パスコ 不適切な会計処理で決算発表を延期

株式会社パスコは2/7、「2023年3月期第3四半期決算発表の延期及び特別調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。前期、前々期において、利益先送りに関する不適切な会計処理が行われていたということです。ここまで社内調査委員会で調査してきたようです。

株式会社パスコ

パスコは国内外で地理空間情報の収集、加工・処理・解析、ICT技術を活用した高品質な情報サービスを提供する空間情報サービス事業を展開する企業です。セコムの子会社(発行済み株式の71%を保有)ですね。 

過去にも当ブログで取り上げたことがあるんですが、その際は防衛関連企業が続けざまにサイバー攻撃を受けていたという事案でした。同社も被害を受けていましたが、それほど大きな影響はなかったような気がします。同社は、防衛省から基地などの測量業務を受注し、衛星画像を納入していたんですね。

不適切な会計処理

2021年3月期および2022年3月期において、利益を先送りしていたとのこと。それぞれの年度末に完了した案件の利益の一部を翌期に繰り越していたということです。ここまでは社内調査委員会で調査してきましたが、専門的および客観的な見地が必要として、特別調査委員会を設置することになりました。

今回の開示で判明していることは以上です。決算発表を延期してでも、第三者の目線で客観的に調査を行う。これが正しい対応です。先日取り上げた大豊工業ではこの視点を欠いていました。っていうか、親会社TOYOTAの方針だと思いますけどね。

親会社の姿勢は開示にも表れていて、差出人名というか、発信者名のところ、その欄にはパスコと並んで「親会社 セコム株式会社(コード:9735)」と明記されています。親会社としての責任を自覚されているということだと思います。

株式会社レノバ 関連会社御前崎港バイオマスエナジーで労働災害事故

レノバは2/7、「当社の持分法適用関連会社における労働災害事故の発生について」を公表しました。その会社は御前崎港バイオマスエナジー。請負作業員1名が死亡し、他の10名が被災する労働災害事故が発生しました。ニュースで見られた方も多いのではないでしょうか。

株式会社レノバ

レノバは大規模太陽光発電、バイオマス発電等の複数種類電源の発電所を開発し、所有・運営している企業です。洋上風力発電事業の開発にも取り組んでいます。再生可能エネルギー発電事業が売り上げの95%を占める、2000年に設立された東証プライム市場上場企業です。

事故の概要

開示では、「事故発生は2/6の16:40頃。バイオマス発電所建設現場で、バグフィルタ内で溶接作業をしていた作業員2名が被災、また救出に向かった9名が二次被災し、うち7名が緊急搬送された。人的被害については死亡1名、被災10名」とだけ説明されています。

なんともシンプルというか、、、もう少し状況を説明してくれてもよさそうなもんだけど。報道によると、バグフィルターと呼ばれるボイラーの煙をろ過する装置は筒型の形状で、高さ約15メートルの装置です。作業員はこの「バグフィルター」の中で溶接作業をしていて、一酸化炭素中毒になったとみられる、としていました。

持分法適用関連会社

ちなみに、御前崎港バイオマスエナジーは2021年4月に着工し、今年7月の運転開始を目指していました。レノバが38%を出資しており、他には中部電力(34%)、三菱電機クレジット(18%)、鈴与商事(10%)といった企業が出資しているようです。この記事を書いている時点で、中部電力からの開示は見つかりませんでした。

中国はよく分からない ゼロコロナ放棄 日本人向けビザ発給停止の解除

最近の中国は何か変ですよね。白紙運動のデモを受けてかゼロコロナ政策を放棄。中国からの渡航者に対する検査導入など要件を厳格化した日本に対して、対抗措置として打ち出したビザ発給停止でしたが、1/29には発給停止を解除しました。

中国で何が起きてる

何かと世界の常識が通用しない中国ですが、年が明けてから以降、矢継ぎ早に常識的に理解できるような政策変更(ゼロコロナ放棄とビザ発給停止の解除)が相次ぎました。中国のことだからそう簡単には解消しないだろうなと思われた両政策がいとも簡単にひっくり返りましたよね。

中国国内で何が起きてるんでしょうか。やはり、国内の景気や経済の状況が相当酷いことになっていて、経済や国民の生活を建て直すことを最優先せざるをえなくなったというのが本音なんでしょうかね。常識が通用しない国から、相応に常識的な国に変化しているようにも見えます。

対米関係も

中国経済のボトルネックになってきた規制や外交を、変化させていく目的があるとすれば、次は対米関係です。米中関係が悪化したことによる経済への悪影響を排除していく。これっておそらく一番影響がデカそうです。米国に対する強硬姿勢の軟化は、当然日本やその他の西側諸国との関係改善にもつながりますし、そうなってくるとロシアはさらに孤立化が進むでしょう。

ひょっとしたら今年は世界の力関係が大きく変化する年になるかも。などと、、、やはりついつい常識的な発想で楽観視してしまいます。いつもこうして見誤ってきたんですけどね。などと考えてたら、今度は米国に中国の偵察だか観測だかを目的とした気球が。民間の気象研究用の気球だとか言ってたのに、撃ち落されたら「強烈な不満と抗議を表明」だそうな。やっぱりこの国は分かりません。

帝人 アラミド繊維出荷制限 オランダの工場火災で

日本経済新聞は2/4、「アラミド繊維、帝人が出荷制限 工場火災で復旧長引く」と報じました。ちなみに、帝人はこのことを開示していないようです。そもそも、2022年12月にアラミド繊維の原料を作るオランダの工場で火災が発生したこと自体も開示していません。なんだこれ。

アラミド繊維

同社のアラミド繊維は自動車タイヤの補強材などに使う製品だそう。高い耐熱性と切断・摩耗などに強い性質を持つ合成繊維で、石綿の代わりや、消防士用の防火衣、警察などが着用する防弾ベスト、船体の補強や縄、航空産業などでも採用されるそうです。

開示の姿勢

冒頭でも書いたように、帝人では出荷を制限していることも、昨年12月にオランダで工場火災が発生していたことも開示していません。なんででしょうね。工場火災に関する開示って、「工場のご近所さんにご迷惑を掛けました」というご挨拶くらいにしか考えていないのでは。

調べてみると、同社オランダのアラミド繊維を生産する工場では、一昨年の12月にも電源設備の不具合による停電が原因で、工場の稼働が止まったことがあったようです。この時も後になって、「操業度が悪化し、(営業利益ベースで)数十億円規模の減益要因になる」と発表しています。

工場の操業停止で業績に大きな影響が出ることを昨年経験していながら、なぜ今回もその可能性がある事実を公表しないのか。同社の決算発表は2/8が予定されているようですが、その席でまた減益となった結果だけを公表するんですかね。この開示に対する姿勢はマズいでしょ。同社の株価は2年前の半分近くに下がっています。ここからまた売られるんですかね。

大豊工業 子会社従業員の不正行為(その2)

昨日取り上げた大豊工業の子会社従業員の不正行為。同日株価が急落(631円、41円安)していました。どこからか情報が漏れたかなとも思いましたが、実はこの開示、第3四半期の決算発表と同時に、ザラ場中(14:00)に行われていたんですね。

従業員一人の不正でおしまい

同社株価の急落は業績の悪化を受けたもののようです。業績の下方修正に関する開示の中でも、今回の不正に関する記述等(調査にどの程度費用がかかったかなど)もなく、何もなかったように不正事案を終わらせています。これっていつもTOYOTAが使う手口ですよね。メディアには巨大な広告費払ってるから心配しなくていいんだ、ってノリ。

それにしても雑な対応

本来なら公正な目線で事案を評価できる第三者委員会等を設置して、不正行為の詳細や、上席の関与、担当役員や親会社の責任などを調査しますが、、、何もなし。いつ発覚してどのような調査をしたかも不明です。11年間にも及ぶ不正行為。従業員一人だけを悪者にして終わらせてよい事案でしょうか。

TOYOTAは1/26に社長の交代を発表しました。これって異例のタイミングです。そして2/2には子会社の不祥事を公表。で、TOYOTAの決算発表は2/9に予定されているそうです。本来ならこの2/9に社長交代が発表されそうなものですが、社長交代にケチが付かないように順番を変えた?

社長交代に影響させず、ダラダラと不祥事案件を長引かせないように、一人を切ってさっさと終わらせた?これくらいの親子会社間では、子会社に選択の余地などありませんからね。などなど、大豊工業の今回の対応はいろいろと考えさせられます。っていうか、kuniが勝手に妄想してるだけですけどね。