中央発條 爆発事故でトヨタ自動車が国内7工場で稼働停止

昨日取り上げた中央発條の工場爆発事故。従業員2名の負傷ということでしたが、思ってた以上に大きな影響が出ています。

トヨタ自動車

中央発條が製造するバネの部品調達が滞り、10/16から、トヨタ車体の2工場の稼働を停止したほか、10/17はトヨタ、トヨタ車体、豊田自動織機などで4工場が稼働停止し、カローラ』や『クラウン』、『プリウス』などを生産する6工場10ラインの稼働を止めたとのこと。さらに、10/18は岐阜車体工業も追加する予定ということで、あわせて7工場11ラインで稼働を停止することに。

第1報では

中央発條からの第1報では、「設備被害につきましては、事故が発生した乾燥炉および建屋の一部が損傷しております」としか発表されておらず、7工場11ラインが止まってしまうような被害状況には見えませんでした。これって、ネガティブイメージを増幅させないように、トヨタが被害状況を伏せさせたんですかね。

しかしそれにしても

まぁ、中央発條の被害が実はかなり大きかったとしても、事故発生の当日からあちこちで生産が止まってしまうって、どういうこと?車体の製造・組み立てには必須のパーツなのに、生産側にもユーザー側にも在庫がない?、別工場などでの代替生産という手段もない?

いやぁ、不思議です。報道を見ていても、「1年半の間に4回も稼働停止」みたいなのが多く、トヨタの工場稼働管理や、子会社管理を問題視するような記事が多いのも頷けますね。

中央発條株式会社 藤岡工場の第4工場で爆発事故

中央発條株式会社は10/17、「当社藤岡工場 第4工場事故に関するお知らせ」を公表しました。10/16の12:15ころ、愛知県豊田市の同社藤岡工場で爆発事故が発生し、2名の従業員が負傷したということです。

中央発條株式会社

中央発條は自動車用のばねとコントロールケーブルの専門メーカーです。主力のばねは、サスペンション向けの「シャシばね」、エンジンなどに使われる「精密ばね」を製造する、トヨタ自動車の持分法適用関連会社。名古屋市に本社を置く東証プライム上場企業です。若い人にはなじみがないと思うけど、「発條」ってバネのことね。日本発条なんかもそうです。

爆発事故の状況

怪我をされた方が2名ということですが、1名は軽傷のため社内での応急処置、1名については確認のため病院で診断、処置を受けたとのこと。設備被害については、事故が発生した乾燥炉および建屋の一部が損傷しているということです。原因については、現在消防および警察に協力し鋭意調査中だそう。重大な被害がなくて良かったです。

皮肉なことに

同社は事故の一週間前の10/11、活力に満ちた安全で働きやすい職場づくりに向け「健康宣言」なるものを公表しています。その中で、ゼロ災害に向けた「安全な職場づくり」についても高らかに宣言したばかり。何とも皮肉なタイミングでの事故となりました。

大同信号株式会社 子会社三工社で火災事故

大同信号は9/25、「当社グループ会社における火災について(第1報)」を公表しました。同社の子会社である株式会社三工社甲府事業所テクノセンター(山梨県中央市)にて、9/22に火災が発生したということです。

大同信号

大同信号は鉄道信号保安装置の製造、設置工事をする鉄道信号関連を主力に、産業用機器へも展開する企業。主要顧客はJR各社をはじめとした日本全国の鉄道事業者。日本電設工業が筆頭株主の東証スタンダード上場企業です。火災が発生した株式会社三工社は大同信号が54.4%を出資する子会社です。

火災の状況

9/22の19:10頃、工場内より出火し、22時頃鎮火したとのこと。出火原因ならびに事業所外への影響については、現在調査中としています。物的被害も調査中のようですが、幸い人的被害はなかったようです。

甲府事業所テクノセンターという名称からは火災が発生しそうな感じがしないけど、何が原因だったんでしょうね。ちなみに三工社自体は鉄道信号保安装置の製造販売が主要事業のようです。

大同信号との関係をイメージさせない企業名で、100%子会社でもなし。それでもしっかり適時開示しているのは、エライと思います。

三菱製紙 八戸工場でボイラー爆発事故

三菱製紙株式会社は8/30、「ボイラー事故に関するお知らせ」を公表しました。同社八戸工場(青森県八戸市)において8/22、ボイラー事故(水蒸気爆発)が発生したとのこと。ずいぶんシンプルな開示かつ、発生から1週間経ってからの開示です。

三菱製紙株式会社

三菱製紙は印刷用紙、情報用紙を提供する製紙会社。インクジェット用紙、特殊機能紙、写真印画紙、写真感光材料、電子材料、CTP印刷版や印刷製版機材なども手掛けています。王子ホールディングスの持分法適用関連会社で東証プライム上場企業です。

事故の概要

発生は8/22の16時すぎ。八戸工場の3号回収ボイラーで起きています。人的被害や工場外部への影響はないとしています。それでも設備はもちろん損傷しており、復旧までには2か月程度を要するとのこと。

やはり他にも

この会社、SNS等でもその安全管理に対するガバナンスの甘さが結構指摘されていて、起こるべくして起きた事故だとも。調べてみると、2018年には紙を製造する抄紙機のローラーと吸水棒の間に胸部を挟まれて作業員が死亡するという事故が発生しています。

そして、2019年には、兵庫県の三菱製紙高砂工場で、約2.5トンの2本のロール紙に作業員が挟まれ死亡したという事故も起きています。さらに昨年、八戸工場ではベルトコンベアーで火災が発生したりもしています。

自社に不利となるような話題の開示に消極的な企業。この会社もまたそういう感じに見えます。やはり、火災や事故が頻発するのは経営者の問題なんです。

太平洋セメント 岩手県大船渡工場で火災事故

8/21の午後、太平洋セメント 岩手県大船渡工場で火災事故が発生しました。火はおよそ3時間後にほぼ消し止められ、けが人はいないということです。焼けたのは、工場の敷地内にあるベルトコンベヤーで、セメントの原料を貯蔵庫に送るためのものだということです。

太平洋セメント

太平洋セメントは、出荷数量シェアで国内トップのセメント会社です。小野田セメントと秩父セメントが合併し、その後日本セメントも合併し、1998年に太平洋セメントが発足しています。

度重なる事故

今回の火災事故は大きなものではありませんでしたが、実は大船渡工場では4月にも別のベルトコンベヤーが焼ける火事が起きています。調べていたら他にも、8/3に埼玉工場でフォークリフトを運転していた作業員がフォークリフトに挟まれ死亡した、なんて事故も起きてるんです。

さらに、この埼玉工場では2021年4月に発電用のボイラーが爆発、敷地外に止まっていた車が燃えたほか、車約20台の窓ガラスが割れたり車体が傷付いたなどの被害が出ています。幸いけが人はなかったものの、もの凄い爆発だったそう。

この会社ヤバいね。確かに規模の大きな会社だけど、事故多過ぎです。ホームページも覗いてみたけどこうした事故の開示がされてません。事故を頻発させる企業によくみられるパターンで、都合の悪い情報は外に出さないカルチャーのよう。