長野計器株式会社 従業員の不正行為

長野計器は4/20、「当社元社員による不正行為及び同行為の調査結果等に関するお知らせ」を公表しました。昨年11月に実施された関東信越国税局による税務調査により、同社元社員による不正行為が発覚したとのこと。

長野計器

長野計器は圧力計、圧力センサおよび応用製品などを製造販売する圧力計測・制御機器の専業メーカー。圧力計は国内で高いシェアを占めています。東京証券取引所プライム市場上場企業ですね。

不正の概要

同社の社員が、同社取引先の担当者として知り合った者と共謀し、遅くとも2007年3月頃から2021年10月までの間、取引先からの水増し請求や実体のない請求に対する不正な支払いを行っていたというもの。

取引先担当者が実質的に支配する4事業者より同社に対し、空調機器等のメンテナンス作業等を実施した旨の請求書又は納品書を発行して不正請求を行い、同社社員が、請求書又は納品書に正当な請求金額が記載されたものであるように装って、支払処理を行っていました。

上記4事業者名義の銀行口座に振込入金させ、同社に少なくとも約268百万円の損害を被らせたいうことです。不正行為者は、これら事業者からキックバックを得ていたようです。同社の社内規程に基づき、2022年3月31日に懲戒解雇処分となっています。

発覚時の開示なし

昨年11月に発覚した時点から開示はまったくなし。非開示のまま社外取締役・社外監査役による調査委員会での調査を進め、4/20に調査結果を公表という形になっています。不正により3億円近い損失が出ているんですが、かなり雑な対応でしたね。

調査結果の開示においても従業員一人だけの行為として整理されていますが、協力者の存在や類似事案の有無など、まったく触れられていない不思議な開示です。

グローリー株式会社 従業員の不正行為 調査結果を公表

グローリーは3/14、「社内調査委員会による調査結果公表に関するお知らせ」を公表しました。2/9に公表していた、連結子会社における元従業員による金銭横領について調査してきた結果ですね。やはり、かなり酷いことになっていたようです。

グローリーサービス株式会社

不正行為の舞台となったのは、グローリーサービスという子会社でした。コインロッカーのオペレーション・メンテナンス付リース・レンタル・販売・保守を行う会社です。コインロッカーの利用により投入されたお金の回収などもやってます。他にも保険代理店事業も。

行為者と行為の概要

金銭横領等の行為者は、最終的に総務課長代理兼姫路事務所長という肩書ですね。行為の期間は2009年頃より 2022年2月3日までの間だそうです。なんと13年間にわたって行われていました。完全に同従業員単独での行為だとしています。

売上金や保険料を、従業員から直接預かったまま、銀行口座への入金をせずに着服するといった原始的な方法で現金を横領していました。2020年以降は、同社当座預金口座に預け入れられている預金を、ネットバンキングを利用して、個人口座に振込送金を行うことによる着服も。

前者の現金横領で、被害金額は合計 569百万円。後者の預金横領で、被害金額は合計 1,586百万円だそうです。合計21億円超、、、メチャ、デカいですね。隠ぺい行為もあったということですが、13年間も発覚しなかったってのが信じられません。

行為者はこの大金を、競馬の馬券購入費用、日常的な飲食代や遊興費として費消していたとのこと。ちなみに、馬券購入に使われたのが17億円だそうです。凄すぎます。

サカタインクス 子会社阪田産業でやはり架空循環取引

2/14付けで、「当社連結子会社の不適切な取引に伴う特別損失(貸倒引当金繰入額)の計上に関するお知らせ」を公表していたサカタインクス。あれで終わらせてしまうのかと思っていましたが、3/10、「当社連結子会社における不適切な取引について」を公表しました。

事案の概要

やはり架空循環取引でした。阪田産業の機材関係の特定の取引先に対して、仕入も売上も実体のない、数社(と思われる)を相手とする架空循環取引が行われており、同取引に元社員Aが深く関与していたということです。深く関与というよりはこの元社員Aが主犯ですね。

なお、社内調査の結果、この架空循環取引と類似の不適切な取引が行われた事実は認められなかったとのこと。また、元社員A以外の阪田産業の他の役職員による組織的な関与も認められなかったとしています。ん~、ホントかね。

坂田産業においては、この元社員Aを懲戒解雇に、取締役社長が辞任。直属の上司(営業部長)は減給処分としたとのこと。親会社のサカタインクスにおいては、代表取締役 社長執行役員について、月額報酬の20%を減額(1ヵ月)という処分になっています。

なんとも雑だなぁ

調査結果の概要も別紙として公表しているんですが、3ページという代物。詳細はよく分かりませんが、元社員Aと子会社社長を切って、とにかく早く終わらせたいって感じに見えてしまうんですよね。

10年にわたって行われてきた架空循環取引の額、結構な金額ですよ。直近3期はいずれも15億円前後の架空の売上がたっています。再発防止策とかも書かれてるには書かれてるんですが、全体的にどうにも対応が雑過ぎるような・・・。

グローリー株式会社 第3四半期報告書の提出期限延長を申請・承認

2/9、従業員による資金詐取が判明したとして社内調査委員会を設置していたグローリー。2/14には、「2022年3月期 第3四半期報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出のお知らせ」を公表しました。申請は同日中に承認されています。

おさらい

2/4に、国内連結子会社において従業員による資金詐取の疑いが判明したと公表。あわせて四半期決算発表延期についても。そして2/9には外部の専門家を加えた社内委員会の設置へと発展。とうとう2/14には、四半期報告書の提出期限の延長まで。

延長の真意

本来の四半期報告書提出期限は2/14でした。決算発表の延期の公表(初報)が2/4でしたから、その後の10日間で収拾がつかなかったということですね。単発的な横領であれば、その後の10日間で何とかなったような気がします。

そして今回の延長申請承認後の四半期報告書の提出期限は、3/14になりました。1か月間の猶予をもらったということ。さてさて、どのような不正により資金詐取が行われていたのか、気になりますね。足元で分かっている状況だけでも開示できないんでしょうか。

2/14の延長申請の開示においては、「調査対象となる期間が相当期間に及ぶ可能性があり、調査及び確認事項が多岐にわたることから、本件調査には相当な時間を要する見込み」と説明されています。残念ながらこれ以上の説明はなし。

「相当期間に及ぶ」、「調査・確認事項が多岐にわたる」という説明から、かなり大掛かりな不正行為が行われていた可能性を感じさせます。株価の方は一時大きく下げていましたが、ここ数日は戻り歩調ではあります。

那須電機鉄工 従業員の不正行為 2億円超

那須電機鉄工は2/10、「当社連結子会社元従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。子会社である那須電機商事の総務部長が2億円を超える金額の横領をしていたということです。

那須電機鉄工

那須電機鉄工は、電力送電線鉄塔をはじめ、電力や通信、鉄道、道路業界などの公共基幹産業に、架線金物や鉄塔をはじめとする資材を提供しています。東京電力をはじめとする電力各社を主要顧客とする東証2部上場企業です。

政府は再生可能エネルギーの普及のため、次世代送電網の整備方針を打ち出すといわれており、その事業は総額2兆円超とも。電力鉄塔の代表銘柄でもある同社にはメリット享受への期待感が高まっています。

行為の概要

大阪府西税務署による那須電機商事への税務調査後に横領の事実が確認され、それ以降社内調査委員会を設置して調査を進めてきたといいます。金券類を単独運用し横領、現金出納で経費を水増し詐取、台帳(元帳)改ざん後に領収書類を破棄していたことが判明したとのこと。

かなり長期間、、、2010年度から12年間にわたり行われた不正、横領額は209百万円となったそうです。既に従業員は懲戒解雇されており、横領額の一部120百万円は弁済されているそうです。

んっ? 過去にも?

当該従業員を処分してこの件終わらせようとしている感じですが、この会社過去にも同様の事件が起きてるみたい。2013年9月に、那須電機鉄工本体の事務担当者が、やはり約7年間にわたって2億円の横領をしています。行為者を切ってお終い、では会社は変わらない。けど、今回も同様に・・・。