中部電力 元取締役 1 名に対し任務懈怠があったとして責任追及の訴えを提起

中部電力は5/28、「公正取引委員会からの中部地区における大口需要家向け都市ガス供給に関する課徴金納付命令等の受領に係る元取締役に対する責任追及の訴えの提起等について」を公表しました。大口需要家向け都市ガス供給に関して、独占禁止法に基づく課徴金納付命令を受けた件ですね。

課徴金納付命令

今年3月4日に、特定大口都市ガスの見積り合わせ等の参加業者として、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたとして、課徴金納付命令を受けました。子会社も含めた課徴金の額は約2700万円。

取締役の責任

この件に関して、当時の取締役に対する責任追及の必要性について、外部法律事務所に調査を委託し、その結果を監査役会等にて精査し、対応を検討してきたとのこと。その結果、中部電力の全監査役は、調査対象取締役のうち、元取締役 1 名に対し、本件に関する任務懈怠があったとして、約7000万円の損害賠償請求を行うということです。

7000万円の内訳等については開示されていませんが、独占禁止法に基づく課徴金納付命令を受けました、って事案に関して、関与した取締役にここまでの責任を追及するのってかなり珍しいですね。おそらく、この事案以外にもいろいろあったんでしょう。もう少し背景が知りたいですね。

小僧寿し元役員 インサイダー取引で課徴金539万円 子会社従業員も

証券取引等監視委員会は5/24、自社株でインサイダー取引をしたとして、金融商品取引法に基づき、東証スタンダード上場の「小僧寿し」(東京)の役員だった40代男性に課徴金539万円を納付させるよう金融庁に勧告しました。

インサイダー取引

男性は同社が業績予想を下方修正するとの情報を入手し、公表直前の2022年10月28日に25円と26円で計約227万株を計5767万5千円で売り抜けました。ゴミみたいな株価でインサイダー取引で売り抜ける役員。会社も会社なら、役員もゴミみたいな奴です。

多くの報道がこの役員のインサイダー取引を取り上げてましたが、監視委員会は同時にもう一件勧告を行っています。小僧寿し子会社だった株式会社アニスピホールディングスの従業員によるインサイダー取引です。課徴金の額は29万円です。

子会社従業員も

上記の役員の件とは別の重要事実(アニスピホールディングスの非子会社化)に関するインサイダー取引ですが、役員の取引の10日ほど前に、やはり売り抜けてます。たまたま同じ時期の売却だったので発見されたんだと思いますが、期間を拡大すれば他にも色々出てくるかも。

まさに、「沈む船からネズミが逃げ出す」の構図ですね。その後も同社の株価は低迷しており、直近は20円を下回る水準。一時の債務超過からは脱しましたが、前期も赤字で、まだまだ危険水準。寿司が旨いかどうか、商売が上手いかどうか、じゃなく、もう潰してしまった方が良い会社なのでは?

林兼産業 持分法適用関連会社取締役の逮捕

林兼産業は5/17、「当社持分法適用関連会社の取締役の逮捕について」を公表しました。子会社の取締役が、5月 16 日、関税法違反と家畜伝染病予防法違反として逮捕されたと報道されたことに対する開示です。

林兼産業

林兼産業はマルハブランドの「フィッシュハム・ソーセージ」、日本有数の銘柄豚である「霧島黒豚」、国内でトップクラスのシェアを持つ「養魚用飼料」の3つが看板商品。飼料の生産から食品の販売まで取り扱う総合食品メーカー。マルハニチロのグループ企業で、東証スタンダード上場です。

持分法適用関連会社というのは林兼冷蔵株式会社で、資本金5,000万円、株式の38%を林兼産業が保有し、役員の兼務もあるようです。

逮捕容疑

関税法違反と家畜伝染病予防法違反らしいけど、これではどういう事件なのか分かりません。5/16付けの報道から調べてみると、神戸牛など和牛約7トンを香港へ不正に輸出したという事件が出てきました。

「サンコートレーディング」という会社が主犯格のようで、輸出の依頼を受けていたのが林兼冷蔵の取締役ということのようです。香港への和牛輸出は、香港政府が定めた厳格な条件を満たす必要があり、手続きが簡易なカンボジア向けと偽って香港に輸出していたということです。

カンボジアと偽って中国に和牛を輸出する(これ、密輸)手口って、結構この業界では大きな問題になっているようです。林兼産業の開示ではこうした事件の概要についてまったく触れていません。

サムティ 3名の取締役が一身上の都合で辞任

サムティ株式会社は5/16、「取締役の辞任に関するお知らせ」を公表しました。同社取締役3名が辞任することとなり、本日辞任届を受領したとのこと。一身上の都合で3人が?まぁ、あくまで個人の決断かもしれないけど、辞任の理由はみな同じなんだろうね。

サムティ株式会社

昨年1月、特定の取引先との取引に関連し、過年度決算における会計上の連結対象範囲の判断等についての疑義が判明。代表取締役会長が当該取引先の実質的な経営権を持っていたかも、みたいな話もありましたが、特別調査委員会が出した結論はグレー。黒とまでは言えないみたいな。

その後、会計監査人(EY新日本有限責任監査法人)が経営との認識の相違を理由に退任し、大手の監査法人がサジを投げてしまった際に、よく登場するお助け監査法人にチェンジ。いかにも、このままでは終わらないって雰囲気の会社でした。

取締役の辞任

しかし、一度に3人の取締役が辞任するってのはただ事ではありません。ここからは想像ですが、退任した元会長やそれを支持する一部の経営陣のやり口に、もうこれ以上はついて行けない、、、みたいな状況になってるんじゃないでしょうか。

違法ではないかもしれないけど(いや、違法かも)、かなりヤバいんじゃないか。そういう状況であれば取締役の判断としては正しいと思います。場合によっては後に取締役としての責任を追及され、莫大な損害賠償請求が。なんてこともありますからね。さてさて、いったい何が起きてるんでしょう。

ジーネクスト(その2) 代表取締役の解職と今後の展開

ジーネクストの代表取締役社長が、「代表取締役であった社長の取締役会における不合理な議事運営、業務執行に混乱をきたす等、会社の意思決定に支障が出ていたこと」、を理由に解職されました。代表取締役から代表権のみを失わせ、代表権を有さない取締役会長に、ということでしたね。

解職からの今後の展開

解職を決定したというのは、そこまでは取締役会の決議だけで可能だったから。ということだと思われます。代表権を剝奪するだけでなく、取締役としての地位までを失わせるには、株主総会の決議が必要となります。そこで問題になるのが、この方が35%を握る筆頭株主であることです。

ここまでの流れからすると、次の株主総会で当該取締役の解任や退任という議案を持ち出し、株主総会決議で取締役をも外れてもらう、という展開を目指しているのかと思いますが、その他の株主の票集めをする土台が35%分もあるということで、これはかなりしんどい展開かと。

解職された元社長は28歳という若さで同社を設立した創業者。現在でも46歳くらいです。自身が生み育ててきた会社をそうあっさりと手放すとも思えません。今後は投資ファンドなんかも絡んできて、株主総会はかなり荒れる展開となるかもしれません。

ちなみに、定時株主総会は6月下旬のようですから、6月の月初辺りには株主に総会開催の招集通知が出されると思います。もちろん、それを待たずして臨時株主総会を開催するということも考えられますが。ちなみに、先日就任した新社長は、丸井→大手監査法人→ココペリと渡り歩き、2019年に同社の取締役CFO に就任された方だそうです。

創業者を完全に追い出すことができるのかどうか(そこまでの意思があるのかどうかも含めて)、6月上旬に公表されるであろう株主総会招集通知をもうしばらく待ちましょう。