サカタインクス 子会社阪田産業でやはり架空循環取引

2/14付けで、「当社連結子会社の不適切な取引に伴う特別損失(貸倒引当金繰入額)の計上に関するお知らせ」を公表していたサカタインクス。あれで終わらせてしまうのかと思っていましたが、3/10、「当社連結子会社における不適切な取引について」を公表しました。

事案の概要

やはり架空循環取引でした。阪田産業の機材関係の特定の取引先に対して、仕入も売上も実体のない、数社(と思われる)を相手とする架空循環取引が行われており、同取引に元社員Aが深く関与していたということです。深く関与というよりはこの元社員Aが主犯ですね。

なお、社内調査の結果、この架空循環取引と類似の不適切な取引が行われた事実は認められなかったとのこと。また、元社員A以外の阪田産業の他の役職員による組織的な関与も認められなかったとしています。ん~、ホントかね。

坂田産業においては、この元社員Aを懲戒解雇に、取締役社長が辞任。直属の上司(営業部長)は減給処分としたとのこと。親会社のサカタインクスにおいては、代表取締役 社長執行役員について、月額報酬の20%を減額(1ヵ月)という処分になっています。

なんとも雑だなぁ

調査結果の概要も別紙として公表しているんですが、3ページという代物。詳細はよく分かりませんが、元社員Aと子会社社長を切って、とにかく早く終わらせたいって感じに見えてしまうんですよね。

10年にわたって行われてきた架空循環取引の額、結構な金額ですよ。直近3期はいずれも15億円前後の架空の売上がたっています。再発防止策とかも書かれてるには書かれてるんですが、全体的にどうにも対応が雑過ぎるような・・・。

フクシマガリレイ株式会社 エモテット感染 業務委託先作業員の死亡事故

フクシマガリレイは3/3、「弊社を装った不審メールに関するお詫びとお知らせ」を同社ホームページで公表しました。そしてその翌日3/4には、「弊社工場における業務委託先の作業員の死亡について」を公表。ツイてないときってこういうもんだね。

フクシマガリレイ株式会社

フクシマガリレイは、飲食店の厨房などで利用される業務用冷凍冷蔵庫をはじめとするフード機器の専門メーカーです。ほかにも、冷凍・冷蔵ショーケース、大型食品加工機械などを手掛け、流通業界や外食産業などに販売する東証1部上場企業です。

エモテット感染

従業員のパソコンが、マルウェア 「Emotet(エモテット)」に感染し、同社メールサーバーからメールアドレスを含むメール情報が窃取されたことにより、同社従業員を装った第三者からの不審なメール(なりすますしメール)が複数の方へ発信されているということです。

また、個人情報である社内外関係者の氏名、メールアドレス、件名等のデータ の一部が外部に流出しました。なりすましメールでの二次被害や拡散が懸念されるところ。取引先等では注意が必要ですね。

死亡事故

この公表の翌日には、滋賀(水口)工場にて、業務委託先の作業員1名(71歳・男性)が亡くなる事故が発生しています。踏んだり蹴ったり、ってやつですね。50枚ほどの鉄製パネルが積まれた台車が倒れ下敷きに。救急搬送されたものの、病院で死亡が確認されたとのこと。

ツキがない、だけで済まされるものなのか、同社のガバナンスにスキがあるのか。しっかり検証する必要がありそうですが、今のところ調査委員会等の対応は考えてなさそうです。適時開示もされていません。

東宝株式会社 公正取引委員会が独禁法違反の疑いで調査

東宝は3/4、「公正取引委員会による当社子会社への調査協力要請について」を公表しました。子会社であるTOHOシネマズ株式会社が、映画配給会社との取引に関し、公正取引委員会から任意での調査協力要請を受け、3/3から当該調査が実施されたといいます。

東宝株式会社

東宝は映画の製作・配給のトップ企業。映画の興行や演劇の製作・興行、テレビ番組の製作なども手掛けています。阪急阪神HDが筆頭株主で、『ゴジラ』『ドラえもん』『ポケットモンスター』などの人気シリーズを持っています。もちろん東証1部上場企業ですね。

一昨年大ヒットした、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』も東宝でしたね。過去には『千と千尋の神隠し』や、『君の名は。』なんかも。

独禁法違反

公正取引委員会からは、関係法条として独占禁止法第3条及び第19条を提示されているとのこと。第3条は「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」という条文。第19条は「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」という条文です。

東宝からの開示はこれ以上の詳細情報がないのですが、報道によると、TOHOシネマズは取引先の映画配給会社に対し、自社に有利になるよう優先的な配給などを求めた疑いが持たれている。とのこと。また、他の映画館運営会社に配給しないよう要請し、応じない場合は取引しないことを示唆した可能性もあるんだそうです。

「私的独占」や「拘束条件付き取引」の疑いがかけられているということですね。疑いをかけられている作品は、なんなんでしょうね。この辺りkuniはあまり詳しくありません。

日野自動車 エンジン性能を偽る認証不正が発覚

日野自動車は3/4、「エンジン認証に関する当社の不正行為に関するお知らせ」を公表しました。日本市場向け車両用エンジンの排出ガスおよび燃費に関する認証申請において、エンジン性能を偽る不正行為があったことを確認し、エンジン性能に問題があることも判明したということです。

日野自動車

日野自動車は、ディーゼルトラック・バス、各種特殊自動車、小型商用車、各種ディーゼルエンジンの製造・販売を手がけるトヨタの連結子会社です。国内の普通トラックでは、いすゞとシェア争いを展開する東証1部上場企業です。

不正の概要

日本市場向け車両用エンジンの排出ガス、および燃費に関する認証申請における不正行為ですね。中型エンジンでは排出ガス性能の劣化耐久試験において、大型エンジンにおいては認証試験の燃費測定において、それぞれエンジン性能を偽る不正行為がありました。さらに、エンジン性能に問題があることも判明したといいます。

もともとは北米市場向け車両用エンジンについて、社内にて排出ガス認証に関する課題を認識したことから、外部弁護士の主導の下、自主的に調査を開始し、現地当局への報告を実施しています。これまでの間に米国司法省からの調査も開始されているといいます。

これを受け、日本市場向けエンジンにも調査対象を拡大し、今回公表した認証に関する不正が発覚したということです。既に、国土交通省および経済産業省へ報告したとのこと。

認証不正があちこちで発生していますが、ほとんどのケースで「性能には問題なし」というパターン。日野の場合は不正に認証を受けたエンジンが性能面でも問題あり。これはかなりインパクトのある不正ですね。3/7の同社株は取引開始後早々にストップ安(-150円)となっています。

SMBC日興証券 相場操縦疑いで役員ら幹部4人逮捕

SMBC日興証券の相場操縦疑惑で、東京地検特捜部は3/4、特定の銘柄について人為的に株価を操作する取引をした疑いが強まったとして、執行役員を含む同社幹部4人を金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で逮捕しました。

おさらい

逮捕容疑は、2019年12月から20年11月にかけ、東証1部上場の企業5社の株式(いや、もっとあるはずだけど)を巡り、株価を不正に安定させる目的で、買い注文を大量に入れるなど不正な取引をした疑い。

問題となっているのは、大株主の保有株を立会時間外で投資家に転売する「ブロックオファー」の仲介業務です。買い手を募り、完売できる見通しが立った日の終値が、下手に下げてしまうと売り手(大株主)が売却をためらう可能性がある。そのため、同日引け際で当該株価を買い支えていたというものですね。

逮捕者と同社の対応

逮捕された4人のトップである容疑者は、相場操縦ではなく通常の売買であると主張しているようですが、SMBC日興の社長は既に、「市場の公平性と公正性に疑問を生じさせる行為であることは明らか」と、謝罪会見を行っています。

さらに、「公正性を維持するための売買管理体制が十分でなかった可能性がある」とも。いやいやそれは違うでしょ。売買管理部門は問題のある売買をちゃんと見ていたはずです。通常の引け値関与とは違って、それは問題ないんだ。という経営の判断のもと審査基準の適用を除外していたはず。

ようするに経営が問題なしと認めていたということだと思います。経営陣の問題です。今はどうだか知らないけど、この会社、コンプライアンス部門は本社(営業部門)とは別の場所に置き続けてました。コンプラや監査といった部署を、現場から引き離している会社は要注意です。