株式会社クシム 臨時株主総会を経て田原氏が復活

株式会社クシムは4/30、臨時株主総会を開催。田原氏を含む取締役4名選任の件などが承認可決されました。これで、いったん会社を追われた元取締役の田原氏が復帰される運びとなりましす(ここまでの経緯については過去記事をご覧ください)。

総会可決事項

臨時株主総会で承認可決されたのは、(第1号議案)田原氏を含む取締役4名選任のほか、(第2号議案)監査等委員2名の選任。さらに、(第3号議案)会社法316条2項に定める株式会社の業務及び財産の状況を調査する者の選任、の3議案です。同日、「代表取締役の異動に関するお知らせ」も公表されています。

ここからどうなる

まずは復活を遂げた田原氏。お疲れさまでした。おめでとうございます。と言いたいところではありますが、最後に旧経営陣が主力事業全部を売り払ってしまい、クシムは実質的に空箱会社となってしまっています。まだまだ馬力の必要な力仕事がこれから始まるということでしょう。 追い詰められた旧経営陣が主力事業を売り払ってしまった件。これを法的に無効とさせ、取り戻すことから始まりそうですね。

そのとっかかりが上記の第3号議案に出てくる、「会社法316条2項に定める株式会社の業務及び財産の状況を調査する」というやつですかね。調査を経て子会社事業の不法な売却として無効とさせるってことでしょうか。

オリジナル設計株式会社 監査役解任のための臨時株主総会

オリジナル設計は5/9、「臨時株主総会招集のための基準日設定並びに臨時株主総会の開催及び付議議案決定に関するお知らせ」を公表しました。3/28に定時株主総会を開催したばかりの同社ですが、同総会を経てあらたに就任した監査役をクビにするということのようです。

オリジナル設計株式会社

オリジナル設計は、上下水道に関する調査・計画・実施設計・施工監理および都市施設情報などの公共事業に関する建設コンサルタント業を主な事業とする企業です。売上高の大半を官公庁が占め、日本下水道事業団からの売上高が全体の約4分の1を占めています。従業員300名ほどの東証スタンダード上場企業です。

開示の内容

要するに現監査役を解任して別の人物を監査役に選任するという議案。これだけのための臨時株主総会です。解任する監査役は今年3月の定時株主総会で選任したばかりの人物。

解任の理由は、「監査役就任後に発覚した事象をきっかけに、新たに行った社内調査の結果、監査役としての品位を損なう、職務の範囲を超えた発言・強圧的な振る舞いが確認され、監査役としての職務を逸脱する行為であると認識致しました」、だそうです。

他にも、「監査役会議事録に、監査役会開催時には存在しない書類を確認したと虚偽の記載」をしたとか、「監査役会における監査役報酬の協議の場において、同意の前提となる条件を社外監査役2名から提示していたにも拘らず、それを履行しなかった」など。

解任される監査役

今回解任されそうな監査役は、同社入社後、品質管理室長や内部統制推進室長、内部監査室長を歴任してきた人物。社内で起きそうな不正等にはかなり鼻の利く方だと思われますが、いったい何があったんでしょう。解任の理由を額面通り受け取っていいものかどうかも、、、分かりません。

関西スーパー 統合手続き差し止め 神戸地裁仮処分決定

11/22、神戸地裁は関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下の食品スーパー2社との経営統合の手続きを差し止める仮処分決定をしました。当ブログでも取り上げましたが、統合を決めた臨時株主総会の手続きを巡り、食品スーパーのオーケーが示していた疑義を認めた格好です。

差し止めの主張

オーケー側は検査役の報告書に基づき、全ての株主の投票を締め切った後で特定の株主の投票内容が棄権から賛成に変わり、一度は否決されていたH2Oと関西スーパーとの株式交換が可決へと覆されたと主張していました。

オーケーは

オーケーは11/17、差し止めを求めていた関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリンググループとの経営統合について、申し立てが棄却された場合は株式買い取り請求権を行使し、保有する関西スーパー株を売却する方針を発表しました。

また、差し止めが認められた場合は関西スーパーのTOB(株式公開買い付け)に乗り出すことも改めて明らかにしています。つまりTOB再開ということですね。

オーケーは関西 スーパー に対するTOB価格を2250円としていましたから、24日の株式市場では関西スーパー株はストップ高比例配分。TOBの話題で2,200円台まで買われ、エイチ・ツー・オーとの統合ということで1,200円処まで売られたと思ったら、TOB復活でまた再上昇。

相場としては面白いんですが、この争い、最終的にどうなるんでしょうね。個人的には関西スーパーの自爆(総会決議の不正な操作)で、旧経営陣が一掃。オーケーの手に落ちてしまうのでは、という気がしています。

クレアホールディングス(1757) 臨時株主総会開催中止

クレアHDは11/19、臨時株主総会開催を中止することを公表しました。直前まで株主のセノーテキャピタルとその開催を巡って争っており、何がなんでも開催しようとしていたクレア側が、中止を言い出しました。セノーテキャピタルが他の株主に対して粗品を渡していることを問題視したようです。

直前の中止

臨時株主総会は11/20、午前10時開催予定でした。会場は信濃町の明治記念館です。「富士の間」という部屋ですから、一番デカい部屋ですね。そんな立派な部屋まで準備しておいて、前日に中止とは。それも22:45の公表ですからね。

株主がTDnetやクレアHDのホームページとか、四六時中チェックしてるわけではないんですから。これきっと、当日の会場まで足を運んで中止を知った株主もいたんでしょうね。ちょっとこれはまずいでしょ。

連結子会社の異動

11/19、同じ日の15:00には、また別の開示がされています。「連結子会社の異動(株式譲渡)及び特別利益の計上に関するお知らせ」というもの。100%子会社のアルトルイズム株式会社をMBOに応じる形で売却したということですね。譲渡価額は147百万円ですと。

何がなんだか訳がわからなくなってきました。セノーテキャピタルと揉めてる状況(かなり演出ぽく見えてきました)で株価を煽り、その一方では子会社売却で資産の現金化も進む。この特別利益はどこへ?株主の方は、ここ見ておく必要がありそうです。

この子会社の譲渡についても取締役会で決議しています。で、開示は15:00です。これより前に取締役会は開催されているわけですが、臨時株主総会の中止の開示は22:45。やっぱり悪質ですね。

東京ドーム 株主総会検査役の選任の申立て

東京ドームは11/10、オアシス・マネジメントの請求で開催する臨時株主総会について「臨時株主総会開催及び株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ」を公表。翌11日には、「当社による株主総会検査役の選任の申立てに関するお知らせ」を公表しました。

総会検査役

臨時株主総会の開催において、よく目にする総会検査役。会社側と株主との間でプロキシーファイトが想定されるようなケースで選任されています。が、総会検査役という制度、なんとなく知ったつもりではいるものの、意外に理解されていないのでは、、、ということで調べてみました。

会社法第306条第1項(株主総会の招集手続等に関する検査役の選任)にその定めがあります。簡単に言うと「会社および総株主の議決権の1%以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集手続および決議方法を調査させるため、株主総会に先立ち、裁判所に対し、総会検査役の選任を申し立てることができる」というものです。

ポイントは申し立ては会社だけでなく、株主側も可能というところ。今年6月の日邦産業の定時株主総会では、同社とフリージア・マクロスの両者が申し立てて、総会検査役が選任されてました(両社の申し立てに応じて1名を選任)。

役割など

プロキシーファイトが想定される株主総会の場合、後日、株主総会決議取消訴訟や決議不存在確認訴訟等が提起され、決議の有効性が争われることがあります。そのような事態に備えるため、株主総会の開催前に検査役の選任を裁判所に申し立てるんですね。

検査役を選任することで、違法または不当な手続が行われることを防ぎ、後日の紛争を未然に防止することができます。また、後日紛争が生じた場合には、検査役による報告書を証拠資料とすることができる、という効果が期待できるというわけです。