サイバーリンクス(3683) これで適時開示?

サイバーリンクスは6/9、「サイバーリンクスとシーネット、物流DX分野で連携開始」を公表しました。同社ホームページでは、「適時開示」というマークを付した形でこの公表文が掲載されているんですが、、、。

EDI2024年問題

2024年から2025年にかけてNTT東西は固定電話網(PSTN)をIP網へ移行する予定です。IP網への移行に際し、ISDNサービス(INSネット/ディジタル通信モード)は2024年のサービス終了が予定されており、新しいEDI通信へのスムーズな移行が求められているということです。

EDIとはElectronic Data Interchangeの略で、日本語では電子データ交換。コンピューターネットワークを用いて、受発注・決済などの業務用文書をやりとりすることだそうです。そのEDIが利用してきたISDNがなくなってしまうのでさぁ大変。というのが2024年問題です。

シーネットが提供する倉庫管理システム「ci.Himalayasシリーズ」と、サイバーリンクスが提供するEDIの効率化を支援する「クラウドEDI-Platform」との連携を開始したというニュース。この連携により、「ci.Himalayasシリーズ」において個別の設備投資を行うことなく、EDI2024年問題への対応を行うことができるということらしいです。

適時開示

社会課題の解決、良い話ですね。株式市場にも伝わり、サイバーリンクス株は急騰しました。が、しかし、TDnetで探しても一向に出てきません。EDINETにもありませんでした。kuniが知ったのはみんかぶという会社が出しているニュース。10:30頃に開示があったとされているんですが。

冒頭にも書いたように、同社ホームページでは「適時開示」のマークを付けて掲載されています。いったいどこに開示したんでしょうかね。こういうの適時開示と呼べるんでしょうか。

理研ビタミン 例の連結子会社 青島福生食品有限公司を譲渡

理研ビタミンは6/8、「連結子会社(青島福生食品有限公司)の異動(持分譲渡)および当該子会社に対する債権放棄に関するお知らせ」を公表しました。昨年、不適切な会計処理ですったもんだした青島福生食品有限公司をやっと切り離します。

おさらい

昨年の夏、中国子会社の青島福生食品におけるエビの加工販売取引の実在性が確認できなかったり、棚卸資産の過大計上の疑義が出てきたりと、決算発表は遅延するわ、上場廃止の危機にも見舞われました。時間の問題だろうなとは思っていましたが、決断したようです。

譲渡を決定

「青島福生食品の業績悪化および不適切な会計処理を契機として、グループ内における同社の位置付けについて検討を行い、青島福生食品の全持分を譲渡することが最善である」、と判断したようです。正解だと思います。

譲渡価格は1人民元ながら、10億円程度の債務弁済を受けるようです。青島福生食品に対する貸付債権については、過年度に貸倒引当金を計上していることもあり、譲渡と債権放棄による業績への影響は軽微で済むようです。

さてと、

ここまでの判断は大正解だと思います。今後米中冷戦が本格化する中、中国連結子会社なんぞ何の役にたちません。リスク以外の何物でもないと思います。開示文書にもありましたが、既に当地での人件費は全然安くないんです。

今後の代替生産拠点をどうするのかは言及されていませんが、労働の質が高い国内に生産拠点を戻すべきだと思います。このニュースで株価は上がるのかな?興味ありますね。

ネットワンシステムズ 元従業員2名が警視庁に逮捕

ネットワンシステムズは6/7、「当社元従業員の逮捕について」を公表しました。当ブログでも散々取り上げてきた従業員の不正取引。2名がそれぞれ警視庁に逮捕されています。この件は同日の日本経済新聞の朝刊で取り上げられていました。ネットワンの公表はこれより遅れて10:30でした。

日経の記事

日経によると、事業と無関係な業務の外注費約2億円を支払わせたとして、警視庁捜査2課は6日、元社員のS容疑者(50)を背任の疑いで逮捕しました。また、同社に対する詐欺罪で起訴されていた元社員、M被告(42)が約4億7千万円を詐取した疑いも新たに判明し、M被告を詐欺容疑で再逮捕したとのこと。

同じ会社で二人の犯罪者が出てしまうのもビックリですが、職場まで同じ人たちですからね、この二人。S容疑者は「(会社のために)リスク費を積み立てていた」などと、自らの利得を否定する趣旨の供述をしているそうで、M容疑者は容疑について黙秘しているんだとか。

彼らがどんなことをしてきたかの詳細についてはもう書きません。過去記事をご覧になっていただければと思います。「ネットワン」で検索していただけば、沢山出てくると思います。

日経の記事では、「M容疑者が20年に公表された不正経理にも関与していたとみて捜査を進めている。」となっていましたから、例の架空循環取引に関してはまだ捜査中ということのようです。

架空循環取引

調査報告書やこの取引に加担した各企業が、揃って「ネットワンに巻き込まれただけ」としていたわけですが、ここにも警察が。本当にみんな被害者だったのか、警察はどういう結論を出すんでしょうかね。東芝ITサービス、日鉄ソリューションズ、富士電機ITソリューション、みずほ東芝リース、ダイワボウ情報システムなどなど、もう捜査の手は及んでるんでしょうか。

日東電工 連結子会社で情報漏洩 日東電工は公表せず

日東電工の連結子会社の株式会社ニトムズは5/12、「個人情報等の漏えいに関するお詫び」を公表しました。非上場会社ですので、同社ホームページだけでの公表です。外部業者を装ったメールへの同社従業員によるアクセスにより、、、としていますからフィッシング被害ですね。

情報漏洩の概要

4/30、同社従業員の会社貸与のスマートフォンに外部業者を装ったSMSが届き、従業員がSMSを開封し、アカウント・パスワードを入力。その後、スマートフォンのサービス通知により、第三者による不正アクセスが行われたことが判明したといいます。

漏えいした可能性のある情報は、同社の取引先担当者の会社名、氏名、電話番号(一部メールアドレスを含む)や名刺情報だそうです。個人情報等が漏えいした可能性がある取引先担当者には、個別にお詫びと説明をしているとしています。

気になるところ

5/12には個人情報保護委員会にも報告していますし、問合せ対応等についてもそつなく実施できています。ところがここで気になるのが、親会社の日東電工の対応です。適時開示はおろか、同社ホームページでの公表もしていません。そのため、kuniも1か月近く気付きませんでした。

日東電工の有価証券報告書で見る限り、ニトムズは日東電工の100%子会社です。連結子会社に関する親会社としてのガバナンスが問われはしないのでしょうか。新型コロナ感染者発生のお知らせは、グループ会社も含めてかなり力を入れて発信されてますが、情報漏洩に関してはあまり興味がないのでしょうか。

事故物件の告知 国が不動産契約で指針案

5/30付の日本経済新聞に、「事故物件の告知、病死は不要に 国が不動産契約で指針案」という記事がありました。国土交通省が、入居者らが死亡した「事故物件」について、不動産業者が売買、賃貸の契約者に告知すべき対象をまとめた初めての指針案を公表したとのこと。

指針の概要

事故物件は宅地建物取引業法で告知の必要があるそうですが、明確なルールがなく具体的な扱いは業者の判断に委ねられていたんだそうです。だから、住んでみて事故物件が分かってもめ事に、なんてのをよく聞くわけですね。

指針案の概要は、住んでいた人が、病気や老衰、転倒事故により死亡した場合は告知の対象外。殺人や自殺、火災による死亡は告知すべきだとしています。また、賃貸物件は発生から3年経過すれば告知は不要。ちなみに、売買物件は参考ケースが少ないため、期間を当面限定しないとのこと。

病死を告知の対象に含めると、単身高齢者の入居受け入れに影響することにも配慮したということ。確かにおっしゃる通りだと思います。上手く整理され、考え方が明示されましたが、指針ですので強制力はありません。

パブリックコメント

日経で、「6月18日まで一般から意見を募った上で決定する」と書かれてましたので、パブリックコメントを覗いてみました。ありました。当該指針案の正式な名称は、「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」です。相変らず長いタイトル。

読んでみて気になったこと。「宅地建物取引業者が本ガイドラインに基づく対応を行った場合であっても、当該宅地建物取引業者が民事上の責任を回避できるものではないことに留意」。とあります。

つまり、ガイドラインに告知不要と整理されていたとしても、もし訴訟になればガイドラインが助けてくれるわけではないと。これだからガイドラインってヤツは扱いにくいんですよね。良い業者はより幅広に告知せざるをえません。