業を展開。投資活動による収益追求と安定収益基盤の構築の両立を目指す東証スタンダード上場企業です。

適時開示に関する疑義

公表時点では業務委託契約に係る基本合意を締結していたものの、最終的に業務委託契約の締結に至らなかったケース。業務委託契約等の締結に至ったものの、当該業務委託契約等がすでに終了しているケース。開始した新規事業がその後に廃止あるいは中止となっているケース。こうしたケースにおいて、それらの経過が適切に開示されていない事案等が複数発覚したとのこと。

簡単にいうと、市場で好感されそうな好材料はどんどん開示するんだけど、それが不発になった場合などの悪材料は開示してこなかった、ってことでしょうね。投資家にとってこれは非常に迷惑な開示姿勢です。過去の株価推移を見ても、何かしらの好材料で短期間に株価が2倍、3倍に上昇し、あっという間に下がってくるという展開が何度か見られます。

好材料で株価を煽って高値を売り抜ける。仕手株によくみられる動きです。継続開示の問題にとどまらず、相場操縦やらなんやら、意外に大きな事案に発展するかもしれません。