永大産業 まったく別の事業所で連続して火災事故

永大産業は5/13、「当社敦賀事業所パーティクルボード工場における爆発火災事故発生に関するお知らせ」を公表しました。5/13の朝6時20分頃、福井県敦賀市永大町 敦賀事業所 パーティクルボード工場で爆発火災事故が発生。鎮火までに17時間を要しました。

永大産業

永大産業は、住宅資材および木質ボードを製造・販売する総合住宅資材メーカー。住宅用建材の素材であるパーティクルボード(木材をチップ化し、接着剤を塗布して熱圧成形したもの)から内装、水まわり製品まで幅広い事業を展開する東証スタンダード上場企業です。

事故の状況

第2報まで公表されており、何らかの理由で粉塵爆発が発生したと推測しているようですが、今のところ公式には爆発火災の発生原因は調査中となっています。この事故で同社従業員4名が被災しており、うち1名の方が亡くなっています。

1時間後には別の火災も

同じ日の7時15分には、同社が65%出資する子会社、ENボード株式会社(静岡県駿東郡小山町)でも火災が発生。こちらは人的被害もなく、1時間で鎮火していますが、両工場での連続した火災発生、これってホントに、全くの偶然なんでしょうか。

火災発生の前日、決算発表にあわせ永大産業はENボード株式会社の株式について、減損処理を実施し、関係会社株式評価損として 129 百万円を特別損失に計上するとも発表しています。この話についてもなにか関係がありそうに見えてきます(考えすぎでしょうが)。

大平洋金属株式会社 株主は大変なことになってそう

大平洋金属株式会社は4/28、「電気炉の溶融物漏出事故について(第 5 報)」を公表しました。第5報ということなので遡って調べてみると、この事故の発生は昨年の3/29なんですね。1年がかりで第5報とは。

大平洋金属

大平洋金属は、ステンレス鋼の主原料となるフェロニッケル(ニッケル20%、鉄80%の合金)を製造、販売する企業。ニッケル鉱石を購入し、青森県八戸市の本社製造所に備えた電気炉でフェロニッケルを生産しています。東証プライム上場企業です。

事故の概要

八戸本社・製造所において、フェロニッケル製造設備である電気炉の修繕中に、炉内に残留していた溶融物が炉外へ漏出したというもの。人的被害はなく、生産設備は全て一時停止しましたが、その後すぐに、電気炉全3基のうち、漏出のあった電気炉1基を除き、生産を再開しています。保険の適用で業績に与える影響も軽微としていました。

第5報とはなっているものの

事故の第5報という開示にはなっていますが、実際のところは業績悪化のお知らせ。中国の「ゼロコロナ政策」や不動産不況でステンレス需要が減速。減収。電力代の高騰などで生産コストの上昇幅も広がり最終赤字にということらしいです。

まぁ、大変なことになっているようですが、問題は同社の業績に対する見込みの甘さです。今年2月には34.9億円の赤字と見込んでいた経常利益を26.6億円の赤字に上方修正。ところが、第5報と同時に公表された4/28の開示では、26.6億円の赤字→49.6億円の赤字へと再度下方修正。

こりゃ投資家や株主はたまったもんじゃないっすね。昨年の事故発生前に4,500円していた株価は今では1,800円ほど。1/3近くまで下げています。3月末決算を受けて、6月の株主総会は荒れるかもね。

デンカ株式会社 一週間に二度の工場火災事故

デンカ株式会社は4/20、「当社青海工場における火災について」を同社ホームページで公表しました。適時開示は行われておらず、kuniもこれまで気が付きませんでした。なんで、適時開示しないんですかね。投資家も株主もこれでは気付けません。

デンカ株式会社

デンカは、電子材料をはじめとした高付加価値のファインケミカル製品を中心に展開する、三井系の中堅化学メーカー。セメントや医薬品、インフルエンザワクチンなどにも展開している東証プライム上場企業です。以前は電気化学工業という社名でしたが、2015年、創立100周年を機に、「デンカ株式会社」に社名変更しています。

事故の概要

まず最初に4/16、同社青海工場(新潟県糸魚川市)のカーバイド製造設備 計装機器にて火災が発生しています。この事故の後にはホームページでのお知らせすら発信されていませんでした。そして4/19、同じ工場の別のエリア、中間品(可燃性ガス)製造設備付帯排水溝にてまたも火災が発生。

さすがに一週間に2度目の火災事故ということもあり、4/20のお知らせが公表されました。しかし、それでも、適時開示はされていません。「自社に都合のよくない事象はできる限り内々に収めたい。」という経営の考え方がよく表れていますよね。

ガバナンス

ガバナンスって一言で言い表せるようなものではないと思いますが、自社にとって都合よくないことや困ってしまうようなことが起きた時こそ、問われるもの。で、そこには自社の課題を打破するヒントも詰まっています。目を背けてしまっていてはもったいないし、会社が良くなるチャンスを逃してるだけ(もちろんその場面はメチャ辛いけど)、、、ってkuniは思うんですけど。

ロックペイント株式会社 伊賀上野工場における火災事故

ロックペイント株式会社は4/7、「当社伊賀上野工場における火災発生に関するお知らせ」を公表しました。4/6の11時15分頃、三重県伊賀市の伊賀上野工場 樹脂製造棟で火災が発生し、11時50分頃、消防関係当局による消火活動により鎮火が確認されたということです。

ロックペイント

ロックペイントは、自動車補修用塗料で国内トップクラスのシェアを誇る塗料メーカー。車両用塗料を中核に、建築用、工業用、家庭用の塗料を展開するほか、ローラー・スプレーガンなどの塗料関連製品・商品を手掛ける企業。大阪市に本社を構える東証スタンダード上場企業です。

事故の概要など

35分ほどで鎮火が確認されており、人的被害についても、同工場内にいた従業員は全員避難し、負傷者はいなかったということです。第1報ですので、物的被害や製造および出荷への影響、火災による業績への影響については、いずれも現在調査中としています。

自然発火?

同社のホームページを見ていたら、「塗料による自然発火について」というコーナーを発見しました。自然発火の危険性があるのは、原料に油類(不飽和脂肪酸類)を含む塗料類であったり、過酸化物を含む不飽和ポリエステル樹脂パテ(ポリパテ)用の硬化剤。などと紹介されています。

今回の火災は樹脂製造棟ということですから、このポリパテなんかの自然発火なんて可能性もあるんですかね。このコーナー、塗料を使用する顧客に対する注意喚起なんですが、、、まずは自社で気を付けないと、って話ですね。

堺化学工業 今度は酸化チタン製造工場で火災事故

堺化学工業は3/31、「小名浜事業所火災事故に関するお知らせ(第 3 報)」を公表しました。その後4/3には第4報が公表されています。福島県いわき市小名浜事業所第一工場で、3/30の17時半ごろに火災事故が発生したということです。

事故の概要

酸化チタン製造工場で火災が発生し、発生から1時間後には鎮圧が確認されたということで、人的被害もなく大事には至らなかったようです。火災が発生した設備を除き、順次安全を確認し運転を再開しているとのこと。

何やら既視感が

前にもあったような気がして、、、。やはり、2021年5月にも同じ小名浜事業所で爆発火災事故が発生しています。この時も事業所は一緒ですが、工場は別の湯本工場の亜鉛末工場でした。重傷者1名、軽傷者3名を出すかなり大きな事故です。

この事故を受け、同社は事故調査委員会を設置して調査を徹底。亜鉛末事業から撤退し、工場再建を断念するとしていました。もちろん、12か月にわたって取締役の役員報酬の減額も行っています(詳細は当ブログの過去記事を)。

再び起きてしまった事故

亜鉛末に関しては事業から撤退しましたが、酸化チタンは同社の中核事業だと思われますから、しっかりとした再発防止対応を取って事業を継続していくしかなさそうです。しかし、前回あそこまでしっかり対応したのにねぇ。この度の火災の発生原因の究明はもう少し先になりそうです。