株式会社アクアライン 消費者庁から行政処分 水道屋本舗

消費者庁は8/31、「訪問販売業者【株式会社アクアライン】に対する行政処分について」を公表しました。同処分を受けたアクアラインは9/2、TDnetで「当社の一部業務に係る行政処分について」を公表しています。が、こちらは非常に分かりにくいモノになってます。

株式会社アクアライン

株式会社アクアラインは「水道屋本舗」として、水まわりの急なトラブルの解消に24時間365日の緊急対応サービスを提供する、「水まわり緊急修理サービス事業」を展開する東証マザーズ上場企業です。

営業所を持たず作業員を自宅から派遣する方式で提供地域を全国に拡大しました。きっと皆さんのお宅の冷蔵庫の壁面に、「水道屋本舗」の名前のマグネット式のチラシが張られてるんじゃないかと思います。

処分の概要

今回消費者庁が行った行政処分は、ザックリいうと「水回りトラブルの修理でうその説明をして高額な請求をしていた」、「トイレ部品が製造中止になっているため全部交換するしかない、などと虚偽の理由を告げて、30万円以上の契約を勧めた」、「クーリングオフの対象なのに対象外と説明した」などというものです。特定商取引法違反ですね。

国民生活センターには、同社についての相談が2018年以降計707件あったといいます。とんでもない商売してますね。TDnetでは開示されていない、消費者庁が示した事例の一つを以下に載せておきます。同社の業者のセリフだけね。酷いっすよ。最後は脅し。

「見積書の裏にクーリング・オフができないと書いてるやろ。」、「消費生活センターに相談してもかめへん。クーリング・オフができないことに変わりはない。」、「私の誠意はどうなるんですか。」、「うちには、クーリング・オフはありません。」、「これからお宅に行かせてもらおか。」

EIZO 海外現地社員のメールアカウント乗っ取られる

EIZO株式会社(6787)は8/18、「第三者による当社海外現地社員メールアカウントの不正利用に関するご報告とお詫び」を公表しました。ただし公表は同社ホームページのみ。TDnetでの適時開示は行われていません。

EIZO株式会社

EIZO株式会社は、EIZO(エイゾー)ブランドで主にPC用のモニターを製造・販売。映像機器やその他ソリューションを、ヘルスケア、ビジネス、アミューズメントなどの分野に展開している東証一部上場企業。以前は「ナナオ」という社名でした。本社を石川県白山市に置く企業です。

メルアカの不正利用

同社の海外現地社員の電子メールアカウントが何者かに乗っ取られ、アカウント内に登録されていた社内外のアドレスに向け標的型攻撃メールが送信されたということです。

乗っ取られたアカウントにはメールアドレス3,130件(うち社外のメールアドレスは987件)および送受信メール1,053件が記録されていました。攻撃者はこのうち620件のメールアドレスに対して、アカウントの窃取を目的としたフィッシングサイトへのリンクを貼り付けた標的型攻撃と見られる電子メールを送信していたとのこと。

公表時点で電子メールによる被害は確認されていないようで、同アカウントから社内システムへの不正アクセスもなかったとしています。

被災者へのサービス

ここから話が全然変わってしまうんですが、同社のホームページで「令和3年8月11日からの大雨による被害を受けた当社製品をお持ちのお客様へ」という案内を見付けました。他にも二つの災害が併記されていて、同社製品の無償点検をしてるんですね。

これがEIZOブランドですか。PCモニター各社の中でもEIZO製品はずいぶんと高いんですよね。もちろん品質も良いんでしょうが。点検のみならず、修理や買い替えの対応もしているみたいです。こちらは交換部品代の負担が必要。買い替えに関しては特別価格で対応となっていました。

パナソニック 施⼯管理技⼠資格等の不正取得 522人

パナソニック株式会社は8/31、「第三者委員会からの調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。このところ何社も出てきている実務経験の虚偽による施工管理技士等の不正取得ですね。パナソニックグループで500人以上が不正取得していたとのこと。

施工管理技士

当ブログでも何度か取り上げてきた施工管理技士の不正取得。大和ハウス、東レ子会社の水道機工、西武ホールディングスなどで発覚してきました。

昨年、パナソニックの子会社、パナソニック環境エンジニアリング、およびパナソニックコンシューマーマーケティングにおいて不正が見つかり、第三者委員会が調べていたんですね。子会社での発覚、第三者委員会の調査開始が2020年11⽉27⽇ですので、なんと9か月もかかっています。

不正取得の概要

1981年~2020年に施工管理技士の不正取得が500人、工事現場の技術責任者であることを証明する「監理技術者資格者証」で38人の不正取得が見つかっています。このうち16人は両資格を重複して取得していたようで、人数としては522人ということになりますね。

実務経験等のチェック体制の甘さや、コンプライアンス意識の低さなど、定番の原因が並んでいますが、他社で見られたような組織として違反行為を推進していたような事実は認められなかったようです。

水道機工の調査報告書には次のようなことが書かれていました。「試験会場には、明らかに実務経験を満たしていないと思われる若い女性や、主婦、色白の男性といった受験者がいることなど、同業他社でも同じように受験資格を偽って受けているのだろうという推測が、役職を問わず広がっていた。」

これがおそらく現実であり、今回のパナソニックで打ち止めということにはならないでしょう。

イー・ガーディアン 子会社グレスアベイル取締役の不正行為

イー・ガーディアンは8/31、「当社子会社元取締役の不正行為に関する調査委員会設置のお知らせ」を公表しました。同社連結子会社である株式会社グレスアベイルにおいて、取締役による不正行為が発覚したとのこと。

イー・ガーディアン株式会社 株式会社グレスアベイル

イー・ガーディアン株式会社は、ブログやSNSなどのソーシャルメディアを運営する企業に対し、投稿されるコメントの内容を24時間365日監視するサービスなどを提供する、インターネットセキュリティ事業を展開する東証一部上場企業です。

100%子会社の株式会社グレスアベイルは、高度なセキュリティ対策技術の研究・調査、各種技術支援サービスを提供する企業。最先端のサイバーセキュリティ対策製品の開発を行っている会社ですね。

不正の概要

グレスアベイルでは、サイバーセキュリティ事業の他子会社との合併準備を進めていて、その過程で、この取締役と連絡が困難となり合併業務が滞る状況を受け、8/6付けでグレスアベイルの役員体制を変更し、同取締役を解任したといいます。

今月中旬に同社の銀行残高及び入出金明細等を確認したところ、残高に差異があり、書類偽装の疑いが発覚しています。同取締役が、会社の銀行口座から当該取締役名義の口座へ振込するとともに、その事実を隠蔽するため、書類偽装等の不正行為を行っていたことが発覚したそうです。

現在のところ把握できている不正行為は、2019年から2021年7月にわたり複数回行われており、現時点での不正金額の総額は約133百万円と推定しているとのこと。

今のところ判明していることは以上です。顧客のブログやSNSは監視出来ていても、子会社の運営状況や取締役の監視はしっかりできていなかったようですね。

みずほフィナンシャルグループ 金融庁へ改善報告書

日本経済新聞は8/31、「みずほ、新システム総点検 きょう金融庁に報告書」を掲載しました。2021年に入り6度のシステム障害を起こした問題で、新システムの総点検やバックアップが機能しない場合の復旧手順の整備などを盛り込んだ報告書の全容が30日、明らかになった、としています。

システム障害

みずほ銀行では2月末から2週間足らずで4件の障害が発生。その後、みずほが6月に策定した再発防止策を実行に移す途上で、8月20日と23日にも再び障害が起きました。中でも2/28の通帳やキャッシュカードをATMが取り込んで出てこなくなったという障害は驚きでした。

ATMが通帳やキャッシュカードを取り込むトラブルは合計5244件、自行ATMの7割超に相当する4318台が稼働を一時停止ました。インターネットバンキングの一部取引もできなくなったてましたね。

報告書

で、8/31に金融庁に報告書を提出するということなんですが、原因はなお突き止められていないんだとか。「点検を検討する」とか、「さらなる調査・確認を進めていく」とかとか。この報告書は中間報告みたいなもんですね。

SNSのとある書き込みで、「それにしても、金融庁に報告する前にここまで内容が漏れる(漏らしてる)のも、どうかと思うが」というのを読みました。たしかに昔からリークの非常に多い会社ですが、今回はどうなんでしょうね。

通常、金融庁が報告書を徴求・受領する際は、あらかじめドラフトを提出させ、金融庁が納得してからの正式提出となります。ドラフト段階でいろいろと指導が入ります。つまり、提出の前段階で内容を把握しているわけで、日経に報告書の内容をリークしたのは金融庁という可能性も結構高いんじゃないかと。