世紀東急工業 株主代表訴訟 控訴棄却の判決

世紀東急工業は1/30、「株主代表訴訟の控訴審判決に関するお知らせ」を公表しました。道路舗装に使うアスファルト合材の価格カルテルを結んだとして、公正取引委員会から課徴金納付を命じられた事件でしたね。その当時の取締役4人が株主から訴えられていました。

一審の判決

昨年3月、東京地裁は原告であるストラテジックキャピタル(株主であるファンド)の請求を認め、4人に最大で計約18億3,000万円を支払うよう命じました。地裁は価格カルテルの存在や内容を認識していたと指摘していました。

4人の元取締役はこれに対し、原告の請求を認容した⼀審判決を不服として東京⾼等裁判所に控訴を提起していました。世紀東急としても、原告株主の請求および⼀審判決の内容は、いずれも誤った事実認定に基づくものであり正当な理由がないと判断していたようです。

控訴棄却の判決

しかし、ダメでしたね。判決は、「本件控訴をいずれも棄却する。控訴費⽤は控訴⼈らの負担とし、補助参加によって⽣じた費⽤は控訴⼈ら補助参加⼈(世紀東急のこと)の負担とする。」となっています。いやいや、18億ですよ。18億。

そういえば、この訴訟の原告であるストラテジックキャピタル、先日、日証金(日本証券金融)を訴えてましたよね。執行役に対する過剰な役員賞与及び業績連動報酬の支給が焦点になってましたが・・・。こちらはどうなりますかね。

サカイホールディングス ズタボロ 経営陣が総入れ替え

サカイホールディングスでは12/22、第32回定時株主総会が開催されました。この総会で、取締役5名選任という議案について、4名が否決。残りの1名については選任されましたが、就任を辞退するという事態に。その後の取締役会では外部人材を社長に選任しています。

おさらい

連結子会社の株式会社セントラルパートナーズで、代表取締役の指示に基づき経理部長が6年間にわたり売り上げを水増しするという会計不正。以前当ブログでも取り上げました。子会社における典型的な、経営や親会社に対する忖度で発生した不正でした。

この事件を受け、上記のように株主総会が荒れてしまったわけです。新社長には刀パートナーズという会社の代表取締役(43歳)が就任されました。どういう方か調べてないんですが、おそらくサカイホールディングスとは関係ない(プロパーではない)方かと。

監査役まで

株主総会では監査役1名選任の件という議案は承認可決されていたんですが、12/26になって、「監査役の辞任に関するお知らせ」が公表されました。当該監査役が辞任です。このことが今のこの会社の状況を一番正直に表しているかもしれませんね。

辞任の理由は、「定時株主総会における取締役選任議案で会社側提案が否決され、
就任を承諾した際の経営陣とは全く異なる体制となったことから、社外監査役として当初期待された役割を果たすことができないため」だそうです。お気持ちよく分かります。

さぁて、なにもかもがガラガラポンしちゃったサカイホールディングス。これからどうなっていきますやら。

アイ・エス・ビー 特別調査委員会の設置

株式会社アイ・エス・ビーは12/23、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。実はkuniが見落としていたんですが12/20にも、「当社子会社における不正の疑いのある事案の発生について」を公表しています。珍しく「不適切」ではなく「不正」と表現されています。

アイ・エス・ビー

アイ・エス・ビーはモバイルコンピューティングサービスを中心に、流通・製造、金融、医療・介護、官公庁など、各分野で培ったコア技術とサービス・ノウハウを融合した統合ソリューションを提供する企業。要するにシステム開発会社ですね。東証プライム市場に上場する従業員数830名の会社です。

不正の概要

20日の開示によると、連結子会社であるインフィックス株式会社において不適切な取引が行われており、その後2019年に同じく連結子会社の株式会社スリーエスに吸収合併されたのちも、同社において不適切な取引が継続していたということのようです。

さらに同開示には、「2022年11月中旬のスリーエスに対する税務調査の過程において、同社の役員により過去複数年にわたり、売上未計上等の不適切な取引が行われていた疑いがある旨の報告を受けました。」とあります。これ、税務調査ですから、「報告」ではなく「指摘」でしょうね。

ここまでの開示で分かるのはこれだけです。本文では「不適切」と言いながら、タイトルで「不正」と言ってるあたり、当該役員の単独行為であり、個人の不正であるという主張なんでしょうか。他社における事例でも、「会社行為は不適切」、「個人の行為は不正」と呼ぶことが多いんですよね。

カッパ・クリエイト 元社長 営業秘密持ち出し認める

ライバルの回転ずしチェーン「はま寿司」の営業秘密を不正に持ち出したとして、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)罪に問われた「かっぱ寿司」運営企業カッパ・クリエイトの元社長、東京地裁であった初公判で起訴内容を認めたということです。

おさらい

はま寿司の親会社のゼンショーホールディングス(HD)に在籍していた20年8月ごろ、カッパ・クリエイトへの採用が内定し、はま寿司の社員に同社の仕入れや原価に関するデータを送るよう依頼して取り寄せたという事件。自社の商品原価と比較するなど、はま寿司のデータを利用していました。

この事件に関しての初公判が東京地裁で行われ、元社長は罪状認否で起訴内容を認めたということです。意外にあっさりと認めちゃいましたね。っていうか、自分のやったことが違法だという認識なかったんでしょうね。しかし、裁判まで行っちゃうとはね。上場企業の元最高幹部が、競合他社の営業秘密を侵害したとして罪に問われるのは異例だそうです。

はま寿司は大丈夫かいな

前にも書いたけど、かっぱ寿司とこの社長がマズいのは当然なんだけど、情報を持ち出されたはま寿司のガバナンスも気になります。そもそもこの元社長、「上司への不満から転職を考えるようになった」んだそう。何が不満だったんでしょうね。はま寿司もこの辺りのことはチェックしてるでしょうか。

コンプライアンス意識の低い役員を育て、経営層組織における不満とともに社外持ち出しという不正を働いたわけで、はま寿司の経営層に相応の問題があると考えるのが普通だと思われます。

TOKAIホールディングス 交際費の不適切な使い込み 調査結果を公表

TOKAIホールディングスは12/15、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。代表取締役社長による交際費の不適切な使い込みがあったとして、特別調査委員会を設置して調査を進めてきた件です。

調査結果の概要

2016年度以降の同社長による交際費などの支出を調べ、業務との関係が疑われるものが少なくとも1千万円以上あると指摘しています。その中には、社内施設で取引先を招いた接待において、繰り返し女性出張コンパニオンを呼んで混浴を行っていたなんて話も出てきます。

この調査結果に関するメディア等の報道では、「女性出張コンパニオンと混浴」とされていますが、報告書を読むと、「女性は以下の写真の湯あみを着用した状態で、混浴を実施していた」と書かれていて、報道から感じる混浴そのものではなさそうです。ただそれでも、「混浴なんて聞いてない」といったコンパニオンとのトラブルもあったみたいですが。

社長は絶対的な存在

報告書では、社長は絶対的な存在として、「モノを言えない」風土が蔓延っていたことを問題視しています。さらに、社長格の役員の定年は「就任から6年かつ70歳」と社内規程で定めているにもかかわらず、同社長は取締役会で定年の延長を繰り返し、退任時期を自ら決定できるようになっていたということです。

どこかの国の首席みたいなもんですね。皆さんの会社ではこんなこと起きてませんか?こういうの、間違いなく末期症状です。社長職からは降りたものの現在も取締役にとどまっているこの元社長も酷いですが、それを見て見ぬふりしてきた他の取締役たちも同じくらい酷いですね。

この会社の従業員の皆さんは週明けの月曜日、どんな気持ちで出社されるんでしょう。