トヨタ 持分法適用関連会社 豊田自動織機によるさらなる不正を公表

トヨタは1/29、「当社持分法適用関連会社による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。豊田自動織機で行われていたフォークリフト、建設機械用エンジンの国内排出ガス認証不正に関する特別調査委員会による調査で、トヨタが認証申請手続き用に豊田自動織機に委託した自動車用ディーゼルエンジン3機種の出力試験において、新たに違反行為があったことが判明したということです。

不正の概要

出力試験時に、量産用とは異なるソフトを使った ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)を用いてエンジンの出力性能を測定し、測定する数値が安定するようにバラつきを抑えて報告する行為が行われていたといいます。該当するエンジンが搭載された車両は、グローバルで10車種(うち日本6車種)。

具体的には、ランドクルーザープラド、ハイエース、ハイラックス、ランドクルーザー300といった車種が含まれています。今回の調査結果を踏まえ、豊田自動織機にて対象のエンジンの出荷を一旦停止し、、トヨタとしても該当エンジンが搭載された車両について出荷を一旦停止することを決定しています。

該当するエンジン/車両については、工場で生産した量産品を改めて検証し、エンジン出力の規準を満たしていることは確認できているといいますが・・・日野自動車、ダイハツ、豊田自動織機と次から次へと出てくる認証不正、やはり真ん中のトヨタのガバナンスはおかしなことになっていそうです。

パナソニック ホールディングス子会社 電子材料で認証不正 外部調査委員会を設置

パナソニック ホールディングスは1/12、「当社電子材料製品における第三者認証に関する不正行為および外部調査委員会の設置について」を公表しました。適時開示はなく、同社ホームページでの公表です。

パナソニック インダストリー

パナソニックは映像・音響機器、白物家電、住設機器、住宅事業など幅広い事業を手掛けている日本を代表する総合家電メーカー。半導体などの電子部品、FA関連など企業向けのビジネスも展開する東証プライム上場企業です。昔の松下電産ですね。

不正の舞台となったのは100%子会社のパナソニックインダストリー。上場企業ではありませんが、従業員数42,000人と立派な上場企業サイズの会社です。

不正の概要

電子材料事業部が製造・販売する成形材料、封止材料および電子回路基板材料の52品番において、米国の第三者安全科学機関であるUL Solutionsの認証登録等の際、複数の不正行為を行っていたということです。最近他社で何度も見てきた不正のパターンですね。

認証時と異なる配合の製品、認証登録時のデータ改ざんなど、ここ最近樹脂メーカーがやってた不正とほとんど同じです。現時点で分かっている当該不正を行っていた工場も海外も含めて多数。会社ぐるみで続けてきた不正と言わざるをえません。外部調査委員会を設置して調査を行います。

またまたトヨタグループで ダイハツ、安全認証で不正

ダイハツ工業は4/28、「側面衝突試験の認証申請における当社の不正行為について」を公表しました。っていうか、ダイハツは上場企業ではないので、適時開示に関しては親会社のトヨタが4/29(土)付けで、「当社連結子会社による不正行為に関するお知らせ」として公表しています。

ダイハツ工業

ダイハツ工業は主に軽自動車、および総排気量1,000cc以下の小型車を主力とする日本の自動車メーカーです。以前は上場していましたが、2016年にトヨタがダイハツの株式を100%取得し、完全子会社としました。以来、トヨタグループにおいて軽自動車を含む小型車部門としての立場を明確にし、新興国向け戦略の一翼を担ってきました。

不正の概要

トヨタグループ、販売子会社における車検不正に続き、昨年には日野自動車におけるトラックの排ガスや燃費をごまかす悪質な不正が発覚。そしてさらには、トヨタの源流企業でもある豊田自動織機でも、フォークリフトを対象に同じような排ガスデータの改ざんが明らかになってきました。

あきらかにトヨタを中心としたグループ全体がおかしくなってきています。そして今回発覚したのがダイハツ工業。海外向け車両の側面衝突時の安全性を確認する試験の認証手続きにおける不正。衝突時に人を傷つけるような壊れ方をしないように、ドア部品に切り込みを入れるなど、本来の仕様にない加工を施して試験をしていたといいます。

対象となるのは約8万8000台。うち7万6000台あまりがトヨタのブランドでも売られているということです。巨大な宣伝広告費でメディアを黙らせてきたトヨタでしたが、今回はさすがに適時開示をトヨタネームで行いました。詳しいことは別の機会に書こうと思いますが、やっぱりトヨタは堕ちていってる企業になってしまったんでしょうか。20年前の半導体や家電のトップ企業のように。

神東塗料 認証不正 調査報告書を公表

神東塗料は4/28、「当社製の一部製品に係る不適切行為に関する調査報告書公表のお知らせ」を公表しました。この件に関する同社からの開示はこれが最終になると思われますが、最後まで「不適切行為」と言い続けましたね。立派な「不正行為」でしたが。

おさらい

同社は今年1/12、同社で製造する水道用ダクタイル鋳鉄管合成樹脂塗料(管用)について、公益社団法人日本水道協会の認証規格や、取引先との協定に関し、不適切行為があったことを公表し、特別調査委員会を設置して調査を進めてきました。

調査結果

水道管用塗料における一連の品質不正問題を調査してきたんですが、調査の結果、水道管用とは別の工業用塗料など467製品でも新たに不正が見つかっており、計552製品での不正が確認されたということです。

報告書の整理によると、同社の全製品は3571製品。これに対して不正を検知した製品は552製品ということですから、全製品の15.5%において何らかの不正が行われていたということになります。

所定の検査頻度を落として検査を実施した行為、所定の検査を省略し、検査成績書に推定値を記載した行為、検査成績書には検査結果とは異なり規格内である旨の記載をしたり、検査成績書に検査結果とは異なる規格内の数値を記載した行為など。大別するとこの3種類。

立ち直れるのか

結果の公表に合わせて役員報酬の減額等も公表していますが、この会社立ち直れるんでしょうか。今回公表された調査報告書も実は、報告者としての特別調査委員会の名前がありません。すべて神東塗料としての報告書になってるんですね。この点も少し気になります。

三菱電機 今度は変圧器における不適切行為

少し前になりますが、三菱電機は4/21、「当社の特別高圧以上の一部の変圧器における不適切行為に関する件」を公表しました。系統変電システム製作所 赤穂工場が製造する特別高圧以上の一部の変圧器において、お客様から要求を受けていた規格に準拠した受入試験の一部を規格と異なる要領で実施し、試験成績書へ不適切な記載を行っていたこと、および一部の製品で社内基準等と異なる設計を行っていたことが判明したとのこと。

調査委員会の調査により判明

同社が 2021年7月2日に設置した調査委員会の調査の過程で 2022年4月1日に判明したということです。同不適切行為の判明後、直ちに当該製品の出荷を停止したとしています。対象となる製品は記録の残っている1982年以降で約3400台に及ぶそうです。

これまで同社で相次いで発覚した品質不正について調べていた調査委員会、調査期間が既に9ヶ月を経過していますが、4月の完了を目指していたこの全社調査を延長することも決めたようです。

不正のあった製品は一部の原子力発電所や新幹線にも納入されていたとのこと。まぁ、例によって安全性については「運転中の変圧器が直ちに故障する可能性は低いと考えている」としていますが。

調査委員会からは「調査完了までさらに時間を要する」との連絡があったといいます。現時点では5月下旬までに22製作所など全体のうち8割以上の調査が終わる見込みとしています。

ってことは、全体が終了するのはやはり1年がかりってことでしょうかね。戦後日本の成長を支えてきた重電3社。日立は子会社の売却で再編を余儀なくされ、東芝は上場廃止だのと追い詰められています。そして三菱電機もこのありさま。どうなっていくんでしょう。