ビジョナリーホールディングス 第三者委員会を設置 決算発表も延期

ビジョナリーホールディングスは3/7、「第三者委員会の設置及び 2023年4月期第3四半期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。どうやら同社代表取締役社長(同日付で代表取締役および取締役の辞任も発表されてます)による不正が発覚したようです。

ビジョナリーホールディングス

ビジョナリーホールディングスは「メガネスーパー」を主力ブランドに、直営店方式で眼鏡・コンタクトレンズの小売チェーンを全国に展開する企業。主に高付加価値・高単価の眼鏡を志向するミドル・シニア層をターゲット顧客に事業を推進する東証スタンダード市場上場企業です。株価は200円割れとなっており、既にヤバそうな感じの会社です。

不正の概要

2022年12月下旬に、代表取締役社長による同社企業価値を毀損する行為の疑いに関する情報提供を得たことから、監査等委員が選定した外部専門家に調査作業を委託して調査を進めてきたということです。内部通報でしょうか。

この調査により、同社の業務委託先その他取引先が、代表取締役社長の実質的影響力の下に経営されている、または同社取締役・執行役員の一部が出資している会社である可能性、および同社グループの利益に反する可能性のある行為が認識されるに至ったとしています。

取締役の利益相反取引

開示されているのはここまでです。どうやら取締役による同社との利益相反取引が発見されたということのようですね。会社法は、「会社の業務を執行する取締役が、会社の利益を犠牲にして取締役自身や第三者の利益を図ること」を禁止しています。これをやってしまっていたと。

「別の取締役や執行役員の一部」という表現も気になりますね。代表取締役社長以外でも不正が出てくる可能性がありそうです。

インサイダー容疑 ポラリス・キャピタル・グループ元社員を告発

証券取引等監視委員会は3/3、「総合メディカルホールディングス株式会社株券及び株式会社スペースバリューホールディングス株券に係る内部者取引事件の告発について」を公表しました。過去に例のなかった、プライベートエクイティ(PE)ファンドの社員によるインサイダー取引です。

ポラリス・キャピタル・グループ

告発されたのはポラリス・キャピタル・グループの社員。ポラリス・キャピタル・グループは2004年にみずほ証券と興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現アセットマネジメントOne)出資で設立されたプライベート・エクイティファンド運営会社です。出ましたね、みずほグループさんです。

総合メディカルホールディングス株を巡り

2020年1~2月、ポラリスが調剤薬局運営の総合メディカルホールディングス(上場廃止)株に対してTOBを実施するとした未公表情報を入手した上で、同社株2,000株を約420万円で買い付けた疑いがもたれています。TOB価格から推察して、20%程度は儲けてそうです。

スペースバリューホールディングス株を巡り

2021年11月には、駐車場事業を手掛けるスペースバリューホールディングス(同)株へのTOBに関する未公表情報を基に、同社株2万7,000株を約2,390万円で購入した疑いがもたれています。こちらもTOB価格からみて約20%は儲かってますね。

アホな奴です。こんな仕事に就いていたら真っ先に疑われるの分からんのでしょうかね。2銘柄のインサイダー取引で数百万円儲かったのと引き換えに、この人の人生は終わりました。インサイダー取引は必ず見つかるのです。

ちなみに、スペースバリューホールディングス株について監視委員会は、「東京証券取引所等において買い付け」と記しています。取引所以外(PTSなど)での取得もお縄になるということです。

東京衡機 第三者委員会の調査結果を公表

昨年末に不正取引について開示した東京衡機は3/3、「第三者委員会の調査報告書の受領および当社の対応等に関するお知らせ」を公表しました。調査結果を受けて、遅れていた2023年2月期第3四半期報告書を提出期限までに提出できることになったようです。

調査結果

調査結果はまぁ、よく分からない内容です。「商事取引の一部について実質金融取引であると認められる」とか、「不自然な資金の循環が認められた」などと指摘。ただ一方で「商品の実在性の有無等を確認することは困難だった」などと、どうもはっきりしません。

他にも、「仕入先と販売先の間で取引商品や金額・決済条件等がおおむね決定されている取引であって、目的物の引渡し等に対する関与の程度が小さく、代金の立替払いをすることを主な役割として手数料を得る取引(介入取引)」なんかも出てきますね。

同社のカルチャー

報告書では、2017年に発覚した役員の不正に関する調査と、その改善対応にも言及していました。当時、内部統制室の人的リソースや専門性強化への取組みを掲げ、取り組んでいたものの、わずか1年でその改善対応に係る態勢があちこちで骨抜き状態になっていたといいます。

さらに、「現在でも本質的な改善には至っていない」、「内部統制の改善に向けて積極的な対応がされていたとは認められず、十分に機能していたとは言い難い」とバッサリ。改善策や再発防止策って、こんなふうに時間とともに壊れていってしまうものなんです(1年で、ってのは早すぎだけど)。これって、同社だけの問題じゃないですよ。

仕組み債販売 日本証券業協会が新たな自主規制

少し前の話になりますが、日本経済新聞は2/15、「仕組み債、情報開示に課題 日証協が販売ルール発表」という報道をしていました。前にも書いたけど、もう10年以上やってんじゃないのかなぁ。仕組み債販売に関する自主規制ルールの見直し・強化。今回もまた、って感じです。

新たな販売ルール

「商品説明資料には『複雑な仕組み債』であり、『投資初心者向けの商品でない』ことを明記」とか、「一定額以上の金融資産を持ち、投資経験や金融知識のある人を販売対象として限定する」、、、みたいなルールができたらしいです。

こういうルールって、大手や準大手証券では以前から各社各様に実行していて、今回はそれを業界標準にしようという流れ。日証協が主体となって、そこへ大手から中小証券までが参加。金融庁のメンバーも参加して新ルールを作っていくという方法です。ここでいうルールというのは自主規制ルールのことで、金商法等の法律には定められません。

ちょっと面白いのは

日証協のホームページでは、「複雑な仕組債等の販売勧誘に係る『協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則』等の一部改正について」という案が示されています。この自主規制案に対してパブリックコメントを募集していて、集まった意見も反映しつつ、7月には施行されるということです。

まぁ、いつもの流れなんですが、今回ちょっと面白いなと思ったのが、「仕組み債の取り扱いを始めたり、商品数を増やしたりする場合、代表取締役らによるトップの関与を求める。」という点。いい加減な準備で取り扱ったり、商品を増やして、何かあったらトップの責任問うからね。という金融庁のメッセージ(脅し)です。

富士電機 日本原子力研究開発機構向け機器製作に係る不適合管理

富士電機は2/24、「国立研究開発法人日本原子力研究開発機構向け機器製作に係る不適合管理の完了について」を公表しました。昨年7月に公表していた、同機構向け定常臨界実験装置(STACY)施設の更新改造において、指定されたものとは違う材料で機器を製作していたという件の最終報告のようです。

富士電機

富士電機といえば、以前ネットワンシステムズの架空循環取引で子会社が関与していたとして当ブログでも紹介しましたね。今度は日本原子力研究開発機構向け機器製作における不祥事です。

実際には富士電機が受注し、下請けの木村化工機に製作させていたようです。木村化工機で製作された機器において、同機構との間で行われた材料確認検査時とは異なる部材が取り付けられていたということです。同機構による昨年7月の工場立会検査で発覚しています。富士電機としても、同社の事前の検査でそのことが見逃されていたことが問題視されました。

不適合管理

事前に顧客との間で確認を行った材料ではないものを使用して機器を作成していた(木村化工機)。ということを「不適合」と呼び、それを元請負(富士電機)としてしっかり管理できていなかったことを「不適合管理」と呼んでるようです。

納入する機器に使用する材料について、あらかじめ定められたものを使用しなかった「品質不正」と、「その管理実態」って言ってくれたら分かりやすいのに。その業界では「不適合」と呼ぶのかもしれませんが、世間一般的には「不適合」じゃなく、これも立派な不正だと思いますけど。