ディスカウントスーパーの「オーケー」 値下げ分の補填を業者に要請

8/11付の日本経済新聞は、「オーケー、値下げ補填を業者に要請 公取委調査受け中止」と報じました。なんでここだけこんなに安く販売し、こんなに勢いがあるんだろう。そんなスーパーでしたが、やはりその裏にはこういう不正が存在したという話。ビッグモーターと一緒です。

オーケー

「オーケー」は、神奈川県に本社を構えるディスカウントスーパー。会社設立は1967年、現在資本金28億円という企業です。従業員数は1万6千人を超え、売上高は5,500億円。関東を中心に142店舗を運営しています。これだけの規模、ネームを誇りますが上場企業ではありません。

今回調べて初めて知ったんですが、創業者一族はなかなか名門のよう。同社の創業者は三男で、長男は父親の事業を継ぎ、次男は居酒屋チェーン「天狗」のテンアライド最高顧問。そして四男はセコムの最高顧問なんだそう。凄いね。

不正の概要

公正取引委員会が独占禁止法上の優越的地位の濫用の観点で調査を進めてきたようで、この調査を受けオーケーは7月、取引先や公取委に対して、「競合店対抗値下げに伴う補填要請を取りやめた」と報告したそうです。数年間続いていたとされる不正、ゲロしてすべてを終わらせようとしたんですね。

日経がオーケーに対する取材で掲載していたコメントが笑えます。「公取委の問い合わせを機に見直しを行い、補填を取りやめることにした。今後ともコンプライアンスを一層徹底していく」。いやいや、「今後とも」じゃなくて、「今後は」でしょ。

株式会社ダイレクトマーケティングミックス 従業員の不正行為で決算発表延期

ダイレクトマーケティングミックスは8/9、「2023 年 12 月期第 2 四半期決算発表の延期及び第 7 期第 2 四半期報告書の提出遅延(見込み)のお知らせ」を公表しました。7/18付けで「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表していたんですね。見落としていました。

株式会社ダイレクトマーケティングミックス

ダイレクトマーケティングミックスは、ダイレクトマーケティングを中核事業とし、ダイレクトマーケティング業務で蓄積したノウハウや人材を活用したコンサルティングやビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)、人材派遣等も手掛ける東証プライム上場企業です。

不正の概要

同社の連結子会社である株式会社マケレボが受託しているアウトバウンドコール業務(お客様への架電業務)の一部において、顧客企業より業務運営に関する調査依頼が寄せられ発覚したようです。

マケレボにおいて、社内関係者へのヒアリングや稼働実態の確認、請求内容との照合といった社内調査を行ったところ、マケレボ社従業員が顧客企業の指定する業務管理システムのログイン履歴を不適切に作出したことによって、請求額が過大となっている疑義があるということです。

特別調査委員会を設置してから既に1ヶ月近く経っていますが、調査結果を同社として受領できるのは、現時点において早くとも10 月中旬(10月12日頃目途)になる見込みなんだそう。まだあと2ヶ月ですかぁ。こりゃ大変そうだ。今回の開示を受けて株価の方もメチャ下げてて、こちらも気になるところです。

高砂熱学工業株式会社 従業員の不正行為

高砂熱学工業は8/9、「当社従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。2018 年~2022年度の期間で、複数の従業員が架空の経費計上により、私的使用を目的に物品を受領していたということです。同社の損害額は総額約 15 百万円になるとのこと。

高砂熱学工業株式会社

高砂熱学工業は、空調設備工事業界のリーディングカンパニー。売上規模、高い技術力を背景とした取得特許件数は空調設備工事業界トップで、設計・施工、メンテナンスまで、空調を軸とした総合的なシステムエンジニアリングを提供する東証プライム上場企業です。

不正の内容

開示されたのは冒頭に書いたことぐらいです。年度の経費執行状況の検証過程において、過大な支出に疑問を抱いた担当者からの報告を受け、社内調査を行った結果、判明したんだそう。不正行為を行った当該従業員に対しては損害の回収を進め、社内規程に則り厳正に対処するとしており、今回の開示をもってすべてを終結させるようです。

「複数の従業員」って何人?役職とかは? 「私的使用を目的に物品を受領」ってどういう意味? 「過大な支出に疑問を抱いた」とあるけど、4年間も気付かなかったんだよね。などなど、突っ込みどころ満載のまま終わらせちゃっていいもんかねぇ。

同社では、北陸新幹線関連工事で談合事件起こしたり、羽田空港の天井手抜き工事なんかが話題になりました。いい加減な対処しかしてこないもんだから、不正の体質が抜けないんだよね。

SOMPOホールディングス株式会社 社外調査委員会を設置?

SOMPOホールディングスは8/7、「ビッグモーター社による不正事案に関する第三者からなる社外調査委員会設置のお知らせ」を公表しました。えぇ~?、なに、今さら調査委員会ですかぁ。既に金融庁やら消費者庁が動き出してるのに、お抱え調査委員会で何をしようと?

てっきり

金融庁が動き出したあたりで、もう勝負付いたんじゃない?って感じで見てました。悪質かつ摘発困難な違反行為について、強制調査を含む強力な権限を行使して事案を解明していくんだよね。さらに、その刑事責任を厳しく問うべく検察官に告発し、検察が捜査を開始・・・って流れを想定してたんですが。

タイトルも

開示のタイトルが、「ビッグモーター社による不正事案」となってますね。自分たちの悪事は常に「不適切な事案」なのにね。すべての責任をビッグモーターに擦り付けて、自分たちは善管注意義務に欠けていた、くらいの落としどころを探ろうってとこかな。

先に損保ジャパンで立ち上げていた社外調査委員会は、今回ホールディングスが設置する社外調査委員会に移行するんだそう。もうそんなに無駄なコストかけなくていいんじゃない?この手のコストも保険料にのせてくるの?

株式会社建設技術研究所 従業員の不正行為で社内調査委員会設置

建設技術研究所は8/4、「決算発表の延期及び社内調査委員会設置のお知らせ」を公表しました。従業員による不正行為が発覚し、調査を進めており、調査自体は概ね完了しているとしていますが、委員会を設置して精査するとしています。このため、第2四半期の決算発表も延期されます。

建設技術研究所

建設技術研究所は、河川、ダム、道路、環境、情報など公共事業に関する総合建設コンサルタントの大手です。国土交通省が発注するインフラプロジェクトに強味をもつ東証プライム上場企業です。

開示の内容

「当社は、当社従業員1名による不適切な取引の疑いを認識し、調査を進めております。本件取引の背景や発生金額等の詳細は現在精査中です。」なんと、今回開示されたのはこれだけです。同社で何が起こったのか、まったく分かりません。

2年前の不正

実はこの会社、2021年にも不正行為が発生しており、当ブログでも取り上げました。これがちょっと驚きの展開でした。従業員が実質的に経営する別会社に架空発注を行い、資金を還流させ、当該会社から同社に転籍した者への給与補填と当該会社の運転資金等に充当していたというもの。上席者もこれを認めていました。

つまり、他の業者からきて、建設技術研究所に常駐で働く同僚たちの処遇が酷過ぎて、これを改善するために不正を行っていたわけです。さて、今回の不正はどういうものでしょう。ちなみに同社従業員の平均年収は913万円(なかなか立派な金額)。また、正社員と派遣やアルバイトの処遇の格差に関わるものでしょうかね。