日本板硝子 千葉事業所の工場で従業員の死亡事故

7月29日午前11時20分ごろ、日本板硝子の千葉事業所(市原市)の工場で死亡事故が発生しました。市原市消防局によると、この事故で従業員4人が搬送され、うち意識不明の状態で搬送された50代の男性1人は、その後死亡が確認されたということです。

日本板硝子

日本板硝子は建築用・自動車用ガラス、ガラス加工製品、高機能ガラス分野において、世界最大級のガラスメーカーの一つです。グローバルに事業を展開しており、100カ国以上で製品の販売を行っています。創業100年を超える東証プライム上場企業です。

事故の概要

従業員計6人で、ガラスを作る際に排出されるガスから二酸化硫黄を取り除く装置をメンテナンスする作業中の事故。灰をかき出す作業を行っていた際、何らかの原因で高熱の灰の下敷きになったということです。他の40代~50代の男性3人は搬送時に意識はあったようですが化学熱傷を負っているとのこと。

ガバナンスの機能不全

日本板硝子では今年3/24、同社技術研究所(兵庫県伊丹市)においても火災が発生しており、なんとその火災が同社従業員による放火であったという事件が起きています。従業員の犯罪や火災事故。ガバナンスが機能していない証でしょう。ちなみに、この投稿を書いている時点で同社からの開示はありません。

株式会社竹内製作所 本社工場における火災発生 昨年9月にも

株式会社竹内製作所は7/16、「当社本社工場における火災発生に関するお知らせ」を公表しました。7月16日(火)午前7時52分頃、同社本社工場(第二工場)において、火災が発生したとのこと。

株式会社竹内製作所

竹内製作所は、ミニショベル、油圧ショベル、クローラーローダー(不整地用の積込・運搬・掘削機)などの建設機械を製造・販売する企業。世界で初めてミニショベルおよびクローラーローダーを開発。ミニショベルはEU、北米で高いシェアを占めています。東証プライム上場企業です。

火災の概要

7/16、午前7時52分頃、長野県埴科郡坂城町の同社本社工場(第二工場)において、火災が発生。工場内塗装エリアにある乾燥設備のうち送風機の内部が異常な高温となり出火したとのこと。その後、午前9時33分頃、消防により鎮火が確認されたということです。

人的被害については、同工場内にいた従業員は全員退避したものの、初期消火活動にあたった4名が煙を吸い込んだため、病院で処置を受けましたがいずれも軽症でした。物的被害については現在調査中としています。

大事に至らなくてよかったんですが、同工場では昨年9月にも工場内部に煙が充満していると119番通報があったようです。二度あることは三度あるとも言いますし、、、気を付けないとね。

成友興業株式会社 セメント工場の岸壁に接岸中の船舶で爆発事故

成友興業は7/12、「当社城南島第二工場のセメント原料(汚染土壌処理後物)を積載した船舶の事故に関するお知らせ」を公表しました。爆発により船員やセメント工場側の協力会社従業員、合計9名が怪我をする事故が発生しました。

成友興業

成友興業は東京都を地盤に、建設現場で発生した産業廃棄物などを自社処理施設で再資源化する「環境事業」が主力。道路舗装や一般土木工事などを行う「建設事業」なども手掛ける名古屋証券取引所メイン市場上場企業です。

事故の概要

テレビでの報道では、セメント工場側(UBE三菱セメント)が映し出されていたので、同社の事故かと思ってたんですが、船主側である成友興業が今回開示を行っています。非上場のUBE三菱セメントはホームページ上でもこの事故については触れていません。

7月11日(木)10時00分頃、福岡県京都郡苅田町所在のセメント工場の岸壁に接岸中の船舶に、爆発を伴う事故が発生し、9名(船員3名(1名は重傷)、セメント工場側の協力会社6名)の方が怪我をされたとのこと。

UBE三菱セメントの工場に着岸中、荷降ろしのためにハッチを開けたところ、セメント原料となる汚染土壌処理後物(土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合していない土壌を中間処理したもの)が爆発。爆発時の熱風を浴びてやけどを負ったということのようで、火災は発生していません。爆発の原因等については、現在調査中としています。

出光興産 千葉事業所で火災事故

出光興産は7/2、「当社千葉事業所 潤滑油製造装置からの出火について」を、同社ホームページのお知らせで公表しました(適時開示はなし)。火災は同日の14時28分頃に発生し、約3時間後に鎮火を確認したということです。

出光興産(いでみつ)

出光興産は大手石油元売りの一角で、石油製品・石油化学製品を精製販売しているほか、原油・石炭生産なども手掛けています。2019年に昭和シェル石油の株式を取得し経営統合。売上で見ると、首位ENEOSに次ぐ第2位の東証プライム上場企業です。

火災事故の概要

7月2日(火)14時28分頃、千葉県市原市の千葉事業所で火災が発生。敷地内の潤滑油製造装置の一部と軽油が燃え、火は約3時間後に消し止められました。この事故で従業員 1 名(20 代・男性)が右足にやけどを負い、病院に搬送されたとのこと。人的被害は以上のようですが、物的被害等は確認中としています。

他の設備や近隣への延焼はなかったということで、大事には至りませんでしたが、この工場、今年1月にも事故を起こしてるんですね。従業員が何らかの電源を切る際に感電し、けがをして病院に搬送されました。電気室内から黒煙が上がったとも。

そういえば、首都高湾岸線の多摩川トンネル内でタクシーが横転、ドライバーと乗客が死亡する事故がありましたが、死亡した乗客が出光興産の子会社社長でしたね。今回の事故とは関係ないけど。

韓国リチウム電池工場火災 いずれ日本でも起きそうな「危険の外注化」

6/24、韓国の首都ソウル南郊の華城にあるリチウムイオンバッテリー工場で火災が発生。この火災で工場作業員23名の死亡が確認されました。爆発・火災の規模も大きく、大勢の死者が出たことから、日本でも多くのメディアが取り上げていました。

外国人労働者

リチウムバッテリーは高温かつ高速で燃焼するため、従来の消火方法では制御が難しく、散水では消火できないんだそう。そのため消火に手こずり、23名もの死者を出すに至ったようです。そしてこの23名のうち18名が中国とラオスの国籍でした。

韓国は昨年の出生率が世界最低水準の0.72に減少。生産年齢人口はどんどん減少しています。そう、日本とまったく同じ状況なんですね。日本でも外国人の労働者は増加してきており、彼らの働く現場における安全管理が問題になってくるはずです。

危険の外注化

今回の火災で盛んに言われているのが、「危険の外注化」という言葉。労働環境が劣悪な職場で外国人を働かせ、コストダウンを図る。コストを意識すればするほど工場等の職場におけるリスク管理もおろそかになる。そんな構図だと思います。

日本でも近いうちに似たような事故が発生しそうですね。今回の火災事故を他人事とせず、自社における将来のリスク管理問題かもしれない、と受け止めた経営者はどれくらいいたでしょうか。