北野エース運営会社 株式会社エース 従業員の不正行為 2億円の横領

「北野エース」を運営する株式会社エースの従業員が8/22、約2億円を横領したとして、兵庫県警に逮捕されました。上場企業ではないのでスルーしてたんですが、報道等を見てみると結構インパクトのある不正行為でしたので取り上げています。

株式会社エース

株式会社エースは食料品専門店「北野エース」を全国に展開する企業。上場企業ではありませんが、従業員約1,300名(正社員342人)、店舗数108店、売上高288億円という会社。上場してもおかしくないサイズ感です。

不正の概要

関西本部の経理部次長が、2017年9月~今年5月まで、会社名義の口座から普段使われていない会社の口座に171回にわたって計約2億円を振り込み、横領していたとのこと。社員が多額の出費に気付き、社内調査で発覚したそうです。

2億円のうち、約1億2,000万円をスマートフォンゲームの課金に使っていたんだそうです。「ゲームのアカウントを強くし、ネット住民に認められたかった」と供述しているとのこと。はぁ?なにそれ。ゲームでの課金など、まったく縁がないので分かりませんが、凄い世界ですね。ゲーム会社が儲かるわけだ。

しかし、会社の生命線である経理を、5年間以上も次長に任せっきりにしていたとはね。上席者の責任は問われてしかりです。まぁ、よくある話ではあるけど、、、皆さんの会社は大丈夫ですか?

株式会社建設技術研究所 従業員の不正行為(その2)

8/4、「決算発表の延期及び社内調査委員会設置のお知らせ」を公表していた建設技術研究所。8/14には、「不適切な取引の発生及び当社業績に与える影響について」を公表しました。同時に、2023年12月期の業績予想の修正(上方修正)も公表しています。

調査委員会の結論

社内調査委員会の結果が出て、会計処理の前提となる事実関係の確認も済んだため、決算短信を公表し、業績を上方修正しましたと。良い話ばかりなもんだから株価は急騰。前日比430円高となりました。

が、しかし、今回の開示ではあえて不正行為そのものについてはまったく触れていません。上手いやり方があるもんですね。公表されたのは、「2008年2月から2023年4月までの期間に、従業員が実質的に経営する会社へ合計141百万円の不適切な外注取引を行ったもの」とだけ説明されています。

調査漏れ?

2021年に同社が公表した従業員の不正行為。この時は2015年から2020年まで行われた架空発注で資金を還流させ、他の業者からきて、建設技術研究所に常駐で働く同僚たちの処遇が酷過ぎるため、これを改善するために補填していたというものでした(詳細は過去記事を参照)。

現在開示されている不正は2008年から今年まで続くもので、外形的には前回とほぼ同様の手口のように見えます。2021年の調査で発見できなかった、調査漏れ事案ということになりそうです。このことは非常に問題だと思われますし、今回の開示では良い話ばかりを並べて、悪い話を隠している格好に見えます。

もちろん、調査結果の詳細は後日開示するとはしていますが。

株式会社ダイレクトマーケティングミックス 従業員の不正行為で決算発表延期

ダイレクトマーケティングミックスは8/9、「2023 年 12 月期第 2 四半期決算発表の延期及び第 7 期第 2 四半期報告書の提出遅延(見込み)のお知らせ」を公表しました。7/18付けで「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表していたんですね。見落としていました。

株式会社ダイレクトマーケティングミックス

ダイレクトマーケティングミックスは、ダイレクトマーケティングを中核事業とし、ダイレクトマーケティング業務で蓄積したノウハウや人材を活用したコンサルティングやビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)、人材派遣等も手掛ける東証プライム上場企業です。

不正の概要

同社の連結子会社である株式会社マケレボが受託しているアウトバウンドコール業務(お客様への架電業務)の一部において、顧客企業より業務運営に関する調査依頼が寄せられ発覚したようです。

マケレボにおいて、社内関係者へのヒアリングや稼働実態の確認、請求内容との照合といった社内調査を行ったところ、マケレボ社従業員が顧客企業の指定する業務管理システムのログイン履歴を不適切に作出したことによって、請求額が過大となっている疑義があるということです。

特別調査委員会を設置してから既に1ヶ月近く経っていますが、調査結果を同社として受領できるのは、現時点において早くとも10 月中旬(10月12日頃目途)になる見込みなんだそう。まだあと2ヶ月ですかぁ。こりゃ大変そうだ。今回の開示を受けて株価の方もメチャ下げてて、こちらも気になるところです。

高砂熱学工業株式会社 従業員の不正行為

高砂熱学工業は8/9、「当社従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。2018 年~2022年度の期間で、複数の従業員が架空の経費計上により、私的使用を目的に物品を受領していたということです。同社の損害額は総額約 15 百万円になるとのこと。

高砂熱学工業株式会社

高砂熱学工業は、空調設備工事業界のリーディングカンパニー。売上規模、高い技術力を背景とした取得特許件数は空調設備工事業界トップで、設計・施工、メンテナンスまで、空調を軸とした総合的なシステムエンジニアリングを提供する東証プライム上場企業です。

不正の内容

開示されたのは冒頭に書いたことぐらいです。年度の経費執行状況の検証過程において、過大な支出に疑問を抱いた担当者からの報告を受け、社内調査を行った結果、判明したんだそう。不正行為を行った当該従業員に対しては損害の回収を進め、社内規程に則り厳正に対処するとしており、今回の開示をもってすべてを終結させるようです。

「複数の従業員」って何人?役職とかは? 「私的使用を目的に物品を受領」ってどういう意味? 「過大な支出に疑問を抱いた」とあるけど、4年間も気付かなかったんだよね。などなど、突っ込みどころ満載のまま終わらせちゃっていいもんかねぇ。

同社では、北陸新幹線関連工事で談合事件起こしたり、羽田空港の天井手抜き工事なんかが話題になりました。いい加減な対処しかしてこないもんだから、不正の体質が抜けないんだよね。

株式会社建設技術研究所 従業員の不正行為で社内調査委員会設置

建設技術研究所は8/4、「決算発表の延期及び社内調査委員会設置のお知らせ」を公表しました。従業員による不正行為が発覚し、調査を進めており、調査自体は概ね完了しているとしていますが、委員会を設置して精査するとしています。このため、第2四半期の決算発表も延期されます。

建設技術研究所

建設技術研究所は、河川、ダム、道路、環境、情報など公共事業に関する総合建設コンサルタントの大手です。国土交通省が発注するインフラプロジェクトに強味をもつ東証プライム上場企業です。

開示の内容

「当社は、当社従業員1名による不適切な取引の疑いを認識し、調査を進めております。本件取引の背景や発生金額等の詳細は現在精査中です。」なんと、今回開示されたのはこれだけです。同社で何が起こったのか、まったく分かりません。

2年前の不正

実はこの会社、2021年にも不正行為が発生しており、当ブログでも取り上げました。これがちょっと驚きの展開でした。従業員が実質的に経営する別会社に架空発注を行い、資金を還流させ、当該会社から同社に転籍した者への給与補填と当該会社の運転資金等に充当していたというもの。上席者もこれを認めていました。

つまり、他の業者からきて、建設技術研究所に常駐で働く同僚たちの処遇が酷過ぎて、これを改善するために不正を行っていたわけです。さて、今回の不正はどういうものでしょう。ちなみに同社従業員の平均年収は913万円(なかなか立派な金額)。また、正社員と派遣やアルバイトの処遇の格差に関わるものでしょうかね。