株式会社サンウェルズ 再発防止策・役員の処分を公表

サンウェルズは2/12、「再発防止策の策定及び関係者の処分に関するお知らせ」を公表しました。他にも決算短信やらなんやら膨大な数の開示を行っています。で、なぜか同社株はストップ高。まぁ、大きく売られてたからってのはあるだろうけど、、、よく分かりません。

再発防止策

一通り再発防止にかかる施策が並んでいるものの、ほとんどの施策が現場に対する改善策という感じです。今回の不正請求の本質は現場にあったのでしょうか?そうじゃなくて現場を追い詰め、不正を容認してきた経営陣にその責任が大きかったんじゃないかと思います。

関係者の処分

代表取締役社長 苗代 亮達 月額役員報酬の50%減額(6か月)
専務取締役 長山 知広 取締役辞任、執行役員(経営戦略本部長)へ降格
常務取締役 越野 亨 取締役辞任、執行役員(運営本部長)へ降格
常務取締役 上野 英一 役付変更、取締役へ降格 
月額役員報酬の30%減額(3か月)

処分内容をあえてそのまま載せてみました。30%減額は役員3名に課されるという理解でいいんでしょうかね。読者の皆さんはこの処分、妥当だと考えますか?

不正があった企業の処分の事例の中では、それなりの処分に見えます。が、しかし、彼らは国庫から28億円を盗んだ企業ですからね。そもそも主たる現経営陣が居残ることに大きな違和感を感じます。

株式会社サンウェルズ 老人ホームで28億円超の不正な報酬請求

株式会社サンウェルズは2/7、「特別調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」を公表しました。昨年9月に共同通信の報道で、パーキンソン病専門の有料老人ホームで、入居者への訪問について実際とは異なる記録を作り、不正に診療報酬を請求していたと報道された件に関する続報になります。

おさらい

報道を受け当初は、共同通信が報道した不正請求に関する記事を否定するとともに、記事の内容が同社の信用を毀損しているとして、訴訟を含めて法的措置を検討している」という強気の対応でしたが、その後特別調査委員会を設置して調査を開始していました。

そして今回の調査結果の公表。なんと、「ほぼ全てのホームで入居者への訪問看護を巡る診療報酬の不正請求(訪問時間を実際よりも長くするなど虚偽の記録で)や、必要がないのに訪問する過剰な請求があり、試算では総額約28億4700万円に上る」という酷い結果が出てきました。

経営陣の責任

気になる経営陣の関与について調査報告書は、「現経営陣による従業員に対する指示等の積極的な関与の事実は確認されなかった」としていますが、「不正の個別事案が少数存在していることを認識していた者は居た」としています。認識していたならなぜそれを経営陣で問題視してこなかったの?って話。

積極的な関与がなくても、実態を見過ごしてきたこと自体が取締役の善管注意義務違反。取締役の責任は重いよ。再発防止策ではその責任に対する処分等が注目されます。まさに今業界全体に類似事案が拡大していってるさなかだけに、世間は許さないでしょう。2/10の同社株はストップ安となっています。

ラックランド コンプラ強化で振替休日の買取制度と永年勤続退職金を廃止?

ラックランドは2/7、「2024年12月期における費用の一括計上と通期連結業績予想及び期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」を公表しました。創業家出身で大株主でもある二代目前社長の不正な経費精算や売掛金の不正な回収などで激震が走ったラックランドのその後です。

開示内容

この開示で公表したのは、当期における一過性の費用の一括計上と、それに伴う連結業績予想の修正及び期末配当予想の修正(無配)についてです。まぁ、タイトル通りだけど。新経営陣により、ガバナンスやコンプライアンス及びリスク管理の体制を強化するべく取り組んでいるそうな。

廃止する制度

ここまでは良しとして、気になるのは一括計上する一過性の費用なるもの。開示では、「新経営陣によりコンプライアンス強化をしているところ、当社においては以前から振替休日の買取制度が存在し、また、65歳まで勤務することを確約した一部従業員に対し、同年齢まで勤務したときに永年勤続退職金を支給する制度が存在しており、これらについて制度を改めることと致しました。」という部分。

ん?。「振替休日の買取制度」と「永年勤続退職金」の制度廃止とコンプライアンス強化ってどういう関係があるんでしょう。従業員に対する優しい制度を廃止することがコンプライアンス強化なの?二代目社長の公私混同が招いた不正行為からの・・・コンプラ強化を理由としたこの制度改悪、、、意味が分からんのですが。

ココナラ なぜ取締役は解任されたのでしょう?

先日取り上げたココナラ。1/29、「取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」を公表して以降、新たな情報は提供されていません。創業者である取締役が解任されるってのは、そうそうあることではありません。状況を整理してみましょう。

株式会社ココナラ

ココナラは、個人の知識やスキル、経験に基づくサービスを売買するスキルシェアサービス「ココナラ」を運営する企業。利用者間の取引金額に一定率を乗じた手数料が主な収益源だそう。一時期良くCM見たけど最近は見ませんね。東証グロース上場企業です。

取締役を解任

開示された解任の理由は、「役員規程及びコンプライアンス規程違反の事実が認められた」というもの。「取締役に対しては高い規範意識が求められること等を鑑みて、会社として厳格な対応を取るべきと判断した」としていました。詳細は全く不明です。

解任された取締役はココナラの創業者。2020年までは代表取締役社長でした。その後新社長に代わり平取締役へ。それでも本の執筆や講演会の講師を務めたりと活躍されていました。

セクハラ パワハラ

開示では同時に、「重大な法令違反及び当社の業績に影響する事実はない」としていることから、内部情報等の悪用や、私的流用、会計操作といった行為はなかったものと考えられます。と、考えていくと残るのはセクハラ、パワハラですかね。

SNSで講演会の講師の依頼者について、やや辛辣な表現で批判されてたのを見ましたが、こういった対応が問題視された(これは氷山の一角?)のか。さらに、創業者だけに現経営陣によるクーデターの線も捨てきれませんね。

日本ビジネスシステムズ ココナラ 取締役への辞任勧告

少し前になりますが、日本ビジネスシステムズは1/28、「取締役1名に対する辞任勧告の決議および取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」を公表しました。また、株式会社ココナラは1/29、「取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」を公表しています。

日本ビジネスシステムズ

日本ビジネスシステムズでは、取締役専務執行役員が取締役会の辞任勧告を受け辞任しました。取引先社員に対する不適切な言動があった旨の通報を受け、調査委員会による調査の結果、取引先社員に対して誹謗中傷行為がなされたことが確認されたためと説明されています。

ココナラ

ココナラでも取締役に辞任勧告し、辞任へ。「役員規程及びコンプライアンス規程違反の事実が認められた」としか説明されていませんが、同社は開示のコメントで、「取締役に対しては高い規範意識が求められること等を鑑みて、会社として厳格な対応を取るべきと判断した」としています。

中居&フジテレビに学んだ?

両社とも取締役が行った不適切な行為について詳細を公表していませんが、かなり迅速な対応をとっているように見えますね。不祥事が発生した際の初動を間違えるとどうなるか、ってことを中居&フジテレビの件でしっかり学んだということでしょうか。

ただ、取締役としての不適切な行為、だけで済ますのはいかがなものかと。どういう行為だったのか、被害にあわれた方へのケア、については詳細に説明しておくべきでしょう。クビにしてお終いではなくてね。