ワコム クレジットカード情報流出

ワコムは11/21、「弊社が運営する『ワコムストア』への不正アクセスによる 個人情報漏洩に関するお詫びとお知らせ」を公表しました。しかし、適時開示は行っていません。kuniがこのことを知ったのは、日本経済新聞が記事で取り上げていたためです。

ワコム

ワコムは、映画、アニメ、オートデザイン、マンガなど様々な分野の制作現場で、電子ペンを使って、自由に文字や絵を描ける入力機器であるタブレットを製造・販売する企業です。ペンタブレット、液晶ペンタブレットなどデジタルインターフェース機器では世界シェアトップの東証プライム上場企業です。

情報流出の概要

2022年2月19日から2022年4月19日午前中の期間に「ワコムストア」で製品等を購入された顧客のクレジットカード情報が漏洩し、その対象件数は最大で1,938件になるといいます。流出したのは、クレジットカード名義人名、クレジットカード番号、有効期限、セキュリティコード、Eメールアドレス。

さらに、過去に「ワコムストア」を利用した顧客147,545名について、2021年2月22日~2022年4月19日午前中の期間中に個人情報について、外部からアクセスが行われ漏洩した可能性があるということです。こちらはクレジットカード情報は漏れていないようです。

開示の遅さ

とにかく開示が遅い。っていうか、適時開示はしておらず、同社のホームページで公表しただけなんですが、クレジットカードが悪用されたという第一報が同社に入ったのは今年8/19のことだそうです。なにやら言い訳はしていますが、3ヶ月もこの事実を公表していません。この3ヶ月で難を逃れた人がいたはず。公表せずとも対象となる顧客一人一人に連絡するという方法はあったのでは?

「地球無風化」 風力発電はどうなる?

11/21付けの日本経済新聞に、「『地球無風化』、電力確保に難題」という記事がありました。異常気象の一種に「渇風」なるものもあるらしいです。欧州では2021年夏に風がほとんど吹かず、平均風速がこの数十年で最低になった国もあったそう。これ、ちょっとシャレになりません。

地球無風化

地球上の風は北極および南極と熱帯地域の気温差によって引き起こされるんだそうです。気温差が大きいほど風力は強まりますが、最近の北極では赤道直下より温暖化が進行し、両地域の気温差が縮まっているため、ジェット気流(偏西風)が弱まっているといいます。

実際のところ、欧州の北西部や中央に位置する国々では、年間平均風速が統計を取り始めた1979年以降最も、あるいは2番目に低くなっているようです。もちろんこうしたデータをもってすぐに、気候変動によって長期的に風速が落ちるという「地球無風化」であるとは断言できないようですが。

風力発電

脱炭素の実現には欠かせない存在となりつつある風力発電ですが、あたりまえに風が吹かなければ電力を作ることはできません。今のところ問題提起されているのは欧州だけのようですが、日本でも同じことが起こらないとは言えませんよね。偏西風の変化による異常気象は既に現れています。

地球無風化、ここに来てやっと洋上風力発電に本腰を入れようとしている日本にとっても、非常に悩ましい問題です。今後長期にわたって再生可能エネルギーを確保するには、風力発電に偏ることなく、電力源の多様化を図っていかなければならない・・・ということでしょうか。

錢高組 元所長ら特別背任容疑で逮捕

中堅ゼネコンの銭高組の元所長が、下請け会社に工事費を水増しして請求させ、会社に約9,450万円の損害を与えたとして、特別背任の疑いで逮捕されました。他に、共謀した下請けの建設会社松岩組の元専務も逮捕されています。同社からの適時開示はありません。

逮捕容疑

逮捕容疑は両者が共謀し、2018年2月~19年2月、銭高組が共同企業体の1社として受注した兵庫県内の鉄道高架化工事を巡り、自己の利益を図る目的で、松岩組に工事代金を水増し請求させ、銭高組に計約9,450万円の損害を与えた疑いということです。

なんだかブラックな感じが

冒頭で開示なしと書きましたが、錢高組のホームページを見ると載ってることは載ってます。11/17付けのお知らせ、「一部のマスコミ報道について」というやつです。報道内容を引用して最低限の情報だけを載せているというスタイル。報道をしっかり把握したうえで読まないと何のことやらって感じです。

おまけに、今年のお知らせを遡ってみると、「一部のマスコミ報道について」というのが今年一年間の間に6回も出てくるんですね。当然、メディアに報道された同社にとって不都合なというか残念な事件に関するもので、やはり同じように報道内容を受け、それを補足する程度のお知らせです。

防衛省関連の建設工事案件で、同社の共同企業体の社員や同社社員が、官製談合防止法違反の疑いで逮捕されたという話。同社の協力企業の会長と社長が、同社に対する恐喝未遂容疑で逮捕されました。なんて話も出てきます。物騒な・・・。

これらの「お知らせ」をつなぎ合わせてみると、今回逮捕に至った特別背任の件は、大阪国税局の税務調査で所得の申告漏れを指摘されたところから発覚したようです。もう少し自社の認識としてしっかり開示するべきでは?と思います。

サカイホールディングス 会計監査人の変更

サカイホールディングスは11/16、「公認会計士等の異動に関するお知らせ」を公表しました。今年6月に就任したばかりの会計監査人が退任し、今度は有限責任中部総合監査法人なるところが新たに就任するんだそうです。

子会社の会計不正

連結子会社の株式会社セントラルパートナーズで、代表取締役の指示に基づき経理部長が6年間にわたり売り上げを水増しするという会計不正。以前当ブログでも取り上げました。子会社における典型的な、経営や親会社に対する忖度で発生した不正でしたね。

調査結果が3月に公表され、一件落着したわけですが、その後6月には、なぜか会計監査人が変更になります。で、その際就任した一時会計監査人が今回退任するという流れ。これだけちょこちょこ変更されると会計監査人も監査やりづらいでしょうね。

新たな会計監査人

今回の開示にはこんなことも。「監査役会で決定した 2022年10月24日時点で速やかに開示すべきところ、本日まで開示を遅延することとなった経緯と致しましては、株主総会議案として取締役会の決議後に開示するものと誤った認識によるものです。深くお詫び申し上げます。」

のっけからケチが付いた格好ですね。さらに今回就任した「有限責任中部総合監査法人」。日本公認会計士協会の上場会社監査事務所登録制度における登録状況が、「現在、準登録事務所名簿への登録を申請中」となっています。

なんとまぁ、とりあえず急場しのぎで取り繕うかのような会計監査人の選定です。この監査法人、設立が2022年9月となっています。大丈夫かいな、サカイホールディングス。

インサイダー取引 スクウェア・エニックス元社員ら逮捕

オンラインゲーム「ドラゴンクエストタクト」に関する未公開情報を入手してインサイダー取引をしたとして、東京地検特捜部は11/17、「スクウェア・エニックス」の元社員とその知人の両容疑者を金融商品取引法違反の疑いで逮捕したと発表しました。

逮捕の容疑

スクウェア・エニックスは、「Aiming」と共同でスマートフォン向けのオンラインゲームを制作。Aimingは2020年2月に「ドラゴンクエストタクト」の共同開発を発表し、7月に配信を開始していました。

共同開発の公表前だった2019年11月下旬、ゲーム開発が配信できる段階まで進んでいたことや、Aimingがスクウェア・エニックスとの業務提携を決定したという重要事実を把握したスクエニ元従業員。2019年12月上旬~20年2月上旬(共同開発公表の直前)までに、2,000万円以上Aiming株式を買い付けたということです。さらに、この元従業員から情報を伝えられた知人も2,600万円程度買付け。

株価の方は

彼らが買い付けた当時のAimingの株価をみてみると、2019年12月~20年1月末まで、200円台後半から300円台前半の往来相場って感じ。2/5に共同開発が公表されたんでしょうね、翌日の2/6から4日間連続のストップ高で、最高値730円まで買われています。

公表直前の株価が290円ですから、4日で2.5倍。二人とも約2,000万円が約5,000万円になった計算です。まさに濡れ手に粟の大儲け。しかし、このてのインサイダー取引は必ず見つかります。読者の皆さんは決してこういう取引を真似なさらないように。