第一商品(8746) 行政処分に関するお知らせ

経済産業省及び農林水産省は、8/7、商品先物取引法に基づく商品先物取引業者である第一商品株式会社に対し、商品先物取引業の停止を命じるとともに、商品先物取引業の運営の改善に必要な措置をとることを命じました。第一商品も同日、お知らせで事実を開示しています。

経済産業省及び農林水産省

商品先物取引法は詳しくなくて、商品先物取引業者に対する行政処分の内容をしっかり読むのは今回が初めてです。業者が「監督官庁」というとき、農林水産省と経済産業省のことを指しているんですが、業者に対する検査や、その結果に基づく行政処分についても共同で作業するようですね。

行政処分の内容

行政処分を受けた原因は、当ブログでも取り上げてきたように、月次報告書や事業報告書に過大に計上した資産を記載し、主務大臣に提出していたこと(法令違反)です。

で、処分の内容が、「商品先物取引業の停止20営業日(令和2年8月17日(月)から9月11日(金)まで)」という業務停止命令。併せて、法令違反行為の発生原因について調査分析し、その結果を踏まえた再発防止策などを求めています。こちらは業務改善命令です。

第一商品は

主力事業を日産証券に譲渡し、本店以外の支店を閉鎖(日産証券への譲渡含む)、244名いた役職員のほとんどを同証券に異動させてしまった第一商品。もうほとんど箱だけしか残っていません。業務停止命令の前に業務はほぼ止まっていますよね。

業務改善命令にしてもそうです。主力事業がなく、実働部隊も他社に移したわけですから、。。。命令の締めの言葉「全役職員に対し法令遵守を徹底させること」というのもなんだか空しいものがあります。

まぁ、そもそもの違反行為というのが、取締役などが関与した不正会計なわけですから、改善すべきは取締役の法令順守や取締役会、監査役の機能向上にフォーカスすればよいということなんでしょうが。。。

コマースOneホールディングス(4496) 反訴の提起

8/6、コマースOneホールディングスは子会社のソフテルがモダンデコ株式会社から反訴を提起され、同日その反訴状を受領したと公表しました。もともとは子会社のソフテルが未払い金の支払いを求めてモダンデコ社を提訴していたようです。で、反訴ですね。

コマースOneホールディングス

全く知らない会社でしたが、東証マザーズ市場に今年6/29に上場したばかりの会社なんですね。4月に上場予定だったのがコロナで延期、仕切り直して上場したのが6/29だそうです。公募価格が1600円で、なんと上場初値が6970円ですと。。。これだからIPOは止められないんですね。

こういうIPOを年に10回も証券会社から配分してもらえる富裕層。IPOの配分ルールだけは理解に苦しみます。昔は政治家なんかもこれに群がったもの。今でも富裕層にほとんどが渡り、抽選配分は1割程度、、、というルールは変わってませんかね。脱線しました。

6/18というタイミング

話を戻して。。。モダンデコという会社は広島の家具屋さんですね。Armoniaというブランドで東京など首都圏にも店舗を拡大しています。直近期で売上高が100億円に乗ったといいますからそこそこの会社です。上場企業ではありませんが。

このモダンデコから反訴状を受領したのは8/6なんですが、反訴を提起されたのは6/18となっています。コマースOneホールディングスの子会社のソフテルが未払い金に関して提訴していた金額が1833万円なのに対し、モダンデコの反訴は8億6233万円の損害賠償請求だそうです。こりゃでかいですね。

反訴を提起されたのが6/18。コマースOneホールディングスの新規公開株の申込期間(購入期間)が6/19~6/24までだったようですから、非常にビミョーなタイミングです。この反訴の提起、投資家が知っていたら初値も違ってたでしょうね。

ゲンキー株式会社 公取委が確約計画を認定 Genky DrugStores(9267)

Genky DrugStoresの子会社、ゲンキー株式会社は、確約計画を提出し公正取引委員会はこれを認定しました。これにより、独占禁止法第19条(同法第2条第9項第5号〔優越的地位の濫用〕)の規定に違反する疑いがあるとして進められていたこの調査は終了しました。

確約手続

公正取引委員会が、独占禁止法に違反している疑いがあるとして調査を開始した後は、意見聴取手続 → 排除措置命令・課徴金納付命令 → 不服がある場合は訴訟、という流れにより進んでいました。

確約手続きというのは、平成30年12月30日に新たに導入された制度で、独禁法違反の疑いについて、公正取引委員会と事業者との間の合意により、自主的に解決するための手続です。競争上の問題の早期是正や、公正取引委員会と事業者が協調的に問題解決を行う領域を拡大し、独占禁止法の効率的かつ効果的な執行に資するものとされています。

調査等に係る時間や費用を削減し、事業者が確約計画を策定して自主的に改善することを約束するということですね。このような趣旨で行われる手続きのため、公取委が認定を公表する際は、「独禁法の規定に違反することを認定したものではないこと」を付記することになっているようです。

疑われていた行為

  •  あらかじめ必要な手続きを取ることなく、納入業者の従業員等を派遣させていた
  •  クリスマスケーキやお節料理について、納入業者に対し購入を要請していた
  •  キャンペーンの費用を確保するため、納入業者に対し金銭の提供を要請していた

こんなことが公表されています。いずれもあらかじめ納入業者と話し合われた結果であれば問題ないわけですが、すべて有無を言わさず強制していたわけですから、まさに優越的地位の濫用ですわな。ただし、、「独禁法の規定に違反することを認定したものではない」ことになりますが。

Zホールディングス ヤフーでID登録情報に関するシステム不具合が発生

8/6、Zホールディングスの開示した情報によると、ヤフーにおいてシステムの不具合が発生していたとのこと。同社の各種サービスで使用されるYahoo!JAPAN IDの登録情報を顧客が修正しようとした際、一部の顧客で自身のIDには反映せず、他者のID情報に反映された可能性があるとしています。

不具合の概要

不具合は7/29~8/4まで続いていたようです。ID登録情報の氏名、住所等のいずれかを編集しようとすると、修正内容が自身のID登録情報には反映されず、他者のID登録情報に誤って反映されるというもの。

他者はどうかというと、同じ時期に商品購入やID登録情報の閲覧などを行った顧客の一部で、自身のID登録情報に他のID登録情報が誤って上書きされているそうです。

となると、ID登録情報を編集しようとした顧客の情報は他者に閲覧された可能性がありますし、他者の注文した商品が届いたりもします。このパターンが最大52万件。

逆に、ID登録情報を上書きされた顧客の方は、住所等が変更されているので、注文した商品等が届かない可能性があります。このパターンが最大38万IDありうるとのこと。

こりゃ、かなりインパクトありそうですね。今のところ最大・・・としてるので件数は確定できませんが。幸い、ID登録情報にはメールアドレス、クレジットカード情報、金融機関の口座情報は含まれていないようです。

株価は

このシステム不具合の情報を受け、翌日のZホールディングスの株価は630円の15円安で取引を開始。その後は日経平均株価が弱含むなか切り返し、650円まで戻して取引を終えています。株式市場ではコロナで業績不振を心配しなくていい、数少ない銘柄ですしね。強いです。

ペイペイで100億円単位でキャンペーンやっちゃう同社ですので、影響の出た顧客に対する見舞金もかなり期待できる、、、などと考えるのは、、、不謹慎ですね。

FXプライムbyGMOに対する行政処分の勧告 GMOフィナンシャルHD(7177)

証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、FXプライムbyGMOに行政処分を行うよう勧告しました。著しく事実に相違する表示のある広告をする行為が行われていたということです。

法令違反の概要

同社が提供する店頭外国為替保証金取引の取引ツールに係るシステムは、成行注文の場合、顧客が発注した時点から約定処理がなされる時点までの間に為替相場の変動が生じた場合、発注時点の価格と実際の約定価格との価格差(スリッページ)の発生を排除できない仕様となっているそうです。

このことを取締役や法務コンプライアンス部長等は認識しており、顧客からスリッページが発生しているとの情報も寄せられていたようです。そしてさらに、同社が調査を依頼した外部の調査会社であるA社の調査結果においても、実際には当社システムにおいてスリッページが複数回発生していたことが確認されていたとのこと。

にもかかわらず、ウェブ広告等の中に、「スリッページなし(0%)、A社調べ」という、著しく事実に相違する記事を掲載していたというものです。この行為は、金融商品取引業の実績に関する事項について、著しく事実に相違する表示であり、金融商品取引法第37条第2項に違反する行為です。

ちょっと勘違い?

今回の行政処分の勧告について、同社の親会社であるGMOフィナンシャルホールディングス(7177)は、8/4、「当社連結子会社(FXプライムbyGMO)に対する行政処分の勧告について」を開示し、顧客や株主に対する謝罪を行っています。

その中でこんな一文が。「「FXプライムbyGMO」は、証券取引等監視委員会より、著しく事実に相違する表示のある広告をする行為が認められたとして、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づく勧告を受けました。」。

監視委員会の勧告は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して行うものですので、同社が勧告を受けたわけではないんですね。ここはちょっと勘違いかと。