日立化成に続く 日立金属 今度は売却のことです

日立製作所が、上場子会社の日立金属売却に向け入札手続きを進めていることが11/20、報道されました。複数の投資ファンドが関心を示しているようです。日立金属で発覚した品質不正の調査報告を12月に予定していて、その結果を受けて手続きを本格化させるんだそうで。

膿を出し切って売却

今年4月末、当ブログでも日立金属の検査不正を取り上げました。その時にも書きましたが、昭和電工による日立化成へのTOB(株式公開買付)が成立するのを待って、日立金属の不正を公表。日立化成はかなり良い値がつき、日立としてはなかなか上手く売り抜けました。

で、今度は日立金属の不正を公表して特別調査委員会を設置したというわけです。今年1月に発覚し不正を4月になってやっと公表。特別調査委員会が半年以上にわたって調査を行い、膿を出し切って身綺麗になってから高値で売り抜ける。日立の勝ちパターンでしょうか。

買い手は

特殊鋼製品や磁性材料製品で、検査成績書に不適切な数値の記載が行われていた等の不正が行われていました。これらの製品は主に自動車産業向け。2021年3月期の決算予想は売上高で25%の減収、最終利益は330億円の赤字予想となっています。

日立化成は、新型コロナの直前に、黒鉛電極で超バブリーだった昭和電工に上手く売り付けましたが、今回はコロナ感染拡大第3波のもと、、、そう上手くはいかないでしょう。売却に向けた入札について、米ファンドのアポロ・グローバル・マネジメント、カーライル・グループ、KKR、ベインキャピタルなどが応札を検討しているといわれていますが。。。

さて、来年、日立金属が片付いたら、、、その次は日立建機ですか。ここでも不祥事、出てきますかね。

三井住友ファイナンス&リース、ケネディクスにTOBだと? インサイダー

三井住友ファイナンス&リースは11/20、不動産投資ファンドのケネディクスを子会社化すると発表しました。TOB(株式公開買付)を通じて株式の過半を取得するということで、買収総額は1200億円弱となるそうです。ということらしいんですが、、、こりゃまずかろう。

チャート画像

この株価どう説明?

掲載したチャートは直近3カ月間のケネディクスの日足の株価動向です。ちょっと見にくいかもしれませんが、11/9に699円まで買われています。一旦下げた後19日に再び動き出し、TOBが公表された20日には前日比30円高で寄り付いた後655円まで買われました。この二日間で79円高です。

ケネディクスを通じてTOBが公表されたのは20日の16:45。20日の取引が終了してからですね。この急騰をどう説明できるのか。出来高も846万株と、前日の3倍くらいに膨らみました。

ちなみに、日本経済新聞は15:00ちょうどにTOBを報じています、これ電子版ですかね。TOBをかける三井住友ファイナンス&リース。友好的にそれを受け入れるケネディクス。取引終了時間前にはTOBの予定を知っていた日経。さて、どこからリークしましたかね?

インサイダー

証券取引等監視委員会の出番です。しかし、最近あまり仕事してない感じですからね。直近でインサイダー挙げたのはソフトマックス株式(3671)でしたか。勧告した課徴金の額はなんと27万円。トホホな事件です。

さぁて今回は大きなヤマですよ。655円までインサイダーで買ったヤツらが、750円で売れちゃうんですから。三井住友系はインサイダーの前科たくさんありますからね。監視委員会がどこまでやれるか、お手並み拝見とまいりましょう(ただ、調査の結果が分かるのは早くて来年でしょうけど)。

スカパーJSATホールディングス(9412)

子会社の不祥事で注目、昨日その話を書きました。スカパーJSATホールディングスを調べていて新しい発見がありましたので、あらためてその辺りを書こうかと思います。スカパーといいますから、例のCSデジタル放送の会社ぐらいにしか思っていなかったんですが、、、。

宇宙事業とメディア事業

メディア事業については誰もがよく知っているところだと思いますが、宇宙事業というのは意外に知られていないのでは。いや、kuniが知らなかっただけかもしれません。昨年度の売上で見ると宇宙事業では535億円、メディア事業が976億円。営業利益で見ると、宇宙事業が80億円、メディア事業が45億円と逆転します。

同社は通信衛星を保有しており、日本全国はもちろん、アジア全域、オセアニア、ロシア、中東、ハワイ、北米をカバーしているといいます。衛星通信ネットワークは災害に強く、防災・危機管理や移動体の通信インフラとして活躍しているようです。

宇宙で得られる衛星ビッグデータ

静止衛星や低軌道衛星から得られる様々な宇宙データを活用した事業創出に取り組んでいるようで、この情報ビジネスは今後も期待が持てそうです。宇宙からのデータを地上で活かす流れが、子会社のエンルートでも活かされるということだったんですね。

スカパーJSAT・ゼンリン・日本工営が業務提携した「衛星防災情報サービス」。JAXAとの協業での衛星では光学望遠鏡を搭載し、静止軌道上のスペースデブリ対策を目的としているとか。これから盛んになるであろう宇宙産業において、かなりのアドバンテージがありそうです。

株価の方は480円前後、万年割安株のようですね。今期第2四半期の決算では宇宙事業が好調な様子。宇宙事業に関する見直しが進むようであれば、株価は違う次元に、、、。

スカパーJSATホールディングス 子会社のエンルートで公的資金の不適切な受給

スカパーJSATは11/13、連結子会社が農林水産省等から処分を受けたことを公表しました。連結子会社のエンルートが、コンソーシアムの一員として参加していた農林水産省等からの委託事業において、委託費の一部を不適切に受給していたということです。

委託事業

参加していた委託事業というのは、ドローンやセンシング技術を活用した「栽培管理効率化」や「病害虫防除管理効率化」といった技術を開発する案件。もう一つは「革新的技術開発・緊急展開事業」というもので、よく分かりませんが、AIを活用した農業創造にかかる案件。

この二つの委託研究事業に関して、本来計上するべきではない人件費を計上していたり、その他の費用(機械・備品費、消耗品費、)についても本来計上するべきではない費用が計上されていたというもの。ドローン機体の販売における過大請求なんてのもありました。

農林水産省等による処分の概要

農水省は委託研究費の返還命令、委託研究事業等の指名停止措置(9か月間)などの処分を行ったようです。エンルートの説明では、農水省に約700万円、農業・食品産業技術総合研究機構に約2400万円を返還するということです。

ちなみにこのエンルート、今年3月にも新エネルギー・産業技術総合開発機構からの助成事業案件・委託業務案件に関して、助成金・委託費の不適切な受給をお詫びしていました。この事案を受けて調査した結果、今回の事案が発覚したという訳です。

高齢化により従事者が減少しているという日本の農業の課題。その課題を解決していくためのドローンを活用した農業分野の新技術開発。事業としても今後魅力ある分野なのにねぇ。もったいない話です。しかし、スカパーって、こんな子会社持ってるんですね。

クレアホールディングス(1757) 臨時株主総会開催中止

クレアHDは11/19、臨時株主総会開催を中止することを公表しました。直前まで株主のセノーテキャピタルとその開催を巡って争っており、何がなんでも開催しようとしていたクレア側が、中止を言い出しました。セノーテキャピタルが他の株主に対して粗品を渡していることを問題視したようです。

直前の中止

臨時株主総会は11/20、午前10時開催予定でした。会場は信濃町の明治記念館です。「富士の間」という部屋ですから、一番デカい部屋ですね。そんな立派な部屋まで準備しておいて、前日に中止とは。それも22:45の公表ですからね。

株主がTDnetやクレアHDのホームページとか、四六時中チェックしてるわけではないんですから。これきっと、当日の会場まで足を運んで中止を知った株主もいたんでしょうね。ちょっとこれはまずいでしょ。

連結子会社の異動

11/19、同じ日の15:00には、また別の開示がされています。「連結子会社の異動(株式譲渡)及び特別利益の計上に関するお知らせ」というもの。100%子会社のアルトルイズム株式会社をMBOに応じる形で売却したということですね。譲渡価額は147百万円ですと。

何がなんだか訳がわからなくなってきました。セノーテキャピタルと揉めてる状況(かなり演出ぽく見えてきました)で株価を煽り、その一方では子会社売却で資産の現金化も進む。この特別利益はどこへ?株主の方は、ここ見ておく必要がありそうです。

この子会社の譲渡についても取締役会で決議しています。で、開示は15:00です。これより前に取締役会は開催されているわけですが、臨時株主総会の中止の開示は22:45。やっぱり悪質ですね。