東亜建設工業 子会社信幸建設で組織的な不正行為

東亜建設工業は11/10、「社内調査委員会の中間報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。中間報告書というタイトルになっていますが、調査は概ね終了しており、これに再発防止策の提言の詳細が加わって最終報告に。つまり実質的な調査結果となっています。

不正の状況

2016年度から2023年度までの期間において判明した不正金額の合計額は 785百万円に及んだということです。子会社信幸建設で行われてきたこの不正は、①架空・水増し工事代金の支払及びキックバック、②領収書精算及び水増し代金の支払、③資金プール及び補填、といった類型に整理されます。

不正に関与した従業員は9名。取締役支社長に始まり、部長クラス2名、残りも課長や所長クラスです。一方、不正に関与した取引業者も10社に及んでいます。水増し工事代金の金額は合計で約7億9千万円、キックバックされた金額は合計で約4億2千万円だそうです。

不正を行った者の階層にしても、キックバックされた金額にしてもですが、かなり驚きの結果となりました。不正を主導した支社長はなんと、1億円程度のキックバックを得てます。その他の人物も含めて、まぁ、これ定番ですが、受け取ったキックバックはギャンブルや飲食・交遊費に費消したそうな。

親会社も

こんなふうに、完全に腐ってしまっていた子会社なわけです。ここまでズタボロなため、再発防止策の提言についてはより慎重に、時間をかけようということなんでしょうね。子会社のみならず、東亜建設工業の子会社管理についてもしっかりメスを入れないと。

株式会社アマナ(amana) 第三者割当増資の実施後に

株式会社アマナは10/26、「第三者割当等・・・の実施」(タイトル長すぎなのでここでは割愛)を公表しました。度重なる不正・不祥事で業績を悪化させ、完全に信頼を失ってしまった同社ですが、とうとうその最終章が始まりました。

公表されたのは

長くなるので思いっきり端折ります。この日公表されたのは、Infinity brand capital を割当先とする第三者割当増資の実施。自社の株主を割当先のみとするため増資の実施後に株式併合を行うとしています。で、一般株主が保有する株式は1株22円でスクイーズアウト(強制買い取り)するということです。

公表日の同社株終値は307円。10月はだいたい300円を挟んで小動きでした。上記の公表を受け、同社株は急落し、10/27には227円のストップ安、10/30もストップ安で147円。日中はまったく値段が付きません。公表までに売った株主は100株で約3万円を手にしましたが、このままいくと100株が2千2百円になってしまいます。

まぁ、破綻した企業の最後ってこんなもんだし、今もこの株に投資している人はそれくらいのリスクは承知の上(その分低位にある株価は乱高下するので儲けやすかったりもします)。ってことかもしれませんが、しかし、酷い話ですね。

当ブログでは同社も含め、こういった不正や不祥事を取り上げていますが、お読みいただいた方は是非こういう企業の最期に付き合わされることのないよう、、、お願いします。

修理塗装で誤請求 札幌トヨペットで1400件確認

日本経済新聞は10/20、「札幌トヨペットで1,400件の誤請求 修理塗装で」 と報じました。高機能の作業で依頼を受け、高機能の塗装として代金を請求していたにも関わらず、通常の作業をしていた事例が1,417件見つかったということです。

不正の概要

傷への耐性または修復性に優れた機能を持つクリア塗装で請求していたにもかかわらず、通常仕様のクリアを2021年4月以降1,417 件(自社 812 台・グループ会社 605 台)の車に間違って施工していたといいます。判明した車についてはクリア塗装に無償で再施工するとしています。

発生した原因としてあげられているのが、「社内における作業伝達の仕組みに不足があった」、「作業内容を把握する仕組みも不足していたた」という理由。苦しいねぇこの原因。こんなんで1,417件も発生しますかね。対象店舗は30店舗を超えてますよ。

誤って なのか

タイトルでは同社公表の通り、「誤請求」と書きましたが、問題はこれが本当に誤ってそうなってしまったのかどうかという点。ビッグモーターのように収益のために故意に行ってきたのかどうかというところです。昨年以降、ネッツトヨタ茨城、トヨタカローラ静岡、沖縄トヨタ自動車でも同様の不正が発覚してますし、10/25には大阪トヨタでも過大請求が見つかってます。

例によって大広告主のトヨタですから、メディアはこれ以上調べないでしょうが。

損保ジャパンはなぜ ビッグモーターとの取引を再開したのか

日本経済新聞は10/10、「損保ジャパン、取引再開30分で決定 社外調査委が糾弾」と報じました。ビッグモーターがかなりヤバいことやってそうだぞ、っていう状況が伝わってくる中、社長の鶴の一声でそれまでの議論がひっくり返り、わずか30分で取引再開となったということです。

役員ミーティング

取引再開が決定されたのは7/6の役員ミーティングだそう。事前打ち合わせではビッグモーターに対する追加の調査が不可避との認識が共有されていたそうですが、役員ミーティングでは社長の一声で取引再開が決定したということです。その間わずか30分。ビッグモーターの悪質な水増し請求の手口についての情報は、役員ミーティングの出席者の多くに事前共有されていたらしいです。

この役員ミーティングには法務やコンプライアンスなどの部門からの出席者はいなかったとのこと。そもそも役員ミーティングってなに?ってことですよね。執行側の役員だけで会社にとって重要な決議を行えるという態勢がそもそもの問題です。

これぐらいのサイズの会社であれば、こうした決定は取締役会で行われてしかりです。取締役会であれば監査等委員(または監査役など)が必ず出席しますし、監査等委員が要請して監査部長やコンプライアンス部長などを同席させることもできます。もちろん、出席したとしても機能しなかった可能性はありますが。

ブレーキを踏む者を排除し、執行側の役員だけで「役員ミーティング」なる会議を開催し、重要な決定を行えてしまう。これメチャ危うい態勢です。

北弘電社 今度は元従業員に訴えられる

北弘電社は10/10、「当社に対する訴訟の提起に関するお知らせ」を公表しました。取締役が主導する形での原価の付け替えなどの不正会計、有価証券報告書等の虚偽記載を受けた課徴金納付命令の勧告など、揉めまくった同社。詳細は過去記事をご参照ください。

訴訟の嵐

今回の開示では、元従業員から未払賃金及び遅延損害金の請求など、令和4年8月1日から令和5年4月30日までの未払法外残業代及び遅延損害金を請求する訴訟を提起されたそうです。訴訟を提起したのは今のところ1名で、請求額は263万5,210円だそうです。とうとう元従業員にまで訴えられ・・・。

いやぁ、なかなかスッキリしませんね。今年6月には、請負経費・報酬金のうち一部未払いがあるとして、横浜市の取引企業から3億3,000 万円を請求する訴訟が提起されています。

もう少し遡ると、昨年11月。元同社取締役に対して、一連の不正会計を引き起こしたことにつき、善管注意義務違反があったとして、北弘電社が4億2 万4,498円の損害賠償請求訴訟を提起しています。

債務超過

不毛な争いが続いていますが、その間に同社は前年度末に2,639 百万円の債務超過となっています。同社としては今期末の黒字転換を予想していますが、果たしてどうなるやら。そんな同社ですが、株価の方はなぜか1,300円台をキープしたまま。これって北海道スタンダードなの?