スルガ銀行 新たな不正融資問題

6/29付け日本経済新聞に、「スルガ銀の不正融資問題、投資マンションでも火種」という記事がありました。シェアハウスを巡る不正融資でもめてきた同社ですが、新たな問題に発展する可能性がありそうです。株主総会で被害者弁護団が投資用のアパート・マンション向け融資の不正を指摘、これを受けて書かれた記事のようです。

6/29 株主総会で

定時株主総会に、株主である「被害者弁護団」が出席し、投資用のアパート・マンション向け融資の不正を巡り議事が紛糾したようです。日経では、総会で複数の株主が「(アパート・マンション融資で)不正融資による被害が出ている」と追及。「議場ではやじが飛び、議事が混乱したため、総会を途中で打ち切った」と伝えています。

2018年に行政処分を受けたシェアハウス向け融資が2000億円程度だったのに対し、アパート・マンション融資の今年3月末の残高は1兆960億円で、全融資の47%を占めているそうです。シェアハウス向けのように全ての融資が、というわけではないでしょうが。

家電量販大手のノジマが提携解消を申し入れたというのも気になりますね。スルガの実態を知ってしまったからなんだろうかと考えてしまいます。

シェアハウス問題も

日経では、「スルガ銀は不正を認めたシェアハウス向け融資について、債務者に資金を弁済する方針に転換。8月にもその受け付けを終了すると発表し、不正融資問題は終結するとみられていた。」としていますが、そうでもないみたいですね。

日経が取り上げていた弁護団とは別の弁護団に対しては、同「弁護団を窓口とした債権一括譲渡・代物弁済の実現を断念することとな」ったとの通知が、シェアハウス被害者に対してなされているとか。こちらもまだまだ混乱しているようです。

日本軽金属ホールディングス 認証不正取得 JIS 認証の取消し(その2)

5/17に、「日本軽金属株式会社におけるアルミ板製品の JIS 認証の取消しについて」を公表した日本軽金属ホールディングス。JIS認証違反調査委員会を設置し、6/9には特別調査委員会に衣替えして調査を進めていましたが、また別の会社でJIS認証の取り消しだそうです。

日軽形材株式会社

今度の不正は同社孫会社の日軽形材株式会社という会社です。日軽金HDの子会社である日軽金加工開発ホールディングスの子会社ですね。

同社岡山工場における JISマーク表示製品について、日本品質保証機構より鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格への適合性の認証に関する省令に定める基準を満足していないとして、2021年6月30日付でJIS認証の一時停止通知を受けました。

開示された情報

JIS認証違反調査委員会が特別調査委員会に変わったあたりで、他にも不正が新たに見つかったんだろうな、、、なんて思ってましたが、やはりという結果です。ただ、開示された情報によると特別調査委員会が発見したわけではないようです。

JIS認証を受けていない製品にJISマークを付けて出荷していたということなんですが、ちょっと気になる記述もありました。それが、「JISマークは表示していないが顧客要求に基づく判定をすべきところ、社内規格に基づく判定を行い、結果顧客要求を満たさない製品を出荷していたたことおよびJISで規定された試験を実施していなかったこと」というところです。

「判定」とか「試験」という言葉が使われていて、ビミョーですが、検査不正のようなこともやってた、ということでしょうかね。

ラサ商事 OKK ショーエイコーポレーション 有価証券報告書の提出期限の延長

6/30、本来ならばこの日に有価証券報告書を提出しなければならなかった企業が、提出期限の延長を申請しました。タイトルのように、ラサ商事、OKK、ショーエイコーポレーションの3社です。いずれも当ブログで過去に取り上げたように、不祥事の発生によるものですね。

ラサ商事

2014年に子会社化した旭テック。石油化学プラントをはじめ、多種多様な分野のプラントや関連設備の設計・施工・メンテナンスが主要事業となっています。そんな旭テックで、従業員が行方不明となり、捜索発見後事情を確認するなかで、数年にわたり売上原価が不正に先送りされている可能性があることが分かったとのこと。

これまでの調査により、不正な会計操作の結果、連結当期純利益への影響額として、2008年以降の累計で概ね350百万円の減少要因になるとの途中経過が公表されています。

OKK

棚卸資産の残高確定の過程において過去の会計処理に誤りがあるとして調査を開始。調査の過程で、適切な棚卸資産の調査・把握や会計処理の調査・把握について、同社役員による不適切な業務執行の可能性を含む内部統制上の問題がある疑義が生じたとしている件です。

ショーエイコーポレーション

架空循環取引が行われていたという事件。ただし、主導者はあくまでも別の会社の個人であって、ショーエイはその架空循環取引に巻き込まれたという結論でした。その後はショーエイ担当者も能動的に協力して架空循環取引の規模を拡大してしまったということでしたね。

各社とも提出期限の延長により有価証券報告書等の提出、間に合わせてくると思われますが、役員の不正行為に発展しそうなOKKはビミョーですかね。

三菱電機 またもや検査不正

三菱電機は6/30、「当社鉄道車両用空調装置等の不適切検査に関する件」を公表しました。何かと事件が多い三菱電機ですが、今回のこの事件、あっという間に他の製品の検査不正に飛び火。なんと鉄道車両ブレーキの検査不正という物騒な話まで出てきました。

空調装置

まずは、鉄道車両向け空調装置の一部機種で「不適切な検査」を行っていたという話。製造を担う長崎製作所で架空の検査データを顧客に報告するなどしており、検査不正は1980年代から30年以上続いていた疑いがあるとのこと。

しかも、架空のデータを自動で生成する専用プログラムを、遅くとも1980年代から使うといった悪質な手口が明らかになっているようで、組織的な不正であることは間違いなさそうです。

ブレーキ用空気圧縮機

翌日、続いて出てきたのが、鉄道のブレーキなどに使う空気圧縮機でも「不適切」な検査があったという報道。こちらも10年程度にわたり行われていたようで、1000台を出荷しています。鉄道用空調装置の検査不正に関する調査の過程で判明したそうです。

空調装置の検査不正は6/14に社内調査で判明していて、累計出荷台数は8万4600台。ブレーキ用空気圧縮機の検査不正については6/28に分かったといいます。

株主総会終了後

6/14、6/28と、立て続けに判明したとのことですが、これらはいずれも6/29開催の同社定時株主総会前に把握できていたことになりますね。しかしながら、株主総会ではこの話題に触れていないようです。

この株主総会における決議事項の議案は「取締役12名選任の件」だけ。12名中11名は再任です。検査不正を隠し、自分たちの再任を優先したと言われてもしょうがないですね。こういう人たちに、「製品の安全、機能、性能に影響はない」と説明されてもねぇ。

ジェイリース株 インサイダー取引事件の告発

証券取引等監視委員会は6/30、「ジェイリース株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について」を公表しました。このことを受けて、ジェイリース株式会社は7/1、「証券取引等監視委員会による発表について」を公表しています。

事件の概要

監視委員会の公表を受けて、ジェイリースとしては、「本件は当社株券に係る事案ではありますが、当社及び当社役職員による内部者取引への関与は一切なく、また嫌疑をかけられている事実もありません。」といいう事実を訴えているわけです。

確かにタイトルだけサラッと読むと、ジェイリース(もしくはその役職員等)が悪さをしたのか、、、って感じにも見えそうですね。お気の毒です。

事件は、ジェイリースと守秘義務契約を締結し、事業に関する検討をしていたJ・PROTECT株式会社の代表取締役が、知人に業務提携に関する情報を伝え、当該重要事実を公表する前に株券を購入したというもの。

利益を得させる目的をもって重要事実を伝達した代表取締役、重要事実を聞いて株式を買った知人、二人そろって金融商品取引法違反(内部者取引、情報伝達)の嫌疑で告発されたというものです。

遡ってみると

監視委員会の公表文では平成2年5月下旬としています。確かに業務提携が公表された5/25から株価はぶっ飛んでます。230円くらいの株価が5/28には444円まで。この知人さん、ジェイリース株式を9万株、約2270万円で買い付けたといいます。

買付け単価は250円くらい。1,700万円くらい儲けてますね。ここまで派手に買い付けて、バレないとでも思ってたのか。前にも書きましたが、インサイダー取引は絶対にバレるんです。