アルテリア・ネットワークス 特別調査委員会を設置

アルテリア・ネットワークスは6/13、「調査委員会の設置及び第7回定時株主総会の継続会の開催方針に関するお知らせ」を公表しました。6/9に開示していた同社従業員の逮捕を受け、事実関係や類似事案の有無等を調査する目的で設置したということです。

接続料金を不正に取得

6/9、TDnetで丸紅、アルテリア・ネットワークス、ソフィアHDの3社が一斉に、逮捕者が出たことを開示しています。丸紅はアルテリア・ネットワークスの親会社としての開示ですから、実質的にはアルテリア・ネットワークス、ソフィアHDの2社ですね。

通信事業者の間で通話時間に応じて接続料金が支払われる「アクセスチャージ」の仕組みを悪用して、意図的な機械発信を生成し、NTTドコモから当該着信にかかる接続料金を不正に取得していたとのこと。通信事業者や通信機器販売会社の役職員等、計14人が逮捕されています。

通信事業者間では、電話をかけた側の業者が受けた側の業者に対し、通話時間に応じて「アクセスチャージ」と呼ばれる回線接続料を支払うんだそうです。この仕組みを悪用し、「かけ放題」プランで契約したドコモの回線からアルテリア・ネットワークス社の回線に大量の電話をかけ、アクセスチャージを不正取得していたということらしいです。

説明を聞いてもいまいちよく分かりませんが、昔のダイヤルQ2でよく起きていた事件に似てますね。ドコモに不正に支払わせたアクセスチャージは、大量の受信をしていたアルテリア・ネットワークスに支払われたということですかね。そのお金が共犯者等にどう配分されたんでしょう。

何社もの事業者が寄ってたかって、って感じの事件ですが、事件の中心にいるのはアルテリア・ネットワークスっぽく見えます。さらに親会社が丸紅ということもあり、特別調査委員会を設置して調査ということに。確かに同社的には会社としての組織的関与が気になるところです。

グリーンウオッシュ とは

今月初旬に日本経済新聞の記事、「ドイツ銀行系運用大手CEOが辞任へ 不正疑いで家宅捜索」を読みました。「グリーンウオッシュ」に関与した疑いで独検察・金融当局が5月31日に、ドイツ銀行グループの資産運用大手企業を家宅捜索し、同企業のCEOが事実上の引責辞任したというお話です。

グリーンウオッシュ

グリーンウオッシュとは、環境配慮をしているように装いごまかすこと。上辺だけの欺瞞的な環境訴求を表すんだそう。 安価な”漆喰・上辺を取り繕う”という意味の英語「ホワイトウォッシング」とグリーン(環境に配慮した)とを合わせた造語なんだそうです。

特に環境NGOが企業の環境対応を批判する際に使用することが多く、上辺だけで環境に取り組んでいる企業などをグリーンウォッシュ企業などと呼ぶ場合もあるようです。ん~、しかしまぁ、次から次へと新しい横文字が出てきますなぁ。

日経の記事の場合は、ドイツ銀行グループの資産運用大手企業に勤めていた元幹部が、「ESG投資の取り組みが実態よりも誇張されている」と主張したことで、グリーンウオッシュの疑惑が浮上。独当局が内部管理体制に問題がなかったか調査したというお話。詳細についてはよく分かりません。

意図してESGへの取り組みを過大に見せることもあるでしょうが、グリーンな商品と宣伝しておきながら、実は製造過程で発生するCO2を考慮しきれていなかった、みたいなこともグリーンウォッシュとして扱われるみたいです。

昨年末には日立が、こうしたグリーンウォッシュを防止する狙いで、ネットにつながるIoT技術を使い、工場の二酸化炭素(CO2)削減量などの投資効果を数字で示すシステムを開発する。なんて話題もありました。見せかけのESG投資の排除ってのも、これまた新しい課題なんですね。ややこしいことになってます。

三菱UFJ信託 社員が顧客金銭着服 社長ら報酬返納

日本経済新聞は6/11、「三菱UFJ信託、社長ら報酬返納 元社員が顧客金銭着服」と報じました。昨年12月に社員2人が顧客の金銭を着服していた問題が発覚した件について、会長、社長、当時の常務執行役員の役員報酬を自主返納するというお話です。

昨年12月に発覚

いやぁ、知りませんでしたねぇ、この事件。再発防止策に役員報酬の返納という今回のお話もホームページで公表しただけで、TDnetでは開示されていません。おそらく昨年12月の発覚時もそうだったんでしょうね。日経は報道してたのかなぁ。見事に見落としていました。

日経の過去記事を検索してみると、確かに出てきました。社員2人がそれぞれ別の顧客から預かった現金を、総額約5,800万円着服したという内容。1人は50代女性で吉祥寺支店(東京)や中野支店(同)に勤務した2007~20年に顧客9人の口座から計5,370万円を着服。

もう一人は30代男性で18~20年に中野支店で、顧客2人の口座から計442万円を着服していたとのこと。行為の最後の辺りの期間は二人とも中野支店ですねぇ。50代女性の手口を模倣した行為でしょうか。

被害額が拡大

その後調査を進めていった結果、今回公表された被害額は、50代女性の方が4,380万円増えて、総額9,750万円になっています(被害顧客数は14名)。30代男性の方は442万円のままみたい。いずれも被害の全額について同行が補償を実施したということです。

2人が協力していた形跡は見つかっていないそうですが、いずれも着服した金は生活費などに充てたということです。この件の横展開の調査も行われていて、結果、2人の社員以外の社員による着服等の事案は確認されていないということです。

今度はスシロー 景品表示法違反(おとり広告)

公正取引委員会は6/9、「株式会社あきんどスシローに対する景品表示法に基づく措置命令について」を公表しました。提供を中止した寿司のメニューを取り扱っているかのようにテレビコマーシャルなどで宣伝したとして、景品表示法違反(おとり広告)を認定し、再発防止を求める措置命令を出しました。

FOOD&LIFE COMPANIES

先月末に、元気寿司において不適切な支出が発覚し、特別調査委員会を設置することになった件を取り上げましたが、今度は業界1位のスシローです。スシローを運営するのは株式会社あきんどスシロー。そして同社を傘下に置き東証プライム市場に上場するのが、(株)FOOD&LIFE COMPANIES。

回転すし店「スシロー」を直営店中心に全国でチェーン展開し、店舗は客席数200席程度の大型郊外店が中心。2022年3月末時点の店舗数は、国内975店、海外73店の合計1048店だそうです。

違反行為の概要

2021年9~12月、全国の約600店舗で実施したキャンペーンで「新物!濃厚うに包み」(税込み110円)、「とやま鮨し人考案 新物うに 鮨し人流3種盛り」(税込528円)、「冬の味覚!豪華かにづくし」(同858円)という期間限定の3商品を売り出し、テレビコマーシャルや自社のウェブサイトで宣伝しました。

しかし、実際は宣伝を続けている間、店舗の9割超で提供されない時期があったようです。提供できなかった店舗は583店舗に上り、公正取引委員会は、実際には購入できない商品を購入できるかのように表示した「おとり広告」に当たると判断したということです。

何度お店に行っても売り切れやら入荷待ちということで、SNSでもこの件は結構顧客から発信されていたようです。あきんどスシローでは、同じ日にお知らせを公表しており、「措置命令を真摯に受け止め、再発防止に努める」としています。

株式会社レスターホールディングス 特別調査委員会を設置

レスターホールディングスは6/6、「特別調査委員会の設置及び第 13 期定時株主総会の継続会の開催方針に関するお知らせ」を公表しました。同社の海外子会社において、コンプライアンス違反の疑いのある取引が行われていたことが判明したためということです。

レスターホールディングス

レスターホールディングスは、半導体・電子部品などを扱うエレクトロニクス商社。ソニーなどの半導体製品の販売、開発からサポートまでのトータルソリューションを提供しています。このほか、調達事業、電子機器事業、環境エネルギー事業も展開してますね。

2009年、ユーエスシー(1973年設立)と共信テクノソニック(1961年設立)が株式移転による共同持株会社としてUKCホールディングスを設立。19年、バイテックホールディングス(1987年設立)との経営統合に伴い、現商号に変更しています。

コンプライアンス違反の疑い

海外子会社における取引の一部にコンプライアンス違反の疑いが生じたため、社内調査を実施したところ、従業員の親族が営む現地企業との取引において、逸失利益の可能性があることが判明したということです。よく見るパターンですね。今回の開示では説明はここまでです。

逸失利益とは、本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行や不法行為が生じたことによって得られなくなった利益を指します。他社でも見られたのは、親族企業に不法に儲けさせるパターン。そこには架空取引やらなんやらが出てくることが多いです。

逸失利益の算定では、はたしてどこまでが本来得られるべきであった利益か、その確定は容易でなく、訴訟などでもよく争点となるそうです。そうしたこともあって、今月末の株主総会も事業報告や決算報告が見送られることに。