株式会社エコノス 従業員の不正行為で特別調査委員会を設置

株式会社エコノスは5/17、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。同社運営店舗において、従業員による架空仕入(これによる現金の不正取得)、および在庫商品の不正取得の可能性があることが判明したということです。

株式会社エコノス

株式会社エコノスは北海道を地盤に、リユース品の販売と買取を行う「ブックオフ」や「ハードオフ」などの店舗をフランチャイズ加盟店として展開しています。各業態別店舗を組み合わせた複合店を積極的に出店する札証アンビシャス上場企業です。

不正の概要

今回の開示では、「従業員が架空の商品を買い取ったように見せ、金銭を不正に得た可能性や在庫品を不正取得した疑いが判明した」としか説明されていません。これ以上詳細は不明です。

これに先立つ5/13の開示「2024年3月期決算短信の開示延期に関するお知らせ」では、「商品在庫において検討を要する事象が発生し、決算数値の確定に時間を要しており、開示予定を延期する」としていて、業績へのインパクトが確実にありそうな不正のようです。

何故だか分かりませんが、北海道の企業って不正・不祥事がやたら多いイメージなんですよね。直近でも北弘電社やアインホールディングス、日糧製パンなどで従業員の不正等が発覚しています。エコノスにおけるこの従業員の不正もそれなりの規模になるかもしれません。

Abalance元役員 インサイダー取引容疑で逮捕

東京地検特捜部は5/16、再生可能エネルギー関連事業を手掛けるAbalance(エーバランス)元執行役員(60)を金融商品取引法違反(インサイダー取引)の疑いで逮捕しました。未公表情報をもとに自社株を取引した疑いだそうです。

Abalance(エーバランス)

Abalance(エーバランス)は、ベトナム子会社を通じた太陽光パネル製造事業を中核に、太陽光発電システムなどの販売と売電事業を行うグリーンエネルギー事業などを手掛ける企業。海外売上高比率が9割以上を占める東証スタンダード上場企業です。

インサイダー取引

太陽光パネルを製造販売するベトナム子会社が工場建設に向けて不動産などを取得する決定をしたとの重要事実を知り、当該重要事実公表前にエーバランス株1万9400株を約5300万円で買い付けたというもの。2,000円台だった同社株は公表直後5,000円台まで買われています。

なぜこんな経歴を持つ男が?

重要事実を事前に知りうる立場(執行役員)の人物が、公表前に自社株を買い付けていたという、非常にシンプルな事件なんですが、この男の経歴を見てビックリ。

日動火災海上保険→東京証券取引所→日本先物取引協会→日本証券業協会→ジャスダック→大阪証券取引所→株式会社 FPG→ジャパンインベストメントアドバイザー→日本證券新聞社取締役→その後は省略。

途中で社名が変更になったものもありますが、東京証券取引所に通算で20年も務めた人です。インサイダー取引を規制する側にいた男がなぜ、こんな初歩的な違反行為を?これ、かなり謎です。

バンダイナムコホールディングス 子会社元従業員が着服容疑で逮捕

バンダイナムコホールディングスは5/14、「当社子会社 元従業員の逮捕について」を公表しました。昨年1月に同社として開示していた事案で、約6億円の損害賠償などを求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起していました。

逮捕容疑

子会社というのはバンダイナムコエンターテインメント。同社は開発したゲームの動作状況を確認したり、イベントで参加者に体験してもらったりするために業務用のスマホを大量に所有しているんですね。同社が所有するスマホ約500台を買い取り店に持ち込んで売却し、約5400万円を横領した疑いというのが逮捕容疑。警視庁は売却した端末は4000台超におよび、着服額は約4億円に膨らむ可能性があるとみているんだそう。

これに対してバンダイナムコホールディングスの当時の開示では、「4,400台以上を会社に無断で外部業者に売却し、これらの行為等により約6億円を不正に着服していた」としていましたので、今後逮捕容疑はまだ拡大しそうです。同罪の公訴時効が7年で成立するらしいので、最終的な金額等は何とも言えませんが。

着服の目的

報道によると、容疑者は容疑を認めているそうで、着服した金をガールズバーや風俗店への支払いといった遊興費に充てていたそうです。容疑者は現在59歳ということですが、、、エエ歳して何してんねんって事件。やっぱりこういう事件起こす奴って独身なんかなぁ、、などと、こちらまでくだらないことを考えてしまいます。

ちなみに、昨年11月に公表されたバンダイナムコホールディングスの別の子会社バンダイナムコビジネスアークで起きた従業員の不正行為(廃棄予定商品等を持ち出し外部業者等へ販売し、約8,700万円の利益を不正に得ていた事件)については、今のところ逮捕には至ってないようです。

大黒屋 免税販売に関し約2億3千万円の消費税を追徴課税

中古ブランド品販売の大黒屋が東京国税局の税務調査を受け、2023年3月期までの2年間に約2億3千万円の消費税を追徴課税されていたことが報道されました。店舗の従業員が転売目的の外部業者に協力するなど、一部の行為は悪質だとして重加算税を課されたということです。

大黒屋

大黒屋は、バッグ、時計、宝飾品など中古ブランド品の買取と販売を中核とし、首都圏を中心に全国主要都市に店舗を展開するほか、インターネットを通じた商品の買取・販売も手掛ける東証スタンダード上場企業です。上場しているのは持株会社の大黒屋ホールディングスです。

追徴課税の概要

消費税法は原則として、来日6カ月未満の非居住者が購入した土産物や日用品などの免税を認めていますが、転売目的の購入などは課税対象となります。顧客がこうした要件を満たさない取引だったとして、追徴課税を受けるケースが相次いでいます。

大黒屋でも同様ですが、さらに一部の店舗では、中古ブランド品を国内で転売させる目的で買い手をSNSで募集していた外部業者に従業員が協力。連絡を取り合って買い手の来店タイミングを調整するなどし、中古ブランド品を免税価格で不正に購入させていたといいます。

こうなると不注意や不十分な手続きって話ではありません。悪意を持った不正行為です。大黒屋は「一部報道について」として開示を行い、昨年12月に公表済みの事案だと。不正を働いた従業員は退職済みだとも。ただ、この二つの開示では上記の不正行為については触れられていません。退職済みの従業員だから知ったことじゃない?

中部水産の事例にみる「循環取引」とは

先日、中部水産の調査報告書の公表について書きましたが、その中で登場する循環取引についての説明がやや不足していたかと思うので、第2弾として「循環取引」とはどういうもので、何が問題なのか、などについて整理しておきます。

循環取引とは

中部水産のケースでは、「A社 → 中部水産 → B社 → A社」という商品の流れで説明しました。取引に参加しているのは3社です。お金の流れは矢印の反対で、A社から中部水産が100万円で商品を買い付け。B社は中部水産から102万円で買い付け。そして最終的にはB社からA社が104万円で買い付けるって感じです。

中部水産もB社も2万円の利益、唯一A社が4万円損をする格好です。しかし、このケースの場合、A社は資金繰りに窮しており、商品の売買契約成立後1ヶ月後に支払いが行われるとすると、3カ月間100万円の資金を手当てすることができるわけです。4万円は利息みたいなものです。商品は一切動かず、伝票だけが回っているだけです。

何が問題なのか

こうしてみるとどの企業にも損失は発生していません。何が問題なの?という疑問が出てきます。しかし、実際には商品の売買が行われていないにもかかわらず、各社売り上げが大きくなっているはずですよね。実態のない循環取引を行い、その結果を決算に反映(売り上げの過大計上など)させた場合、開示書類の虚偽記載として金融商品取引法違反に該当します。

また、循環取引による粉飾決算を行い、財務状況が良いと金融機関に誤信させて融資を受けた場合には、「詐欺罪」が成立する可能性もあります。さらに、担当役員について特別背任罪が問われる可能性もあります。ん~、ブログでこういう話を書くのはやっぱり窮屈ですね。