株式会社電業社機械製作所 従業員の不正行為 印章管理不備疑義 架空取引?

株式会社電業社機械製作所は2/13、「特別調査委員会設置、2024 年3月期第3四半期決算発表の延期及び四半期報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ」を公表しました。翌日には提出期限の延長申請が行われ、承認されています。

株式会社電業社機械製作所

電業社はポンプ、送風機、バルブなどの風水力機器の専門メーカーです。製品はプロジェクト毎の受注生産が中心で、社会インフラ向けの用途が多く、官公需向けの売上比率が高くなっています。1910年創業の歴史ある企業で、本社を静岡県三島市に置く東証スタンダード上場企業です。

不正の概要

同社東北支店の営業担当者が同支店長の印章を不正利用した上で、同社が協力会社に対してトンネル工事を発注する旨の架空の建設工事下請契約書の作成に加担したことが判明したということです。架空発注ですかぁ。

印章の不正利用の防止にかかる内部統制の不備に関する疑義や、不正利用が判明した後の取締役会、取締役監査委員等への情報伝達における不備についても、特別調査委員会の調査対象とするようです。なんか、不備だらけやねぇ。

不正によりどういう被害が発生しているのか(金額も含めて)は今回開示されていないんですが、決算発表まで延期するわけですから、相応の金銭的な実害が出ているものと思われます。

ビケンテクノ 従業員の着服 9億円超 調査結果を公表

ビケンテクノは2/14、「専門家による調査委員会の調査報告及び当社の対応に関するお知らせ」を公表しました。同社元従業員によるマンション管理組合財産の着服事案を調査していた件ですが、調査結果が公表されました。

ビケンテクノ

ビケンテクノは、不動産管理・清掃会社として発足し、ビルメンテナンスが主力に成長した企業。近年はビル運営・経営に関わるプロパティマネジメント等を拡大。サニテーション、不動産売買・仲介、介護、フランチャイズ、ホテルなどへ多角化している東証スタンダード上場企業です。

調査結果

昨年12/1に設置された調査委員会では、元従業員が着服していた金額を9億1,474万円と結論付けました。しかしながら、着服行為の手口については、当該従業員本人が行方不明であり、本人へのヒアリングが実施できていないことから判然としないとしています。まだ行方不明なんですね。

そのため着服の手口についてもほとんど分かっていない様子。また、警察の捜査に配慮してか、報告書のこの辺りに関する記述は黒塗り部分が多いです。

着服した資金の使途についても証跡が手に入らなかったようですが、他の従業員へのヒアリング内容等によると、競馬・競艇といったギャンブルや、海外旅行、女性との飲食代といった遊興費に費消されたことが窺われる、としています。なお、この着服事案の類似事象の存在は識別されなかった、という結果になっています。

中部水産 架空取引が発覚? 特別調査委員会を設置

中部水産株式会社は2/9、「特別調査委員会設置並びに2024年3月期第3四半期決算発表の延期及び当該四半期報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ」を公表しました。第一報ですが、併せて特別調査委員会のメンバーも公表されています。

中部水産株式会社

中部水産は、江戸時代に始まった熱田魚市場の流れをくむ名古屋市中央卸売市場が拠点の水産物卸売会社。全国の生産者などから生鮮、冷凍、加工水産物の販売の委託、または買付を行い、せり売りなどの方法で仲卸業者などに販売しています。名証メイン上場企業です。

不正の概要

開示の冒頭では、「取引先が過年度より、当社に対し実在性のない架空取引を行っていたことが判明した」、と書き出しています。さらに、「2019 年頃から、当社と取引先との間で発生した不適切取引の可能性があることが判明いたしました。」としており、事実関係及び当社の業績に及ぼす影響は未だ明確でない点があり、現在調査中といいます。

開示された情報はここまで。一旦「架空取引」と書いてるんですが、あくまで主語は取引先としており、同社としては被害者であることを訴えているかのような表現。架空取引だったら普通、両社ともに不正を働いてると思うんですが、、、書き振りが気になってしょうがありません。

建設技術研究所 また? 不適切な原価管理が発覚

建設技術研究所は2/9、「2023年12月期決算発表の延期及び社内調査委員会設置のお知らせ」を公表しました。同社が受託している業務に関し、不適切な原価管理が発生した疑いがあることを認識したということです。

建設技術研究所

建設技術研究所は河川、ダム、道路、環境、情報など公共事業に関する総合建設コンサルタントの大手。国土交通省が発注するインフラプロジェクトに強味を発揮する、東証プライム上場企業です。実はこの企業、当ブログに登場するのは3回目。またですかぁ、って感じです。

不正の概要

同社が受託した業務の遂行において生じた人件費等を、当該業務に計上せず、別業務に付け替えた旨の従業員からの申告があったということです。付け替えた費用の詳細については、現在精査中としており、今回の開示ではこれ以上の情報はありません。

2021年には、架空発注で資金を還流させるという従業員の不正行為が発生。そして2023年8月にも従業員の不正が。いずれもかなり長期間続いた不正でした。そのたびに調査委員会を設置して改善してきたはずですが、未だその成果が表れているとは言えません。

原価管理の問題としていますが、他にも問題を抱えているのではないか、こうしたことが起こる背景に何があるのか、、、「従業員の不正」だけで終わらせることなく、今回こそ膿を出し切らないとね。

スターゼン 従業員による循環取引 調査結果

スターゼンは1/15、「特別調査委員会の調査結果報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。スターゼンはマクドナルドにハンバーガーパティも提供する、食肉の処理加工、製造、販売まで一貫して手掛ける食肉専門商社です。

循環取引

調査の対象となっていた架空循環取引は、どうやら一従業員による行為だったということのようです。2019年3月期から23年4~9月期までの売上高で計5億8,200万円、売上総利益で計2億3,400万円かさ上げされていたということです。

発生原因

この手の不正は、その業務に従事する従業員が業務を任せられ、長期間異動なく従事していたために発生してしまった、というのが定番。同社も同様で、行為を行った従業員はスターゼンに新卒採用として入社以来、2023年11月6日まで一貫して不正の起きた拠点にて稼働していたとのこと。

まぁ、こういう環境で上席者(管理するべき立場の者)がしっかりしていないと、拠点の成績を維持し、または向上させるためにこんな不正が起きるわけです。

スターゼンでは、2018 年頃、伝票の先送り事案や架空伝票発行等の不祥事が複数発生したことを受け、営業担当と取引先が長年にわたり固定されていることによる癒着等を解消するためのジョブローテーションが取り入れられていたそう。にもかかわらず、なぜ今回の事案が起きたのか。形だけは作ったけど、実効性がなかった?。これまたよくある話です。