公正取引委員会 かどや製油に約2000万円の課徴金納付命令

加工食品用ごま油などの販売価格でカルテルを結んだとして、公正取引委員会はごま油製造大手のかどや製油に独占禁止法違反(不当な取引制限)として約2000万円の課徴金納付命令を出す方針を固めたということです。

かどや製油

かどや製油はごま油のトップメーカー。ほかにも、子会社が食品ごまを手掛けています。主力のごま油は、家庭用、業務用途のほかアメリカなど海外にも輸出しています。東証スタンダード上場企業で、設立は1957年となっていますが、創業は江戸時代で今年で163年を迎えるんだそう。

カルテル

昨年から立ち入り検査を受けていたのは、業界トップのかどや製油、竹本油脂、日清オイリオグループと九鬼産業でしたが、日清オイリオと九鬼産業はカルテルには関与なしとの判定。竹本油脂は関与していたけど、調査開始前に自主申告したようで、課徴金減免(リーニエンシー)制度が適用されています。

よって、竹本油脂は再発防止を求める排除措置命令のみ受け、残ったかどや製油は同命令を受け、さらに約2000万円の課徴金納付命令も受けることになったようです。

※ 「カルテル」とは、競争を回避するために本来事業者が自主的に決めるべき、商品やサービス等に関する価格、販売数量、取引先を、複数の事業者が共同で決める行為。不当な取引制限として独占禁止法で禁止されています。コメを筆頭に物価高が続いていますが、こうした行為によって物価が吊り上げられているという一面もありそうですね。公取委頑張れ!

長谷工コーポレーションなど 公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査

報道によると、関東地方のマンションの大規模修繕工事で受注調整していた疑いが強まったとして、公正取引委員会は3/4、長谷工コーポレーション傘下の長谷工リフォームなど、工事会社約20社に独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査したとのこと。

事案の概要

立ち入り検査したのは、長谷工リフォーム、YKK APラクシー、シンヨー、中村塗装店、建設塗装工業、リノ・ハピア、日装・ツツミワークス、大和、富士防、、、といった面々。上場企業系は長谷工のみでした。

各社は関東地方のマンション管理組合が管理会社などを通して発注した大規模修繕工事の見積もり合わせや入札で、事前に受注者を決定するなどしていた疑いがあるとのこと。数十年前から受注調整が行われていた可能性があるといいます。その後の開示によると、長谷工のほか日本特殊塗料の子会社ニットクメンテが調査を受けているようです。

これまでも、委託先の管理会社が自社の関連企業などに工事を発注したり、バックマージンを支払う業者に受注させたりして工事費が割高になる懸念などが指摘されてきたけど、そもそもこんなド直球の悪さしていたとはね。

コンサル会社も? さらに、上記の工事会社のみならず、工事会社の選定にかかわった一部の建設コンサルタント会社についても、公取委は受注調整を補助する役割を担っていた可能性を視野に調査を進めているんだそう。コンサルについては今のところ社名等は聞こえてきていません。なお、今回の報道はあくまで関東地方だけのお話。全国に拡大するといったいどうなることやら。

日本郵便、配送委託先に不当違約金 タバコ臭クレーム1件1万円

少し前の話になるんですが、日本経済新聞が1/7、「日本郵便、配送委託先に不当違約金 公取委が行政指導」と報じていました。関東地方の郵便局が荷物の配送を委託する下請け会社に十分な説明なく「違約金」を課していたとして、下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)で行政指導していたということです。

配達委託

問題視されたのは郵便局と「ゆうパック」の配送を委託している運送会社との契約。誤配やクレームがあった際、理由を十分に説明せず複数の委託先から違約金を徴収していたケースが確認されたといいます。日本郵便は内規で違約金の目安額を定めていますが、実際の運用は郵便局ごとに異なっていたとのこと。ここが問題だと。

タバコ臭クレーム1件1万円

まぁまぁ、そういうことなら改めるべきですね。って話なんだけど、その目安額ってのが、「誤配達1件5千円」、「タバコ臭クレーム1件1万円」なんだそう。誤配達に関しては異論ないけど、タバコ臭クレームで1万円ってどうよ。こんなん言ってたら、「体臭」やら「ニンニク臭」やらも対象なの?

最近ではスメハラ(スメルハラスメント)なんて言葉も聞くには聞くけど、配達員さんたまらんねぇ。顧客によって感じ方様々だろうし、違約金じゃなくて指導のレベルでいいんじゃないの。世の中の常識はどうなんでしょう。kuniが喫煙者(加熱式タバコね)だからそう感じるんですかね。

公正取引委員会 下請法違反の摘発に力を入れているわけ

先日も取り上げたように、公正取引委員会による下請法違反としての勧告が増加しています。昨年からだけでも12の企業が勧告を受けているという状況。ではなぜ公取委が下請法違反を重視してきているのか、、、という考察です。

下請け企業の現状

下請け企業は中小企業であることが多いですよね。中小企業は現在、「賃上げ」や「金利上昇による債務負担」、「価格転嫁」という“三重苦”の状況だと言われています。賃上げしないと人が獲れない → 賃上げするためには納品先に商品の価格引き上げを認めてもらわないと無理。という構図があります。

大企業は為替の円安などで潤っているのに、中小企業では人件費は上るし、原材料費も上るけど、納品先(大企業)に値上げを認めてもらえない。ほかにも理不尽に金型の保管などを強いられていて、不要なコストを負担せざるを得ない。みたいなことが起きているわけですね。

要するに下請法違反に取り組む公取委としては、大企業が下請け先に不当な条件を押し付けている状況を解消しないと、中小企業が今後生き残れないという現実を解消しようとしているということなんですね。

大企業では新卒初任給を〇%引き上げ、みたいな景気のいい話が連日報道されていますが、下請け企業への対応・ガバナンスは大丈夫ですか?が問われているということです。

東京ラヂエーター製造 下請法違反で公正取引委員会が勧告

公正取引委員会は1/23、「東京ラヂエーター製造株式会社に対する勧告について」を公表しました。下請け企業に金型を無償で保管させていたのは下請法違反にあたるとして、熱交換器部品大手の東京ラヂエーター製造に再発防止と保管費用の支払いを勧告しました。

東京ラヂエーター製造

東京ラヂエーター製造は、トラック向けを中心とした自動車および産業・建設機械用熱交換器の専門メーカー。ラジエータなどの熱交換器を主力に、車体部品を手掛けています。いすゞ自動車向け売上が5割弱を占める東証スタンダード上場企業です。

違反の概要

同社は遅くとも2022年12月以降、長期間発注の見込みがないにもかかわらず、下請け企業30社に対し、計2389個の金型を無償で保管させていました。再発防止と保管費用の支払いを勧告されましたが、同日同社としても、「公正取引委員会からの勧告について」を公表し、全30社の対象事業者への支払いに合意しているとしています。

最近多いですよね、下請け法違反。昨年からだけでも12の企業が勧告を受けています。そのうち同社をはじめ電気興業や住友重機械ハイマテックス、SANEI、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントの5社が、「金型を無償で保管させる」行為を問われました。

皆さんの会社は大丈夫ですか?事業者側が自発的に申し出た場合、一定の要件はあるものの、勧告の対象から外してくれますよ。