パナソニック ホールディングス子会社 電子材料で認証不正 外部調査委員会を設置

パナソニック ホールディングスは1/12、「当社電子材料製品における第三者認証に関する不正行為および外部調査委員会の設置について」を公表しました。適時開示はなく、同社ホームページでの公表です。

パナソニック インダストリー

パナソニックは映像・音響機器、白物家電、住設機器、住宅事業など幅広い事業を手掛けている日本を代表する総合家電メーカー。半導体などの電子部品、FA関連など企業向けのビジネスも展開する東証プライム上場企業です。昔の松下電産ですね。

不正の舞台となったのは100%子会社のパナソニックインダストリー。上場企業ではありませんが、従業員数42,000人と立派な上場企業サイズの会社です。

不正の概要

電子材料事業部が製造・販売する成形材料、封止材料および電子回路基板材料の52品番において、米国の第三者安全科学機関であるUL Solutionsの認証登録等の際、複数の不正行為を行っていたということです。最近他社で何度も見てきた不正のパターンですね。

認証時と異なる配合の製品、認証登録時のデータ改ざんなど、ここ最近樹脂メーカーがやってた不正とほとんど同じです。現時点で分かっている当該不正を行っていた工場も海外も含めて多数。会社ぐるみで続けてきた不正と言わざるをえません。外部調査委員会を設置して調査を行います。

JAL(日本航空) 新社長にたたき上げのCAさん 鳥取三津子氏

JAL(日本航空)は1/17、「2024 年4月1日以降の社長の交代等について」を公表しました。なんと新社長は元CAさん。元旦に発生した日航機事故で、約400名の乗客を誘導、救出したお手柄のCAさんでしたが、そのCA出身の女性が新社長です。

事故の直後だけに

顧客全員が生還したという奇跡の直後だけに、この社長人事はインパクト大ですね。JALがそういうことを企図したと勘ぐるのはやめておきましょう。ただ、顧客の命を守る最後の砦がCAであること。そして航空会社にとっては最も近くで顧客と接するCAこそが最重要職なのかもしれません。そう考えるとCA経験者がトップに就くというのは納得感があります。

CA一筋

新社長の略歴をみると、1985年にJALに入社。マネジャーに昇進されたのが2005年となっていますので、おそらく20年間一線のCAとして活躍されたようです。当時の男社会では、入社から10年~15年で初マネジャーって感じでしたから、女性というだけでかなり苦労されたんでしょうね。

その後はダイバーシティやらなんやらで女性に対する社会の対応も変わってきました。2020年には執行役員、今年4月には専務に昇格されています。そして、まさにたたき上げのCAさんが社長就任です。顧客の目線を一番理解する元CA、社内に与えるインパクトも大きいでしょう。いやぁ、期待したいですね。

スターゼン 従業員による循環取引 調査結果

スターゼンは1/15、「特別調査委員会の調査結果報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。スターゼンはマクドナルドにハンバーガーパティも提供する、食肉の処理加工、製造、販売まで一貫して手掛ける食肉専門商社です。

循環取引

調査の対象となっていた架空循環取引は、どうやら一従業員による行為だったということのようです。2019年3月期から23年4~9月期までの売上高で計5億8,200万円、売上総利益で計2億3,400万円かさ上げされていたということです。

発生原因

この手の不正は、その業務に従事する従業員が業務を任せられ、長期間異動なく従事していたために発生してしまった、というのが定番。同社も同様で、行為を行った従業員はスターゼンに新卒採用として入社以来、2023年11月6日まで一貫して不正の起きた拠点にて稼働していたとのこと。

まぁ、こういう環境で上席者(管理するべき立場の者)がしっかりしていないと、拠点の成績を維持し、または向上させるためにこんな不正が起きるわけです。

スターゼンでは、2018 年頃、伝票の先送り事案や架空伝票発行等の不祥事が複数発生したことを受け、営業担当と取引先が長年にわたり固定されていることによる癒着等を解消するためのジョブローテーションが取り入れられていたそう。にもかかわらず、なぜ今回の事案が起きたのか。形だけは作ったけど、実効性がなかった?。これまたよくある話です。

イートアンドホールディングス(大阪王将)ナメクジ事件に工場火災

イートアンドホールディングス(大阪王将)は1/10、「当社グループ関東第一工場における出火に関するお知らせ(第二報)および業績予想の修正に関するお知らせ」を公表しました。工場火災の影響で、2024年2月期の業績を下方修正するという内容です。

下方修正

関東第一工場の設備および関連費用等について、1,400 百万円の特別損失を計上する見込みとのこと。そのため、450百万円を予想していた純利益が700百万円の損失となるということです。もちろん、保険が適用されて2025年2月期には特別利益を計上するわけですが。

偶然じゃない事案の連鎖

大阪王将では1年半前にナメクジ事件(仙台のお店)が話題になり、保健所が調査した結果、「湿気の多い季節に外部からの侵入があった」と認める結果を出していました。他にも無断でネコを店舗の屋外で飼育していたなんて話も。これらを含め保健所は全12項目の改善点を指摘したとのこと。

そして今回の工場火災。現場に対するガバナンスが効いていないことが、次々と目に見える形となって発生してしまっている感じです。工場火災についてはこれまで第一報と第二報が公表されているんですが、いずれも発生原因が記載されていません。

消防当局や機械類の専門家の調査によりやっと原因が特定できるものでしょうから、発生から一か月経っても調査中というのはよくあること。しかし同社の開示では「発生原因」という項目すらありません。原因があるからこそ結果があるわけで、その原因こそが経営が対処するべき課題。こんなところにもガバナンスに関する同社の無関心さを感じますね。

SBI証券 金融庁が一部業務停止命令と業務改善命令

金融庁は1/12、「株式会社SBI証券に対する行政処分について」を公表しました。日経は同日の朝刊でフライング記事を掲載していましたね。いつものリーク記事です。行政処分の内容は、一定期間の一部業務停止命令と業務改善命令の二つです。

業務停止命令

執行役員兼機関投資家営業部長及びIFAビジネス部管掌執行役員らが、エクイティ・キャピタル・マーケット部管掌常務取締役や執行役員と相談し、香港現地法人の社員(機関投資家営業部員が兼務)及びIFAビジネス部員等に対し、顧客に新規公開時に公募価格と同価格の指値で当該株式の買付けを行うことを勧誘させていたというもの。

こうしたいわゆる初値買付の勧誘や実行について金融庁は、金融商品取引法で禁止する「作為的相場形成」にあたると認定したということです。役員が株価操作を主導するなど悪質性が高いと判断し、一定期間の新規上場銘柄の勧誘・受託業務を停止させます。ん~、これってちょと甘すぎないか?

いつか来た道

大手証券会社も以前は盛んにこの初値形成に積極的に関与する行為を行ってきました。いや、今でもやってるところあるかもしれませんね。要は「マーケットで自然に形成される株価を人為的に操作等しちゃだめよ」って法律。ブロックオファー対象銘柄の終値を買い支えていた日興証券と根っこはまったく一緒です。

前にも書いたけど、この事件を受けたIFAに対する世の中の評価ってどうなってるんでしょうね。