知床観光船 他3社においても不備を確認

日本経済新聞は5/18、「斜里町の3社、不備12件確認 国交省が緊急安全点検」と報じました。北海道斜里町で観光船を運航する4社に対して緊急安全点検を行い、うち3社で12件の不備が確認されたということです。観光船沈没事故を起こした「知床遊覧船」は特別監査中で、点検の対象外です。

やっぱりそうか

知床遊覧船の事故やそれに対する報道について、「同社の事例をもとに同業者が同じような見方をされることが非常に悔しい」みたいなことを取材に答えている業者がいましたよね。本当に彼らの会社は安全に配慮した運行ができているのだろうか、、、と感じたものです。

で、当局が緊急安全点検を実施してみたら、4社中3社で12件の不備を確認。日経の記事にある国土交通省北海道運輸局のホームページではこのことは確認できませんでした。どういった項目でどの程度の不備が見つかったのかは分かりませんが、「やっぱりそうか」という感じ。

コロナで顧客は減少、経営は業績の悪化に対してコスト削減を進めていたはず。その対象が顧客の安全を守るためのコストに向かうのは絶対にあってはならないことですが、他業種の多くの企業を見ていてもよく見る傾向です。

顧客にも価格の理解が

どんな業種でもそうですが、顧客にとっては価格が安いに越したことはありません。しかし、割高に見える価格には顧客の安全を担保するためのコストも当然含まれています。顧客の側にも、価格に対するそうした理解が必要なんでしょうね。

不備が認められた3社は5月末まで運航を自粛する方針だそうですが、運航再開に際しては不備の改善に徹底的に取り組んでもらいたいものです。

ソフトブレーン株式をめぐりインサイダー取引 会社役員が逮捕

日本経済新聞は5/18、「TOB情報で株買い付け容疑 地検、会社役員を逮捕」と報じました。国内投資ファンド傘下の会社が、営業支援ソフトなどを手掛けるソフトブレーン株に対して実施したTOB(株式公開買い付け)の情報を事前に入手して、同社株を買い付けたということです。

ソフトブレーン

ソフトブレーンは営業支援ソフトなどを手掛ける企業で、札幌からスタートした企業のようです。東京証券取引所マザーズに上場し、東証1部まで上がってます。そして昨年1月に上場廃止となってますね。同社も今回の報道に対し、「当社株式の取引に関する一部報道について」を公表。同社元従業員から情報を得てインサイダー取引が行われたことについては認めています。

インサイダー取引

会社役員の逮捕容疑は2020年7月中旬、知人のソフトブレーン社員から、国内投資ファンドがソフトブレーン株へのTOBの実施を決めたことについて情報伝達を受け、公表前の7月下旬に同株約2万株を計約670万円で買い付けた疑いだそうです。

投資会社「アント・キャピタル・パートナーズ」の傘下企業が、ソフトブレーンに対してTOBを実施するなどして完全子会社化するという情報でした。

逮捕されたのは、医療ベンチャー「再生医療iPSGatewayCenter」(東京都渋谷区)の社長だそうですが、今のところ容疑を否認しているみたいですね。

当時400円前後で推移していたソフトブレーンの株価は、8月14日にTOBが公表されてから急騰し、5日後の8月19日には2倍を超える868円まで買われたようです。濡れ手に粟のインサイダー取引。人の命を預かる事業に携わる企業の社長が金に目がくらんだ、、、悲しい事件ですね。

三協フロンテア株式会社 不適切な会計処理が発覚

三協フロンテア株式会社は5/17、「不適切な会計処理の判明と 2022 年 3 月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。2022年3月期を含む複数事業年度に渡って、不適切な会計処理が行われていたということです。これも不適切ではなく不正のようです。

三協フロンテア株式会社

三協フロンテアは、ユニットハウスの製造と販売、レンタルが主力。建設・土木業界を中心に、工期が短く増減築が容易で、空調・給排水などのインフラも一体化した仮設建築物であるユニットハウスを提供する企業。他にも立体駐車装置の製造なども行う東証スタンダード市場上場企業です。

不正の概要

今年2月より開始された税務調査の過程で、同社の複数の営業拠点において不適切な会計処理の可能性を認識。直ちに関係者に対して行った調査の結果、営業担当者による着服、原価の付け替え、協力業者の下でのプール金の設定、売上の先行計上という、4つの類型を原因とする不適切な会計処理が複数事業年度に渡って行われていることが判明しました。

これら不適切な会計処理の内容を明らかにするとともに、同種の事案が発生していないかを明らかにするため、外部の弁護士・公認会計士による調査委員会を設置。既に厳格な調査を行っているということです。従業員の不正行為から会計不正まで、かなりいろいろ出てきそうですね。

複数事業年度に渡っていること、4つの累計が現時点で発見されていることから、調査期間や同社に与える負のインパクトも、相応のものになりそうです。こうしたことから3月期決算発表も当然延期となっています。そのため5/18の同社株価の方もストップ安(4,215円、700円安)となっています。

株式会社ウェッズ 従業員の不正行為

株式会社ウェッズは5/13、「当社従業員並びに当社子会社従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。なんとなんと、自社と子会社の両方で発覚ですか。同社及び同社連結子会社である株式会社バーデンにおいて、従業員による不正行為が行われていました。

株式会社ウェッズ

ウェッズは自動車のカスタムホイールの企画開発型商社。自動車用ホイールの卸売および製造販売事業を中核に、物流、自動車関連商品の小売、福祉などの事業を展開する東証スタンダード市場上場企業です。

不正行為の概要

同社従業員による不正行為については、東京国税局による税務調査により発覚したようです。当該従業員が顧客への商品代金の値引きを装う等、会社より不正に資金を支出させ、54百万円を個人的に取得したというもの。いわゆるキックバックですね。

子会社従業員による不正行為については、当期の決算処理作業中に確認されたとしています。現時点までの調査では、当該従業員が販売用の携帯端末を不正に持ち出し、リサイクルショップ等で売却・現金化し、累計で 61百万円分の商品を横領していたというもの。

本体では既に、調査に客観性を持たせるための独立調査委員会を立ち上げ、類似行為の調査、原因究明を実施しており、再発防止策の提言も受ける予定とのこと。

一度に2件とはね

親会社と子会社で同時に2件の不正行為が発覚ってのはなかなか見たことありませんね。行為の詳細が明かされていませんので、まだまだ分からないことだらけですが、それぞれの不正行為に関連性はなさそうに見えます。手口も全く違いますしね。ただ一つ言えることは同社のガバナンスが緩いってこと。親がそうなら子もそうなりますよね。この不正行為、この後詳細が公表されるんだろうか。

レオパレス21 連結決算発表を延期 から一転発表へ

経営再建中のレオパレス21は13日、同日予定していた2022年3月期の連結決算発表を20日に延期することを公表しました。ところが週明けの5/16、一転して決算を発表し、22年3月期の連結最終損益が119億円の黒字(前の期は236億円の赤字)に転換する見込みとしました。

監査法人への通報

5/13の開示では、「監査法人に通報があり、2022 年 3 月期の決算内容を調査確認するため、当初予定していた決算発表日を延期する」と公表していました。監査法人への通報というのは以下のようなこと。

①1989年に当社取引先であった A 社との間で2億5,000万円の実体のない貸付をし、架空貸付金の計上がされている。
②同社と入居者の直接の賃貸借契約を、仲介業者経由として仲介手数料を不正に支払っている。
③毎月の入居率を意図的に高く公表するため、不当な操作をし、会計上の影響を与えている

ところがこれらの通報については、いずれも否定もしくは決算に影響を及ぼすものではないとの判断で、決算発表を延期することなく発表。施工不良問題をめぐる補修工事で損失引当金の戻し入れ益を計上し、22年3月期の連結最終損益が119億円の黒字(前の期は236億円の赤字)に転換する見込みということになりました。

なんとも残念なこのドタバタ感ですが、実際のところ何が起きてるんでしょうかね。監査法人への通報ってのはおそらく内部通報でしょうから、社内にはこれまでの経営に対する疑問や批判的な意見を持つ人が少なからず居るということか。

株価の方は黒字化の報を受けて急騰していますが、、、それでも、これで落ち着くという感じがしない会社です。