日東電工 韓国子会社で火災事故

日東電工は10/5、「韓国オプティカルハイテック社における火災発生について」を公表しました。10/4の17時半ごろに出火し、10/5午前9時くらいまでに消火活動は終わったものの、復旧には時間がかかるもようです。

日東電工

日東電工は偏光フィルムをはじめとした、液晶ディスプレイ用光学フィルムのトップメーカーです。各種産業分野で幅広く使われるテープ類や、核酸医薬の受託製造などでも高いシェアを持っています。大阪市に本社を置く東証プライム市場上場企業で、このところ連続して最高益を更新している優良企業ですね。

火災事故の概要

韓国オプティカルハイテック株式会社(所在地:慶尚北道亀尾市)の 生産棟で、10/4の17時半ごろに火災が発生。同日勤務していた従業員、および外部協力会社計156名全員の無事は確認しているようですが、消火作業中に消防士3名が負傷したとのこと。それなりの規模の火災だったようですね。火災の原因については現在調査中としています。

同社では、スマートフォンやタブレット端末などに使用される主力製品の偏光板の生産を手掛けています。偏光板を含む光学材料は売上高で全体の4割程度を占める日東電工の主力事業。火災事故により偏光板の生産に影響が出るかなど、業績への影響については現時点で不明としています。

日本の主力産業を支える半導体工場等が次々と火災に見舞われ、大変なことになりました。なんだかその当時のことを思い出します。今回の日東電工の火災では偏光板。供給に大きな影響が出なければ良いのですが。

長谷川香料 社員の死亡事故

長谷川香料株式会社は9/16、「当社社員死亡事故について」を公表しました。9/15、午前11時頃、同社板倉工場(群馬県邑楽郡板倉町)において所属社員1名が死亡し、2名が負傷する重大な事故が発生したという開示です。

長谷川香料株式会社

長谷川香料は飲料、乳業、菓子用などのフレーバー(食品香料)と、化粧品、トイレタリー製品用などのフレグランス(香粧品香料)を扱う香料メーカーです。売上高では高砂香料工業に次ぐ国内2位の企業。1903年創業といいますから、120年の歴史を持つ老舗企業ですね。

事故の概要

開示資料では、9/15、午前11時頃、同社社員が食品の蒸留作業中に体調不良を起こし病院に搬送され、1名が死亡、2名が負傷とのこと。原因は、一酸化炭素による影響と思われるが、現在詳細を調査中、としています。開示ではここまでの情報しかありません。

報道等の情報によると、コーヒー豆を熱して出る蒸気を冷却して香り付きの液体にし、円柱状のタンク(直径約120センチ、高さ約170センチ)に移す工程で作業していたといいます。このタンク内にいた男性社員(48)が死亡、男性社員(30)が意識不明の重体だとのこと。さらに、2人の救助に当たった男性社員(41)も軽傷。

通常は香料の製造作業中にタンク内に人が入ることはないそうで、警察は2人が何らかの理由で自ら入ったか、誤って落下したかを捜査しているようです。高さ170センチのタンクからであれば、なんとか自力で脱出できなかったのかと思うのですが。開口部の形状が分からないので何とも言えません。

事故を受けて長谷川香料は、調査委員会を立ち上げ、関係省庁に全面的に協力しながら原因究明に努め、再発防止に全力で取り組むとしています。

AGC 塩酸流出事故

AGCは8/29、「当社鹿島工場における塩酸流出について」を公表しました。なんとも物騒な事故ですね。濃度35%の塩酸が約1,228トンも漏れ出してしまったという事故です。怖い、怖い。

AGC株式会社

AGCは昔の旭硝子ですね。2018年に旭硝子からAGC株式会社に社名を変更しています。建築用、自動車用板ガラスを中心としたガラス事業を主力とする企業で、フロート板ガラスの生産量、自動車用ガラスの販売量では、世界1位(同社調べ)の市場シェアを持っています。

事故の概要

同社鹿島工場(茨城県神栖市)において、貯蔵していた塩酸が漏洩し、その一部が海水に流出したということです。1,228トンってのは化学品製造工場の塩酸貯蔵タンクのうち1 基に貯蔵していた分のすべての塩酸だそうです。

工場作業員3名が喉の違和感を訴えたため病院で受診しましたが、処置不要との判断だったとのこと。人的被害がなくて良かったですね。環境への影響も、「工場敷地外に影響を与える可能性は極めて低い」ということです。

続くときは続くもので

そういえばどこかで濃硫酸が流出したって事故がありましたね。8/16に発生、1,900リットルの濃硫酸。浜松市の日本ケイカルって会社でした。この会社は非上場で、明星工業とニチアスの子会社。続くときは続くものですね。両社とも発生原因をまだ公表してませんが、貯蔵タンク等設備の老朽化とかが影響してるのかなぁ。

大阪ガス グループ投資先における火災事故の影響

少し前の話になりますが、大阪ガスは7/4、「投資先における火災の発生による当社グループへの影響について」を公表しました。同社グループの投資先であり、かつ LNG 調達先の一つであるフリーポートLNGプロジェクトの液化基地において火災が発生し、基地の操業が停止しているとのこと。

大阪ガス

大阪ガスって正式名称は「大阪瓦斯株式会社」なんですよね。「瓦斯」という漢字、もう日本で使われてないでしょうに。大阪ガスは大手都市ガス会社の一角で業界第2位。主力のガス事業では、泉北(大阪)と姫路(兵庫)でLNGを受け入れ、都市ガスを製造。関西圏の近畿2府5県83市35町を供給区域とし、ガス供給件数は503万件という会社です。

火災事故

日本時間の6/9、LNG 調達先の一つであるフリーポートLNGプロジェクトの液化基地において火災が発生し、基地の操業が停止しているとのこと。7月になって、同プロジェクトより今後の操業再開に向けた見通しとして、2022年10月上旬に部分的な操業再開を見込む旨が発表され、同プロジェクトの操業停止期間が当初見込みから延長されることになったという開示です。

火災発生当時はもっと甘い見通しを持っていたということのようですね。そのため、火災発生に関する開示はしておらず、1ヶ月経っての開示となっています。どうなんでしょうね、これ。隠ぺい体質というのは言い過ぎでしょうか。

今度は LNG(液化天然ガス)

ちょっと前まで半導体不足で大騒ぎしていましたが、なぜか当時は半導体工場の火災やら事故が相次ぎました。で、ここへきて「節電」ならぬ「節ガス」が叫ばれ始めるなか LNG(液化天然ガス)供給基地での火災事故。悪いことは続くと言いますが、もうそろそろって感じですね。

SBSホールディングス 物流センターで火災事故

SBSホールディングスは7/4、「火災発生に関するお知らせ」を公表しました。TDnetでの開示はこれが初報なんですが、よくよく見てみたら当該火災の発生は6/30の18時過ぎなんですね。同社ホームページ上では7/1に初報が掲載されていました。どうなんだかなぁ、こういう対応。

SBSホールディングス

SBSホールディングスは、主に企業間物流の分野で総合的に展開する物流事業を基幹とし、物流施設の開発・販売などの不動産事業も行う企業です。企業の物流業務を包括的に受託する3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)事業などを展開する東証プライム市場上場企業です。

火災の状況

茨城県稲敷郡阿見町というところにある、同社連結子会社SBSフレック株式会社阿見第二物流センターで6/30、18時過ぎ火災が発生しました。7/4時点でも消防による消火活動が継続中であり、鎮火に至っていないということです。丸4日燃え続けてるってことですね。

人的被害はないようで、発生当日に工事関係者1名がのどの痛みを訴え搬送されましたが、退院し回復に向かっているとのこと。同社従業員は全員無事を確認しているということです。

また、消火活動中の7/2には、フラッシュオーバーが発生したんだそうです(これによるけが人等はなし)。昔の映画で「バックドラフト」っていう映画がありましたが、似たような現象みたい。室内の局所的な火災が、数秒~数十秒のごく短時間に、部屋全域に拡大する現象の総称らしいっす。厳密にはバックドラフトとは違うみたいです。

原因等はまだ分からないようですが、上述の搬送された人物のことを「工事関係者」と呼んでいますので、同物流センターにて何かしらの工事を行っている際に発生した事故ということのようですね。