関西スーパー 臨時株主総会における議決権行使の集計に係る疑義

関西スーパーマーケット(関西スーパー)をめぐる、大手百貨店エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)と食品スーパーのオーケー株式会社による争奪戦。臨時株主総会が開催され、関西スーパーとH2Oグループとの経営統合は僅差で可決されました。が、しかし。

オーケーの主張

オーケーは11/8、「関西スーパー様の臨時株主総会における議決権行使の集計に係る疑義の判明について」を同社ホームページで公表しました。なんと、集計作業に疑義が、、。

集計作業終了後、関西スーパーの判断として、「棄権」として扱われていたある株主の議決権を「賛成」としてカウントしなおしたというもの。これにより、「僅差で否決」となっていた結果を、「僅差で可決」にひっくり返した、という主張になっています。

関西スーパーの主張

一方の関西スーパーも、11/9、「当社の臨時株主総会における議決権行使の集計経過に関するお知らせ」を公表し、オーケーの主張に反論しています。集計結果を修正したことは認めつつ、次のような主張を。

総会における集計の途上、ある株主から総会受付に対し、自らの投票が事前に行った賛成の意思表示のとおり取り扱われているか確認してほしい旨の申出があった。集計作業終了前のことであり、当該株主からの依頼にこたえて、白紙投票=棄権、を賛成票と集計しなおした。というものです。

関西スーパーは、「株主様が投票時に示された議決権行使の意思表示を正確に反映して集計を行ったものであり、この取扱いの適法性に何らの疑義もございません」とも。いやぁ、凄いことになってきましたね。上記はかなりザックリ書いていますので、皆さんもぜひ両社の主張を読んでみてください。どちらもA4、2ページ前後の書き物です。

株式会社アウトソーシング 連結子会社で不適切な会計処理

株式会社アウトソーシングは11/5、「連結子会社における不適切な会計処理の疑い及び2021年12月期第3四半期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。11/15に予定していた決算発表が延期されてます。同四半期報告書に関しては別途検討中らしいです。

アウトソーシング

アウトソーシング社は、主にメーカーの製造・研究部門での業務請負や、人材派遣サービスを国内外で展開。M&Aによりグループ規模を拡大、海外展開も進め世界約30カ国でサービスを提供しており、売上高の5割程度を海外が占めています。東証1部上場企業です。

不適切な会計処理

開示によると、同社連結子会社のアウトソーシングテクノロジーの上場準備の過程において、不適切な会計処理が行われていた疑いがあることが判明したといいます。既に調査委員会を設置していて、調査に取り組んでいるとのこと。

アウトソーシングテクノロジーの子会社である、株式会社アネブルにおける仕掛品等の過大計上等の疑いがあり、アウトソーシング社の第3四半期決算の連結財務諸表に、数億円の影響を及ぼす可能性があるとしています。

また、過年度についても、上記同様の過大計上の他、アウトソーシングテクノロジーほかにおける収益の過大、費用の過小計上の疑いがあるようで、過年度も同様に数億円の影響が見込まれるようです。

これらを受け、計画をしていたアウトソーシングテクノロジーの株式上場にも影響が生じる見込みであり、アウトソーシングテクノロジー株式の上場申請を一旦取り下げる可能性もあると。

まだまだ詳細は不明ですが、現在に至るまでの決算内容に大きく影響しそうな気配。この開示を受けて、同社株は一時1615円のストップ安まで売られ、終値も458円安の1657円。爆下げです。

日本光電 従業員の不正行為

脳波計、心電計、生体情報モニタ、AED(自動体外式除細動器)などの総合医用電子機器メーカーである日本光電は11/4、「当社元社員による不正行為について」を公表しました。以前取り上げたことのある日本光電ですが、今度は従業員一人による着服です。

贈賄の疑いにより逮捕

日本光電といえば、今年1月。社員3名が三重大学医学部附属病院の生体情報モニタ商談に関連した贈賄の疑いにより逮捕されました。調査委員会を設置して約3ヶ月、事実関係の解明、原因分析等の調査を実施しました。なんだかんだで片付いたのが4月です。

不正行為の概要

そして今度は従業員が携わっていた商取引において、不正行為を行っていたことが発覚しました。その手口は、必要以上のネットワーク機器等の物品を調達した上で、お客様には正規の数量を納品する一方、余った物品を個人的に転売することにより不正に金銭を取得していたというもの。

総額約40百万円相当の物品を不正に転売し、金銭を取得していたことが確認されているようです。その被害の大半は同社に発生しているわけですが、「一部のお客様にも被害が及んでいる」とのこと(どういう被害なのか、この部分の意味はよく分かりません)。

今のところ開示されたのはここまで。不正行為の期間など、詳細は不明です。しかし、行為の手口があまりにもシンプル過ぎますよね。なんでこんな取引が看過されていたのか。調達先の従業員など、ある程度協力者がいないと成り立たないような気がします。

社内調査委員会を立ち上げ、全容解明に向けて調査を進めてきたようで、今後、詳細な事実関係の確認と原因究明を行うとしていますが、ガバナンスが効いている感じのない同社、詳細を公表する気があるのかどうか、も不明です。

ねんきん定期便談合 二十数社に課徴金

日本年金機構が発注した「ねんきん定期便」などの帳票の作成及び発送準備業務に関する談合問題で、公正取引委員会は、二十数社に排除措置命令や課徴金納付命令の処分案を通知しました。報道によると課徴金の総額は約14億円だそうです。

談合とは(復習)

談合とは、国や地方自治体の公共事業などの入札の際に、入札業者同士で事前に話し合って落札させたい業者を決め、その業者が落札できるように入札内容を調整すること。刑法上は談合罪(刑法96条の3)の適用があり、また不当な取引制限となる場合には独占禁止法に違反します。

二十数社

今回、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会による立ち入り検査を受け、同委員会より独占禁止法に基づく排除措置命令書(案)および課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書を受領したのが二十数社あるとのこと。

機構が発注するねんきん定期便や、年金振り込み通知書などのはがきや封書の印刷、発送準備業務の入札で、入札額や受注数量などを事前に調整していたということです。少なくとも数年以上続いていたといいます。

TDnetでの開示を見てみると、11/5までに、サンメッセ、光ビジネスフォーム、カワセコンピュータサプライ、トッパン・フォームズ、ナカバヤシ、ディーエムエス、共同印刷、の7社が当該事実を認めています。ただし、サンメッセは立ち入り検査は受けたが、命令書等は受領していないとしています。

課徴金の総額は約14億円とのこと。内訳をみると、トップはナカバヤシの3億1071万円。続いて、共同印刷 3億5百万円、トッパン・フォームズ 1億9600万円、ディーエムエス 7,835万円、光ビジネスフォーム 5,772万円、カワセコンピュータサプライ 1,840万円となっています。

SMBC日興証券 今度は相場操縦?

SMBC日興証券の社員らが特定の銘柄の株価を維持する目的で、不正な株取引を繰り返した疑いがあるとして、証券取引等監視委員会は2日までに、金融商品取引法違反(相場操縦)容疑の関係先としてSMBC日興本社を強制調査しました。

ブロックオファー

「ブロックオファー」は上場企業の大株主等が保有株を手放す際などに、証券会社が株式を引き取り、時間外の相対取引を通じてリテール顧客である投資家に転売する取引です。このブロックオファーを成立させるために、相場操縦が行われたということのようです。

「〇日の終値から〇%値引きした価格で買っていただけませんか?」。みたいな勧誘で個人投資家が了解し、必要な株数の買付けが見込まれると、その日の終値からディスカウントして投資家が買い付けることになります。

投資家との交渉に時間がかかるため、この間に株価が下がると大株主等は「下がってきたからちょっと今回の売りは見送ろう」なんてことになりかねません。そこで株価を下がらないように一定の価格で固定しようとする。ってなことになってるようですね。

社員ら

日本経済新聞によると、実際に株価を操作した(下がらないように買い支えた)者のことを、「社員ら」と表現しています。この「社員ら」というのはどういう意味なんでしょう。普通に考えれば自己売買部門だと思うんですが、そうだとしたら会社行為とみるのが普通なんだけど。

まだ分からないことが多過ぎなんですが、監視委員会は特別調査課(通称、とくちょう)が動いてるようです。とくちょうが動くときには相応の証拠をつかんでいるので、無罪放免というのはなさそうですね。課徴金が落としどころでしょうか。