富士ソフトサービスビューロ ユー・エム・シー・エレクトロニクス 審判手続開始決定通知書

有価証券報告書等の虚偽記載について、証券取引等監視委員会から課徴金納付命令の勧告が行われた富士ソフトサービスビューロ。2/4には「審判手続開始決定通知書」を受領したことを開示しています。応諾することも併せて表明しました。

開示の内容

「2/4付けで審判手続開始決定通知書を受領し、取締役会でその内容を応諾することおよび答弁書を金融庁審判官に提出することを決議したことをお知らせします。」と書かれています。投資家や株主のための開示のはずですが、難しいですね、これ。

課徴金納付の流れ

ということで少しわかりやすくしてみましょう。いつも書いているように、まず証券取引等監視委員会が内閣総理大臣および金融庁長官に対して課徴金納付命令の発出を勧告します。これを受けて、金融庁は審判手続開始決定通知書を当該企業に送付します。

企業は通知を受けた内容(審判の期日、場所、違反事実、課徴金の額など)を確認し、異議がなければこれを応諾し、違反事実、課徴金の額を認める旨の答弁書を提出します。答弁書を提出することで、審判(裁判類似手続である行政審判)は開催されることはありません。

その後、審判官は課徴金納付命令決定案を作成し、金融庁長官に提出します。金融庁長官は、その決定案に基づき、課徴金納付命令の決定を行います。ザックリ、こんな流れなんですね。

今回の富士ソフトサービスビューロの開示。審判手続開始決定通知書を受け取ったけど、課徴金納付に関して異議がないので、答弁書を提出して納付命令に従うことにしました。ということでした。同じ日に勧告されているユー・エム・シー・エレクトロニクスはまだ何も開示してませんね。

高松コンストラクショングループ 今度は髙松建設で従業員の不正行為

高松コンストラクショングループは2/5、「当社連結子会社社員に対する刑事告発について」を公表しました。昨年12月、連結子会社の青木あすなろ建設で従業員の不正行為を公表したばかりの同社。今度はもう一つの中核子会社高松建設での不正行為です。

不正の概要

高松建設が設計・施工で進めてきた物件において、同社従業員が単独で建築確認申請書類および確認済証の偽造をおこなっていたというもの。同社の社内調査により事実関係が判明したといいます。

判明後、本件に関して同社社内において徹底した調査を実施。当該調査結果を踏まえて、同社は、当該従業員を公文書偽造・同行使の容疑で刑事告発しました。

トカゲの尻尾切り

辞書で引いてみると、トカゲが危機に瀕した場面などで自ら尻尾を切除し、外敵から逃れようとする行動のこと。比喩としては、組織で事件や不祥事が起きた際に、組織内で比較的立場の弱い者に表向きの責任を取らせ、より責任を追うべき立場にある者が責を逃れること、つまりスケープゴートにすることを指す。と説明されています。

昨年末に起きた不正にしてもそうでしたし、今回の不正に関しても同様。組織で発生した不正を実際に行為を行った一従業員だけの責任にして、処分。今回は刑事告訴。そうした不正が発生することとなった原因等、組織や経営に根差す問題や課題を放置するんですね。西華産業の記事でも書きましたが、こういうのはいかがなものかと。

代表取締役の異動

2/10には、青木あすなろ建設出身の社長が退任し、高松建設創業者一族、高松氏が社長に就任しています。昨年末の青木あすなろ建設の不祥事の責任を取って社長が退任。創業者の長男の長男、高松氏が社長に就任するにあたり、直前に高松建設の不祥事を大掃除したって感じですか。

博報堂DYホールディングス またまた子会社従業員の不正

博報堂DYは2/10、同社連結子会社である株式会社博報堂プロダクツ元社員による不正が発覚し、それにともない発生した損失の計上を行ったことを公表しました。同社グループの損失額の合計は、なんと約27億10百万円となり、第3四半期連結決算において同額を特別損失として計上しています。

不正の概要

2016年からの4年間にわたって、同社名を騙って金券及び商品券の発注を行い、入手した金券及び商品券を現金に換金し、当該発注の代金を支払うために金券及び商品券の発注と現金への換金を繰り返していたとのこと。換金により得た現金の一部は同社員が個人的に使用していたといいます。

開示分を読みながら、7億円を横領して六本木で豪遊していた奴を思い浮かべていたんですが、あの7億円男は博報堂DYメディアパートナーズという会社でした。今回開示されたのは博報堂プロダクツ、、、。あれとは全くの別件かよっ。てマジで驚きました。

会社の損失が27億円といいますから、これだけのお金を社員は費消していたということですかね。ちょっと桁が違いますね。広告代理店ってロクな話聞かないけど、ちょっと酷過ぎですわ。金銭感覚もかなりズレてる感じ。

どういう管理が?

こんな原始的なワルサ、自転車操業をなぜ4年間も放置してしまったんでしょう。「業務とは関わりなく行われたことから、当社としては把握することができず、、、」などと説明されており、恥ずかしいことに、「昨年12月に、発注先からの残高確認によって事態を認識した」とも。

「特別委員会を設置して詳細な実態を明らかにしつつ、再発防止策を検討する」とはしていますが、調査結果や再発防止策は公表されそうじゃないですね。とりあえずの再発防止策は「換金性の高い物品の取引を当面、原則禁止といたします。」ですって。「当面」とか「原則」ってなに?

東京精密(7729) 連結子会社における前社長の不正行為(その2)

東京精密は2/8、特別調査委員会の設置と、発生した不正行為の概要について公表しました。当ブログでも一昨日に取り上げましたので、情報をアップデートしておきます。特別調査委員会は外部専門家(弁護士、会計士)と社外取締役監査等委員で構成しています。

東精エンジニアリング

不正行為の舞台となったのは、やはり東精エンジニアリングでした。東京精密100%出資子会社ですね。1969年設立で本社は茨城県土浦市、資本金988百万円、従業員は580人となっています。半導体製造装置関連製品と、計測機器製品の製造・販売が主要事業のようです。

社内調査で把握した概要

同社前社長のキックバックによる着服行為は、約10年にわたり外注先への発注を装ったもので、合計約120百万円が前社長に還流していた可能性があるとのこと。

また、海外取引先に対する長期滞留売掛金の回収については、同取引先在庫を同社の中国現地法人に販売するスキームで回収を図ったもので、約360百万円の売掛金を回収した可能性があるそうです。

こちらの売掛金の回収に関しても、金額を考えると前社長が絡んでいそうですね。10年にわたり着服行為を繰り返していたというこの方、平成16年から平成29年まで代表取締役社長を務められた U氏でしょうか。

【2/12 追記】

上記の記述につき、「前社長は先月末に交代していて、平取り再下位に降格しています。」というご指摘を読者の方からいただきました。2017年6月に社長に就任されたT氏が前社長だとのご指摘です。U氏でしょうか、とした上記認識は誤りだったようです。大変失礼いたしました。

オンコリスバイオファーマ(4588) インサイダー取引

証券取引等監視委員会は2/5、オンコリスバイオファーマの社員から伝達を受けた者によるインサイダー取引を認定し、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令を発出するよう勧告しました。

違反行為の概要

オンコリスバイオファーマの社員から、中外製薬との業務提携に関する情報の伝達を受けながら、その事実が公表される前にオンコリス株式を合計2万株買い付けたというもの。なんと買付代金は4,700万円だそうで。で、納付を命じられる課徴金の額は2,820万円です。

オンコリスバイオファーマの開示

この監視委員会の勧告について、オンコリスは2/5、2/8の二日にわたって情報開示を行っています。同社の社員が第三者に情報を提供したという指摘について、同社としてはそういう事実を確認していないというもの。また、監視委員会から「同社社員」に関する情報提供もないと。

重要事実を第三者に伝えたものの、その第三者を儲けさせる意図までは立証できなかったんでしょうね。それでこの社員はお咎め(課徴金納付命令)を受けていません。

また開示文では、監視委員会へ問い合わせた際の口頭回答として、「役員以外の関係者につき、まとめて『社員』という表現を使用するため、そのような表現となった」と聞かされたようです。

さて、ここで監視委員会が言ってる「まとめて社員」とはどういう意味でしょう。アルバイトやパート、派遣社員までも含んでいるという意味でしょうか。最近は受付嬢や秘書まで事務派遣っていうの珍しくないですしね。役員が密会等で秘書に漏らし、秘書がまた別のパトロンに伝えたとか、とか。妄想膨らむわ~。

話を戻して、このインサイダー取引、公表日の後場寄りまで買付けてるんですが、最初の買付けはその2週間も前からなんですよね。先日、モルフォの役員の課徴金命令が取り消されたように、実質的な決定時期の判断等が争われる可能性もあるかもしれません。