東京証券取引所 194社に対して投資単位の引下げに係る検討を要請

日本取引所グループ(JPX)傘下の東京証券取引所は10/27、上場株の投資単位を50万円未満に引き下げるよう、194社に要請したと発表しました。投資単位が高額となる企業を減らして個人による取引機会を広げようという施策ですね。

投資単位の引き下げ

取引所としては1990年から、個人投資者が投資しやすい環境を整備すべく、上場会社に対して投資単位の引下げの要請を開始しています。2001年には上場規則の努力義務として、「50万円未満」の水準が望まれる旨を明示し、50万円以上の会社に対して、投資単位の引下げに係る考え方及び方針等の開示を義務化しています。

しかしながら、現在95%の会社が50万円未満の水準を維持している一方、依然として投資単位が高い水準に留まっている会社も一定数あり、50万円以上が5%(197社)、100万円以上の企業が1%(39社)存在しているということです(10/26時点)。

主な企業

直近では、任天堂が1:10、テクノクオーツが1:5の株式分割を10月1日に実施するなど、投資単位の引き下げを実施する企業が出ていますが、それでもまだ200社近い企業が取引所の要請に応じていません。

投資単位上位を見てみると、1位がファーストリテイリング、続いてSMC、キーエンス、東京エレクトロン、エスケー化研といった企業があり、それぞれ最低投資必要金額は8,319,000円、5,838,000円、 5,122,000円、3,918,000円、3,725,000円となっています。

最低でも800万円用意しないと投資できない、なんてのは個人には負担デカすぎですよね。雑魚投資家が株主になると費用負担や株主対策が大変だとか、いろいろ理由はあるかもしれませんが、早急に対応してほしいものです。取引所にしてももう少し強気の要請というか、強制するくらいの姿勢があっていいと思います。

キャノン 事業構造改革に手ごたえ しかし売られる

キャノンは10/26、2022年7~9月期の四半期連結決算を公表しました。売上高は20%増の9,960億円、営業利益は39%増の814億円という好調な決算発表だったんですが、株式市場では3,100円割れ(前日比211円安)まで大きく売り込まれました。

キャノン

キャノンは事務機械、デジタルカメラなどコンシューマ、産業機器等の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでいる、日本を代表する企業の一つです。主力の事務機事業が振るわない中、メディカル事業(医療機器)やミラーレスカメラなど、主力事業に代わる成長事業を育ててきました。

決算の概要

そうした努力が報われ、ミラーレスカメラや監視カメラ、メディカル事業が、業績のけん引役として実を結びつつあるということです。御手洗会長兼社長最高経営責任者(CEO)も同日の電話会見で「これまで重点的に投資してきた成長事業が全て出そろった。満足できる決算となった」とご満悦の様子。

しかし株価は

事前の業績予想(期待値)が高すぎたんでしょうかね。決算発表を受けて同社株は朝から売り気配となりました。ケチが付くとしたら、急激な円安によって子会社との外貨建て借入金で為替差損が発生したことで、純利益が前期比16%増の2500億円と従来予想から120億円下方修正されたことくらい。けどこれ為替差損ですからね。

決算発表銘柄で良い業績を発表しながらも急落、なんてのは決算発表「あるある」ですけどね。主力事業が成長を終え、事業構造改革を断行。それが成功しつつあるということですから、中長期的には期待できそうだなぁ。と、kuniは感じています。

株式会社タダノ 連結子会社で従業員が不正行為

株式会社タダノは10/21、「当社グループ会社の元従業員による不正行為について」を公表しました。不正が行われていたのは同社グループ会社の戸田機工商会(本社:香川県高松市)だそうです。完全に見落としていましたこの事件。っていうか、適時開示されてないんですけどね。

株式会社タダノ

タダノは建設用クレーン、車両搭載型クレーン、高所作業車の製造・販売を行う建設機械メーカー。部品、修理、中古車等も手掛けています。主力は建設用クレーンで、台数シェアは国内54%、世界20%を有するんだそうです。これって世界でもトップ級らしいです。連結ベースでは従業員4,600人という東証プライム市場上場企業です。

不正行為の概要

この従業員は2018年ごろから自身の立場を利用して、複数の取引先に対して不正にリベートを要求し、それを受領し、私的に流用していたということです。また、仕入れや売上を偽装して家電や生活関連商品を納入させ、自身で取り込むなどしていたことも判明しており、同社の損害総額は合わせて約14百万円と確認できているそうです。

同社員は既に10/11付で懲戒解雇処分になっていて、調査委員会等の設置もなさそう。被害金額については、回収を図るべく法的手続きを進めるとのこと。クビにしてハイお終い、ってパターンですね。ん~、これでいいんかねぇ。

冒頭書いたように、この事件の公表は同社のホームページだけで行われたものです。PDF1枚だけ。顧客や株主、投資家にとっては最も気付きにくい場所にこっそりと。この国を代表し、世界と戦うような立派な会社なんだから、もう少ししっかりとした報告があっていいのでは?

野村證券元社員 詐欺で逮捕

元本保証などをうたって違法に出資金を集めたとして、岡山県警は10/20までに、出資法違反などの容疑で、野村證券元社員の2人を逮捕しました。2人は顧客ら数十人から数億円を集めていたということです。無登録で金融商品取引業を営んでいました。

超セレブ投資家

逮捕されたうちの一人(35歳)の方は、2021年5月に全国放送されたテレビバラエティー番組で、40億円のプライベートジェットを所有する「超セレブ投資家」として紹介されていたんだそうです。さらに、有名女性アイドルグループの元メンバーと結婚して、東京都内の高級住宅街で一緒に暮らしていたんだそう。

ややこしいけど、前半部分の「超セレブ投資家」というのが真っ赤な嘘で、その嘘の力で元芸能人と出来ちゃっていたというのは本当らしい(どうでもいいか)。

顧客や知人ら少なくとも十数人に高利回りをうたう投資話を持ちかけて、数億円を不正に集めていたということです。よくある手口ですね。「あなただけ特別に高利回りの投資商品を」ってありえない話に、なんで皆こう簡単に騙されてしまうんでしょう。

N證券とN証券

元野村證券社員という報道になっていますが、同社を退職する前から(つまり社員として在籍しているときから)岡山支店で担当する複数の顧客らから不正に資金を集めていました。

そのため当然野村證券としての管理責任等も問われていくことになります。今のところ同社は、「警察に相談中の事案であり、詳細は答えられない」としています。しかしまぁ、イニシャル「N」の証券会社は両社とも、定期的に不正やら不祥事の話題を提供してくれますねぇ。昔から何も変わってません。

株式会社バリューゴルフ 連結子会社 産経旅行において不適切な取引

バリューゴルフは10/21、「当社連結子会社における不適切な取引に係る調査に関するお知らせ」を公表しました。同社の連結子会社である株式会社産経旅行において、不適切な取引が行われていたことが判明。取引内容の詳細及び影響額等の事実確認等を目的として、「外部調査チーム」を設置することを決定しています。

バリューゴルフ

バリューゴルフは、ゴルフ場の集客などを支援するゴルフ事業を中核に、自社顧客層とシナジーが発揮できるトラベル事業を手掛ける企業。1人でもゴルフをプレーする機会をインターネット経由で提供する「1人予約ランド」というサービスが主力です。東証グロース市場に上場している企業です。

産経旅行

2018年、トラベル事業を新たな事業の柱とするため、子会社化したのが株式会社産経旅行。この会社で不正が発覚しています。開示によると、産経旅行大阪支店の従業員が、架空の顧客及び取引先を用い、資金の不正取得を行っていたということです。

これらの取引により不正に取得された資金の額は、同社が産経旅行の株式を取得した2018年8月からの4年間で29百万円と見込んでいるといいます。子会社化して以降の調査結果のようですから、それ以前を含めると金額はさらに大きくなる可能性もありそうですね。

この不適切な取引の内容を調査し、明らかにするために弁護士をメンバーとする「外部調査チーム」を設置するということです。同社の顧問弁護士を務めている弁護士1名と、利害関係のない社外の弁護士・公認会計士1名の計2名という陣容。

調査期間も約1ヶ月を予定しているということですので、社内調査である程度全容は見えているのかもしれません。