日本ゼオン 子会社元社長が贈賄容疑で逮捕

日本ゼオンは9/21、「当社グループ企業の前社長の逮捕について」を公表しました。国立がん研究センター東病院で使用する医療機器を巡り、業者側に便宜を図る見返りに現金約170万円を受け取ったとして、元医長が収賄容疑で逮捕された件です。適時開示はされていません。

ゼオンメディカル

同事件で贈賄の容疑で逮捕されたのが、日本ゼオンの子会社で、医療機器を製造・販売するゼオンメディカルの元社長。同社は、合成ゴムの大手メーカーで、特殊ゴムでは世界トップシェアを持つ東証プライム上場企業、日本ゼオンの子会社です。

事件の概要

同病院で使用する胆管用の医療機器を巡り、2020年度中にゼオンメディカルが販売する製品を他社より優先して使用するなどし、謝礼などとして21年5月ごろに現金約170万円を受け取った疑いだそう。

発覚の経緯

日本ゼオンのホームページでのお知らせによると、「ゼオンメディカル株式会社では、医療機関等に対する不適切な金銭の提供の疑いを内部で把握した後、外部の法律事務所の支援を得た社内調査を実施し、その結果を踏まえ、医療機器業公正取引協議会に報告するとともに、警察にも相談し全面的に捜査に協力してまいりました。」ということらしいです。自主申告ってこと?

とまぁ、ここまでは良かったんだけど、その後、「自社製品の調査協力への謝礼として医師に金銭を支払うスキームは、贈賄側のゼオンメディカルが発案しており、会社ぐるみで賄賂の提供が行われていたとみられる」、、、なんて報道も出てきています。

ビジョナリー(メガネスーパー) 再び監理銘柄(確認中)に指定

少し前になりますが、ビジョナリーホールディングスは9/13、「2024 年4月期第1四半期報告書の提出遅延並びに当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ」を公表しました。実際に同日、東証は同社を監理銘柄(確認中)に指定しています。

上場廃止までの猶予期間

先日も取り上げたように、同社は取締役の不正への対応でバタバタし、8/30にやっと、遅れていた2023年4月期有価証券報告書の提出を完了。監理銘柄(確認中)の指定が解除され、特設注意市場銘柄の指定を受けて、上場廃止までの猶予期間が今後1年間に伸びたところでした。

ところがホッとしたのも束の間、今度は2024年4月期第1四半期報告書の提出が、期限の9/14までに提出できないことになりました。そのため、再び監理銘柄(確認中)に指定されたということです。10/16までに四半期報告書が提出できなければ、上場廃止となります。つまり、1年後とされていた上場廃止までの猶予期間が再度1ヶ月になってしまったということ。

遅延の理由

四半期報告書提出の遅延の理由は、「9月に入ってから実施されている監査法人間の引継ぎ及び2024年4月期第1四半期レビューにも相応の時間を要することが見込まれるため」としています。同社は監査法人が交代したんですね。しかし、大丈夫。新しい監査法人は不可能を可能に変える監査法人なので。

アマナ(amana) 事業再生ADRを申請・受理

広告制作などを手掛けるアマナは9/20、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の利用を事業再生実務家協会に申請し、受理されたと発表しました。不適切会計が行われていた事や内部管理態勢などが不十分として、東証から特設注意市場銘柄の指定を受けていました。

事業再生ADR

事業再生ADRとは、経営が傾いて資金繰りに行き詰まった企業が、公平な第三者機関を挟んで債権者と協議し、事業再生を目指す方法のこと。当該機関への申請が受理されました、という開示ですね。

受理したのは第三者機関ですから、このあと第三者機関を挟んで、債権者に「返済を一時停止・免除して貰えないか」をお願いすることになります。開示では取引金融機関との第1回債権者会議を9/29に開催する予定としています。ここが第一関門。

上場廃止

事業再生ADRを申請し、そのもとで事業再生することになったからといって、即上場廃止となるわけではありません。しかし、そもそも東証からは期限を切って上場廃止の猶予期間を宣告されてますし、株価の時価総額が10億円以下になった場合などでも上場廃止となってしまいます。

高い技術力や生産設備などを持っている企業であれば、強力なスポンサーが現れて、一気に再生へってケースもありますが、この会社の場合はどうなんでしょう。今回の開示、上場廃止へのカウントダウンが止まったわけではありません。

金融庁、損保ジャパンに立ち入り検査 金融庁の検査とは

金融庁は9/19、ビッグモーターの保険金不正請求問題を巡り、ビッグモーターと損害保険ジャパンへの立ち入り検査を始めました。両社の関係者にそれぞれ聞き取り調査をして、実態把握を進めていきます。

金融機関への検査

金融庁は既に行政処分を行うことを内定していると思いますが、実際に処分を下すために必要な証跡を集めるのが今回の検査の目的だと思われます。もちろん、検査の過程で新たな問題が出てくることもあるでしょうが、おそらくその辺りの話題は普通公表されません。

この立ち入り検査ってのが受ける方にとっては物凄い負担なんですよね。検査官が30人入るとすると、30人が調査を行えるサイズの会議室を用意。リクエストされた人数分の机や椅子、PCも。プリンター、コピー機なども準備し、社内システムへのアクセスも許可します。社内システムの使い方なんかのレクチャーも大変。ほかに、役職員を面談する部屋なんかも用意します。

検査期間は通常1~2ヶ月だと思います。30人のうちの多くの検査官が常駐するわけで、喫煙スペースや自動販売機コーナー、社員食堂などで偶然役職員が検査官に遭遇することもあります。そんな場面で聞かれては困る話なんかが出ちゃったりしないよう、社員教育も徹底します。

会社側では検査対応の専任部署が設けられ、リクエストのあったデータや書類を用意して検査官室に持ち込んだり、面談を受けた者の面談記録を整備したりなど、その人たちはほぼ通常業務ができなくなります。検査を受ける会社にとっては経済的な損失はかなり大きなものになるため、事前に行政処分できるという見込みがたってからでないと、なかなか乗り込めないんですよね。

大林組 大成建設 中央区八重洲のビル建築現場で鉄骨落下事故

9/19午前9時25分ごろ、東京都中央区八重洲のビル工事現場で、クレーンで吊り上げていた鉄骨が落下するという事故が発生しました。この原稿を書いている時点で2人の方が亡くなり、1人が意識不明の重体だということです。当初警察の発表が日本橋と誤報していましたが、八重洲です。

八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発

現場は東京駅の八重洲口。八重洲通りと桜通りに挟まれる地区。八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発と呼ばれる現場です。実はkuniは20年ほど前、この再開発地区で働いていたことがあるんですよね。雑居ビルが立ち並び、1階には居酒屋やら食事処がたくさんある街並みでした。

大林組・大成建設のJV

この再開発は事務所や飲食店舗、劇場、集会所、診療所、共同住宅、駐車場などで構成する地上51階、地下4階、高さ249.72m、延べ面積約225,000㎡の超高層ビルを建てようというもの。設計は大林組、施工は大林組・大成建設JV。 2025年3月に竣工する予定でした。

建設業界 最近おかしいよね

このところ建設業界では設計不良や施工不良などの話題が絶えません。時間外労働の上限が規制されるなどの変化が起きる2024年問題。そのタイミングまでに「なんでもあり」で工事を急がせ、工事を終わらせよう・・・といった焦りが業界全体にあるのでは。と感じていました。

そしてとうとう人命にかかわる大きな事故が発生したわけです。建設業界の皆さん、大丈夫ですか?急いては事を仕損じますよ。