日本精鉱(5729) 中瀬精錬所で火災事故

日本精鉱株式会社は8/6、「当社中瀬製錬所における火災発生について(第一報)」を公表しました。兵庫県養父市にある同社中瀬製錬所において、8/5、午後0時20分頃火災が発生しています(同日午後2時20分頃鎮火を確認)。

日本精鉱株式会社

日本精鉱株式会社は、自動車、家電製品、繊維製品などの幅広い分野で、難燃助剤あるいは触媒として使用されるアンチモンと、その化合物の生産・販売におけるリーディングカンパニーだそうです。東証2部上場企業ですが、従業員は88人とかなり小ぶりな会社ですね。

アンチモンはプラスチック製品や繊維製品などの難燃助剤をはじめ、触媒や顔料、減摩材、ガラス清澄剤など、様々な用途を持っているそうです。ただ一方で、人体にとっての毒性もあるんだとか。

火災の概要

中瀬製錬所は兵庫県北部にそびえる、県下最高峰の氷ノ山の麓にあります。古くは1500年代に遡る「中瀬金山」の歴史を持ち、現在はアンチモン製品を製造する工場。同工場の前処理建屋内から破砕した原料メタルを製造炉へ送り込むベルトコンベアで火災が発生しました。

公表文では、「火災により損傷した設備はメンテナンスを行っており、一時停止中のものでした。」と説明されています。一時停止中の設備での火災、ここ、ちょっと気になりますね。

株価

同社はこの開示の前日13時に好決算を公表。株価は一時ストップ高まで買われました。同じ日の12:20に火災が発生していて、その40分後に好決算の発表。そして火災の公表は翌日の15時。ジェットコースター相場になりかねません。危うく多くの投資家が巻き込まれるところでした。この公表順、何とかならなかったんでしょうかね。

曙ブレーキ工業 今度はインドネシア子会社で工場火災

全国の生産拠点6ヵ所のうち4ヵ所で検査不正が発覚し、品質管理の国際認証の一部が取り消された曙ブレーキ工業。今度はインドネシア共和国 ジャカルタの子会社で工場火災です。 自動車用ディスクブレーキのメッキ塗装ラインで7/21、発生したそうです。

火災の概要

火災が発生したのは、インドネシア子会社の曙ブレーキ・アストラ・インドネシアの工場です。発生から約5時間後に鎮火しました。火災当時、工場は稼働していなかったため、負傷者はいませんでした。物的被害状況については現在調査、確認を進めているといいます。

発生場所は、自動車用ディスクブレーキのメッキ塗装ライン。前日がイスラム教の祝日で休日だったため、火災当時、生産ラインは稼働していなかったとのこと。約400平方メートルが火災の影響を受けたものの、付近の住宅への延焼はなかったようです。

同工場では二輪車用ブレーキディスクなども生産していますが、少し離れたエリアにあり、また四輪車用ドラムブレーキは、工場内の別の建物で製造しているため、火災の直接被害は受けていないということです。

完成車メーカーへの影響

自動車用ブレーキの世界大手ですから、当然完成車メーカーへの影響も心配されるところですが、今のところ大きな影響はないのではとの感触のようです。日系自動車メーカーのコメントとして、「来週以降には通常の生産体制に戻るのではないか」との見通しが伝えられています。

半導体不足で減産を強いられたりした自動車メーカー。ここで主要パーツの供給が断たれると、痛いですよね。しかし、検査不正に続く工場火災。同社、やはりガバナンスが機能していないんでしょうか。

日本製紙 工場火災 一週間経っても鎮火せず

日本製紙の秋田工場で火災が発生していたんですね。TDnetでの開示もありませんでしたし、日経も取り上げてなかったので気が付きませんでした。7/7の午前、ベルトコンベヤーから火が出る火災が発生。けが人や搬送された人はいなかったということですが。

火災の状況

同社のホームページで確認すると、「7月7日6時30分頃、秋田工場のチップ搬送用コンベアと、それに接続するチップ貯蔵設備であるサイロにおいて火災が発生し、現在まで消防と連携して消火活動を継続しております。」とあります。

で、大きなサイロ2基は7/13までにそれぞれ消火されたものの、小型のサイロ2基ではチップがくすぶり続け、一週間経っても鎮火の目途がついていないようです。

ガバナンス ×

工場火災等については多くの企業が、投資家や株主にも情報を開示するために、TDnet等で発生から鎮火、原因究明から再発防止、業績への影響までを伝えています。同社はまったくそういう対応を取っていません。自社ホームページで7/8、発生のお知らせを載せただけ。どうなんでしょうね、この対応。投資家や株主には不要の情報ですか?

おまけに、この工場では、2016年から2020年までの5年間に7件の火災が発生し、そのうち4件が、朝の時間帯に発生しているそうです。うち一件は去年3月、やはりベルトコンベヤーから煙が出て、消防が出動しています。

TDnetではろくに開示もしない同社ですが、お知らせの最後には「ご理解、ご支援賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。」ですと。これはないだろう。

京三製作所 工場火災 放火犯逮捕

今年1/14、0時50分頃、横浜市鶴見の本社内の工場、および倉庫の2箇所で火災が発生し、その後の調査で工場の電気設備等に異常がなかったことが判明。放火である可能性が高まっていた京三製作所。とうとう放火犯が逮捕されました。

警備会社の警備員

逮捕されたのは、当時京三製作所を担当していた警備会社の警備員だったとのこと。犯行当日は休日で、警備員である立場を利用して敷地内に侵入した疑いが持たれているそうです。やはり、周辺の防犯カメラ映像などからこの容疑者が浮上したようです。

この逮捕、再逮捕という報道がされていて、実はこの容疑者、京三製作所社内からパソコンを盗んだなどとして、5月と6月に盗品等処分あっせんなどの疑いで2度逮捕されていたんだそうです。とんでもない奴ですね。22歳男性です。

再逮捕容疑は、1/14、午前0時45分ごろ、横浜市鶴見区平安町の京三製作所敷地内にある5階建ての工場兼事務所に侵入し、置かれていた段ボールなどに火をつけて1千平方メートル以上を焼損させたこととなっています。

一段落だけど

容疑者の男は、「供述は拒否します」などとし、容疑を否認しているとのことですが、まず間違いないんでしょう。約半年かかりましたが、とりあえずこの事件は一段落ということになりそうです。

ただ、犯行の動機は?とか、どこの警備会社に勤務?とかは今のところ不明です。パソコンを盗んだ証拠をすべて焼き払いたかったのか。放火ですからね、同社との関係性であったり、もっと根深い事情がありそうな気もします。続報を待ちましょう。

堺化学工業 亜鉛末事業から撤退

堺化学工業は6/11、「亜鉛末事業の撤退ならびに湯本工場の爆発・火災事故にかかる業績への影響に関するお知らせ」を公表しました。5/11に湯本工場で発生した爆発・火災事故からちょうど1か月。この事業からの撤退を決定したとのこと。

第8報

同じ日、「湯本工場の爆発・火災事故に関するお知らせ(第八報)」も公表されています。重傷者の一名が6月中旬に退院予定となったことや、6/5付で事故調査委員会を設置したことなどが追加されています。

そして、「亜鉛末製品のマーケット状況や再建にかかる投資採算性等について総合的に検討した結果、亜鉛末事業から撤退し、工場再建を断念することとした」、ことについても。

事業からの撤退

通常は事業から撤退する場合、あらかじめ取引先に連絡。少なくとも取引先が他からの調達にめどをつけるまでは、出荷を継続するんでしょうね。ただ、今回ばかりはそうした調整の時間はありませんでした。取引先には相応の負担を強いる格好になったと思われます。

この事故により発生する補償、撤去などに係る費用、販売を含めた事業への影響額を合理的に見積もることは困難な状況としながらも、同社としては、この事故が2022年3月期の連結業績に与える影響額の見通し(税引き前利益)は、合計3億円程度としています。

事故発生で株価も影響を受けました。直前の1900円台から一時は200円以上売られましたが、このところ次第に戻っていて、1900円台を回復する場面もありました。

ということで、あとは事故の原因究明と再発防止策の策定ですね。事故調査委員会の調査結果を待ちましょう。