データホライゾン → JMDC ここでも営業秘密の持ち出しが

データホライゾンは12/22、「当社元従業員による営業秘密の不正な持ち出しについてのお知らせ」を公表しました。同社グループの営業秘密に該当する情報を不正に持ち出していた可能性があることが、今年11/30までに判明したということです(同従業員が退職したのは8月)。

データホライゾン

データホライゾンは保険者(保険制度を運営する主体、健康保険組合など)向けの医療関連情報サービスを主業とする東証グロース上場企業です。

不正行為の概要

退職の申し出から退職するまでの期間に、同社グループの営業秘密に該当する情報を、転職先のJMDCに不正に持ち出していた可能性があるとしており、既に捜査機関へ被害を申告するとともに、刑事告訴に向けて準備をしているといいます。

JMDC

JMDCは、民間利用可能な日本最大規模の医療データベースを持ち、国内の主な製薬・医療機器メーカー、保険会社、官公庁、大学等へ医療統計データサービスを提供する東証プライム上場企業です。

データホライゾン側からの通知を受け、JMDCも12/25、「当社従業員による前職退職時の情報の取扱いについて」を公表。「現時点において、データホライゾンに由来すると考えられる情報の当社営業活動での利用は確認されておりません」と反論しています。

まぁ、最初はこんな感じの応酬ですわな。ただ、データホライゾン側の手続等、本気度はかなりのものだけに、この後の展開が注目されます。ちなみに、両社ともに適時開示はしていません。

長野電鉄株式会社 子会社従業員の不正行為 私的流用 約4億6,600万円

長野電鉄は12/22、「弊社子会社の元従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。世の中不正といえばダイハツ工業一色になってますが、ちょっと意外な不正行為の話題。同社は上場企業ではありませんが、金額が金額だけに取り上げてみます。

長野電鉄

長野電鉄は鉄道業(長野電鉄線)を中心に、併せて不動産業、観光事業、旅行業、広告業、保険代理店業、関連事業を展開する企業。本社は長野県長野市です。その子会社である長電建設株式会社(資本金2,000万円、従業員38名)が不正の舞台となりました。

不正の概要

元従業員が、平成26年11月から令和4年9月までの約8年間にわたり、取引実態のない架空の請求書を偽造するなどにより、外注先への経費の支払いを装って同社預金口座から不正に払い戻しを行い、これを私的に流用していたもの。この不正行為により同社が受けた損害額は合計約4億6,600万円だそう。

従業員わずか38名の会社で、8年間にわたり約4億6,600万円って凄いですね。詳細の情報が公表されていないのでよく分かりませんが、経費の管理を一人に任せっきりだったんでしょうね。会社のサイズから考えてもかなりのダメージになりそうです。同じ長野県では今年5月、株式会社ヤマウラで似たような事件が発生してました。やはり億円単位の不正でしたね。

株式会社タカミヤ 従業員の不正行為 調査結果を公表

株式会社タカミヤは12/14、「社内調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。同社従業員1名が架空売上の計上を行っている疑義が発見されたという事案で、社内調査委員会で調査していました。

調査結果の概要

タカミヤは建設用仮設機材などの製造、レンタル、販売を行う会社でしたね。従業員が架空の売上を計上し、その後もそれを取り繕うための会計操作を繰り返していたというもの。当初の開示では詳細がよく分からず、当該従業員に対する過度なプレッシャーがあったのでは?とか、上席者等の関与があったのか?、取引先からのキックバックは?・・・といったことが懸念されました。

今回の調査結果では、収益獲得のための上席からの過度なプレッシャーは確認できなかったとのこと。他にも、その他の従業員の関与もなく、取引先からのキックバックも認められませんでした。類似の不正行為等も見つかっていません。調査結果を信じる限り、同社としては最小限の不正で済んだということですね。

調査結果ではその動機を、「自らの過去の経歴等より一定の業績を残さなければならないという当該従業員自身の自負心より、従業員自身で追い込み、本件不正行為に及んだもの」とされています。

実績をあげてきた従業員って、ときにこんなふうになっちゃうんですよね。できる社員という自身のプライド(ブランド)を維持するためでしょうか。kuniも自分の会社でこういう事案を経験したことがります。

アルプスアルパイン元社員 営業秘密持ち出しの疑いで逮捕

警視庁公安部は12/5、東証プライム上場で電子部品大手「アルプスアルパイン」の営業秘密を不正に持ち出したとして、同社元社員で中国籍の容疑者(32歳)を不正競争防止法違反(営業秘密侵害)容疑で逮捕しました。

アルプスアルパイン

アルプスアルパインは高付加価値の電子部品を産み出すアルプス電気と、カーナビゲーションを主体とするアルパインが2019年1月に経営統合して発足した、組み立て技術に強みを持つ総合電子部品メーカーです。幅広いユーザー層を抱えますが、なかでも自動車向け販売が過半を占めています。

ホンダの従業員

アルプスアルパインも12/5付けで、「退職した元従業員の逮捕について」を公表。当該元従業員による同社の技術情報の不正な取得を検知し、直ちに調査を実施。その結果より当該元従業員の故意による不正行為と判断し、警視庁に通報し、刑事告訴したということです。

報道によると、宮城県内の事業所に在職時の2021年11月、営業秘密にあたる車用電子機器の設計に関するデータを社有パソコンから私有のハードディスクに保存し、不正に取得したといいます。その直後に大手自動車メーカーのホンダに転職していたということです。多くの報道でホンダの社名は伏せられていましたが、ホンダは今後どのような対応していくんでしょうね。

アルプスアルパインは言ってみれば被害者なんですが、今年9月には第三者によるサーバーへの不正アクセスにより、国内ほぼ全ての拠点と海外の一部拠点で生産・出荷に影響が出たりしていました。脇が甘い感じはしますね。

株式会社ビケンテクノ マンション管理費等の着服金額 9億円?

ビケンテクノは12/2、「当社元社員によるマンション管理組合財産着服疑念の現段階での調査状況および専門家も含めた調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。対象の管理組合の被害額の総額については、9億円程度に達する可能性があるとのこと。

更新された情報

11/21の初報では、対象となる管理組合が10組合を超えていて、着服金額については現在精査中としていましたが、今回の第2報では、「対象の管理組合様の被害額の総額については、現時点では全容が不明ではあるものの、9億円程度に達する可能性もあります。」となっています。

他にも、「一定の範囲で過去に遡って調査を実施する必要があり得ること」、「着服していた元社員が消息不明となっており調査の手がかりが限定されること」などが開示されました。そうかぁ、消息不明になってたんですね。こうなると生きてるかどうかもなんとも言えませんね。

調査委員会を設置

こうした状況であることから、事案の調査を徹底するため、外部専門家(弁護士・公認会計士)によって構成される調査委員会を設置して調査を実施するとしています。

いやぁ、しかし9億円とはまた凄いことになってきました。開示内容を見る限り、調査がまだまだ過去に遡れていないことを示唆しているくだりもあり、今後の調査で被害額が増加することもありそうです。