ID&E ホールディングス 子会社日本工営で不正行為

ID&E ホールディングスは12/8、「当社子会社の不適切行為に係る調査結果および再発防止等について」を公表しました。同社による開示はこれが第一報に見えるんですが、実は子会社の日本工営のホームページでは10/6に、「当社の不適切行為に関する件」というお知らせがありました。

ID&E ホールディングス

ID&E ホールディングスは建設コンサルタント大手の日本工営が単独株式移転により設立した持株会社です。日本工営は日本国内外における河川、水資源、上下水道、ダム、交通・運輸など社会インフラに関する調査や計画、工事監理などを手掛ける企業です。

不正行為の概要

日本工営は北九州国道事務所管内の渋滞対策検討業務を約1600万円で受注し、22年4月~23年5月に対策を実施しました。その後、渋滞状況を把握する際、取得データに基づく正しい計算値を使用せず、交差点に渋滞状況が発生していない結果となるよう意図的に計算値を操作し、発注者に報告していたということです。

都合の悪い情報は非上場企業のホームページでこっそり

不正行為の発生については日本工営のホームページでこっそりと。今では上場企業ではありませんので目立ちません。最近よく見られる風潮で、上場企業に求められる適時開示を見ていてもこういう不祥事は見付けられないんですよね。このやり口は非常に問題ありです。上場企業である持株会社もしっかり開示すべき。取引所はそういう指導してないんだろうか。

損保大手3社 タムロンも 業績絶好調とは

12/5付け日本経済新聞に業績好調の記事が二つ。一つは損保大手3グループで、今期過去最高益の見通し。そしてもう一つが交換レンズの大手タムロンで、今期純利益が上振れて20%の増益になる見通しなんだとか。今年、両社ともに不祥事で世間を騒がせた企業なんですけどね。

皮肉なもんで

中古車販売ビッグモーターを手下にして事故車を紹介する見返りに保険契約を伸ばしてきたり、企業向け保険で事前調整をめぐる疑惑のなか荒稼ぎしてきた損保各社が最高益。トップが中国系クラブの女性同伴で会社の金を使い込みまくっていたタムロンが大幅増益。ん~、なんとも腹落ちしない展開ですな。

こうした不祥事が発覚した企業が意外にも業績が好調ってケース、結構あるんですよね。勢いのある会社だからこそ、ちょっと勇み足。みたいなことは確かにあるかもしれません。不祥事が発覚しました、の一報があって株価が急落、その辺りが株価の最安値になったりするケース。

しかし、不信感は

しかし、今回取り上げた損保業界にしても、社長がご乱心のタムロンにしても、株主や投資家、世間からの不信感は高まっています。公表した事実以外にも似たような事案まだまだあるんじゃないかといった不信感。こういうのって、ボディブローのようにここから効いてきますよ。そうならないためにも膿はとことん出し切らないとです。

神戸製鋼所 連結子会社で検査不正? ISOが認証停止や取消し

11/28付の日本経済新聞は、「神戸製鋼系、ISO認証取り消し」とメチャ小さく報じました。開示等では見たことない情報でしたので、同社ホームページを覗いてみると、「当社子会社等におけるISO認証一時停止ならびに取消しについて」と公表されてました。

神戸製鋼所

神戸製鋼所は、鉄鉱石を原料とし、鉄鋼製品を生産する高炉メーカーで、粗鋼生産規模は国内第3位の東証プライム上場企業です。そして、品質管理に関する国際規格ISOの認証停止や取消しを受けたのが、神鋼環境ソリューションと神鋼環境メンテナンスの2社。

神鋼環境ソリューション 神鋼環境メンテナンス

両社は、水処理関連事業や廃棄物処理関連事業、上下水処理施設や廃棄物処理施設の運転・維持管理を行う子会社で、いずれも神戸製鋼所の100%子会社です。どういった製品や設備等で認証が停止され、または取り消されたのかについては、公表されていません。

しかし、もし何かあれば国民の健康に害を及ぼす可能性のありそうな業態です。なぜ詳細を公表しないんでしょう。さらに、神戸製鋼所に至ってはホームページでお知らせし、子会社のホームページに誘導するだけという対応。適時開示もされていません。

大企業ほどこうした不正等に関する開示が行われない傾向がありますが、これでいいんでしょうかね。子会社2社で何か起きてるとしたら、親会社ではどうか、他の子会社ではどうか・・・。といったことは心配にならないんでしょうか。神戸製鋼所の他人事のような対応、気になります。

ひょっとしてCB(転換社債)発行を準備中で、これが中止になったり、同社株が売られやすい場面だから、悪材料を公表するのをためらったとか?

宝塚歌劇団 今度は第三者委員会?

日本経済新聞は11/20、「宝塚歌劇団、第三者委設置へ 音楽学校生徒に聞き取りも」と報じました。あらああら、今度は第三者委員会ですかぁ。11/14に調査報告書を出していたのは外部調査委員会でしたっけ?ジャニーズ事務所の件同様迷走し始めましたね。

最初の調査委員会

被害女性が新人公演のまとめ役を担い、長時間の活動に上級生の指導・叱責が重なった結果「強い心理的負荷」がかかったと結論付けた一方、女性個人へのいじめやハラスメントは「確認できなかった」とした調査結果。弁護団はこの結果を受け入れてないようですが。

加えて、その調査委員会を運営した弁護士事務所の弁護士が、宝塚の親会社の監査等委員を務めていたとか。アホやねぇ、一番気を付けなきゃいけないところなのに。メディアに突っ込まれてから、「当該弁護士を外して調査するよう依頼した」とか言っても、もう心象悪すぎです。

第三者委員会

報道で見る限り、最初の調査委員会の結果を前提に、今後の改善対応やらを検討してもらうという位置付けみたいですね。この一連の流れを弁護団が受け入れるとも思えませんが。

特殊な業界だからといった甘えは許されません。って流れが、あらゆる業界に及び始めたということでしょう。芸能事務所、劇団、さて次はどこの業界に飛び火するんでしょう。

日本証券業協会 三木証券に過怠金8,000万円

日本証券業協会は11/15、「協会員に対する処分及び勧告について」を公表しました。処分を受けたのは三木証券。高齢者への外国株式の販売を巡り、不適切な勧誘行為や法令違反があったとして、過怠金8,000万円を課したということです。

三木証券

三木証券は上場企業ではありません。資本金は5億円、支店数は7店舗、従業員150名程度の小さな証券会社です。調べた限りではどこかの大手証券会社の系列でもなさそうです。大株主にもみずほ銀行が入っているくらいです。

30年前の営業スタイル

三木証券は80~90歳代の少なくとも顧客18人に対して、外国株取引ができるほどの認知判断能力を持ち合わせていないと認識しながら、必要な説明をせずに取引をしていたということです。顧客らは会話がかみ合わなかったり、数分前の会話を覚えていなかったりする状態だったと。

いやぁ、これ、認知症の高齢者をダマして手数料稼ぎ。相応の理解力や記憶力があったとしても、高齢者との取引で仕組み債や外国株なんて既に原則ご法度ですよ。ここまでの酷い営業させてる会社がまだあるんですね。

勧告・行政処分・過怠金

この事案、今年9月に行われた証券取引等監視委員会の同社に対する検査で見付かったもの。9/15に検査結果に基づく勧告がされ、10/6には関東財務局から行政処分を受けています。そして今回の日証協の処分(課徴金8,000万円含む)です。

中小証券の中にはまだこういうの残ってるんでしょうね。監視委員会の資料には、「代表取締役社長自らが主導して、コンプライアンス部門の人員を削減している・・・」なんて話も出てきます。