野村證券 元社員の投資詐欺に懲役6年

昨年、当ブログでも「野村證券 底なしの不祥事」の中で取り上げた投資詐欺事件。7/31、神戸地裁姫路支部で懲役6年(求刑は懲役8年)の判決が言い渡されたそうです。4人の顧客に対しうその投資話を持ちかけ、1億4000万円をだまし取ったとしています。

なぜか報道されない

このお話、実は2週間以上も知りませんでした。日本経済新聞も報道していませんし、大手新聞社もおそらく報道してないんじゃないでしょうか。野村自身でさえ、被害が広範に拡大することを恐れて、顧客向けお知らせ(注意喚起)も出していたように、この事件は要注目でした。

ある報道によると、元社員は姫路支店に勤務していたときの顧客や、元同僚の顧客など44人に架空の投資話を持ちかけていたことが伝えられています。そのうえで判決では4人としていますので、持ちかけられて実際に被害にあった顧客は4人ということでしょうか。いや、もっといるはず。

船橋支店の顧客

船橋支店の元同僚に紹介された顧客も被害者の一人のようで、数千万円を超える被害だとか。元社員が昔の顧客に持ちかけるケースは、あくまで元社員の詐欺事件であり、野村が負う社会的責任は限定的です。

しかし、現役社員である元同僚等が自身の担当する顧客を紹介したり、元同僚等が同顧客への勧誘行為に関与していたりすると、そうはいきません。さらに、そうした事実があるとすれば、どう考えても詐取したお金の一部は元同僚等へ還流しているはずです。

昨年時点で一部の週刊誌も、現役の社員が顧客を紹介したり、勧誘に関与していたことを伝えていました。元同僚等の現役社員の関与等について、今回の公判でその一部でも明らかになっているんであれば、野村は公表すべきですよね。現役社員をクビにしたのちに、元社員の犯行として公表するのではなく。

住友ゴム工業(5110) 子会社で架空取引

ゴム製品の架空取引を繰り返し、住友ゴム工業の子会社「住ゴム産業」に約9000万円の損害を与えたとして、警視庁は28日、同社元社員(50)を背任容疑で逮捕しました。架空取引は2011年ごろから50回以上、取引関係があった複数の企業を相手に繰り返されたといいます。

架空取引

平成27年、斜面の崩落防止などに使うゴム製品を宮城県の建築資材販売会社から仕入れて、都内の土木工事の設計会社に販売するという架空の取引を装って、会社におよそ9000万円の損害を与えたということです。

約10社の会社と架空の取引を行う、いわゆる循環取引を繰り返し、これまでの捜査で、平成28年までの5年間に、あわせて17億円の架空の取引が確認されているとのこと。架空取引の中で、一部をキックバックする手口で、あわせて数千万円を不正に着服した疑いがあるということです。

生活費や遊興費が欲しくて

容疑者の元社員は50歳。生活費や遊興費が欲しくて架空取引を行ったと。そして、容疑者は取引先に架空伝票を作成するように持ち掛けていたといいます。さらに、取引先には別の取引を繰り返すなどして利益が出るように仕向けていたようです。このあと、他の取引先でもこの架空取引を通じた損害が表面化してくるんでしょうね。

しかし、最近多いですよね。架空発注、架空取引、循環取引。当ブログで取り上げたものだけでも10社は軽く超えているのではないかと思います。

こうした不正、数年間に及ぶことも少なくありません。企業としてのガバナンスが効いてなかったために発生してしまったのは事実なんですが、一方でようやくガバナンスが効くようになってきたからこそ、実態が把握されるようになってきたという面もありそうです。

東レ子会社 水道機工 第三者委員会はその後

東レの子会社である水道機工と水機テクノスで、実務経験を偽って国家資格である土木施工管理技士を不正に取得していた件。3/27に第三者委員会設置のお知らせがあってから既に4カ月以上が経過しました。その後どうなったんでしょうね。

委員の追加選任

第三者委員会はちゃんと機能しているんでしょうか。まぁ、新型コロナウイルスの感染拡大という影響はあるんでしょうが、5/14になって委員を2名追加するお知らせが出てます。二人とも弁護士先生ですね。

しかし、このタイミングで追加とは???会社は「より機動的な調査体制の強化を図るため」としていますが、、、。本来なら調査結果が出ていてもおかしくないタイミングです。

この5月のお知らせの中で、「第三者委員会による本件調査は、本日(5/14)から約2か月半を目途に延長します。」としていました。ということで、既に8月に入りましたから、2か月半が経過したことになります。そろそろ調査結果出てきますかね。

経営の関与

同社の実務経験虚偽については、何といってもどこまで会社が、というか経営が関与していたのかというところが注目されます。「経験がない方でもやり方次第」などと書かれた社内の試験マニュアルの存在も報道されていますし、経営のどの辺りまで巻き込むのか、、、その落としどころでもめているのかな。

などと、ついつい考えてしまいます。5/27に取締役(監査等委員)がお一人辞任されてます。一身上の都合により、ということになってますが、場合によってはこの方も責任問われる立場ですしね。この辞任もちょっと気になります。

それにしても、朝日にスクープされて初めて開示。第三者委員会を設置したものの、委員の追加や調査期間の延長など、、、何もかも後手後手って感じです。おそらく今週中には何かしら開示しないとね。コロナのせいにしてまた延長とか?

レオパレス21 (8848)追報

レオパレス21が一段とヤバイことになってきました。株価の方は6月下旬に大きく売られ、260円台から一気に160円台まで下落しました。大量保有報告で、旧村上ファンド系の投資会社、レノの保有割合が低下している、なんてのがあり、これが材料視されたようです。

株価は企業の将来を映す鏡

「株価は企業の将来を映す鏡」などと言います。このところの同社の急落はかなりいやらしい下げ方でした。今年3月まで83%台まで改善していた入居率でしたが、4月以降は一転して悪化し始めます。ここからはコロナの影響ですね。6月は79.43%まで低下しています。

7/2にレノの保有割合低下の報を受けて、ダメ押しした後は小康状態ですが、戻りは鈍いです。800億円の純資産がほぼ吹き飛んでしまい、1000人の希望退職者を募るとか、家賃の1000円値上げという話題も、、、。そろそろ自分たちでできることがなくなってきています。

先月も書いたように、もうおそらくここからは銀行次第という面が強くなってきます。銀行が救済するかどうかという意味では、レノのような投資会社が引いていくのは好都合かもしれません。

しかし、今後この銘柄はどんどん投機筋の対象になっていきますので、値動きが激しくなっていくと思われます。値動きの良さで投機家は集まりますが、ある日突然ニュースが出て倒産なんてことがあり得ます。株式投資初心者さんは決してこうい銘柄に手を出さないようにしましょう。

当ブログで取り上げているのは、ガバナンスやコンプライアンスの問題ある企業として取り上げているだけですからね。

りらいあコミュニケーションズ (その2)

鹿児島センターにおいて不適切な電話勧誘や、録音の改ざん・捏造が行われていたことに関する調査の結果を公表した、りらいあコミュニケーションズ。その際告知していた諮問委員会を設置したことを7/7公表しました。

諮問委員会

まぁ、第三者委員会みたいなものですね。諮問委員会という名称に何かこだわりがあったんでしょうか。設置の目的として、「同種事案の再発防止、早期発見・対処のための方策を検討すると共に、全社的なコンプライアンス向上を目的として・・・」などと書かれています。

委員長は外部の弁護士、委員は外部の公認会計士と同社の独立社外取締役という構成で、同社の取締役2名と常勤監査役がオブザーバとなっています。今後1カ月程度で全体的な方針を取締役会に答申。その後は具体的な施策の実施状況をモニタリングしていくそうです。

あらためてこの会社

今回の不祥事への対応はしっかりやってもらうとして、あらためてこの会社の中身を見てみると、ウィズコロナにおいても伸びる会社かもしれませんね。バックオフィス事業のようなアウトソーシング事業もこれから伸びそうです。

会社の沿革読んでて初めて気が付きましたが、この会社、社名変更する前は「もしもしホットライン」だったんですね。kuniの会社も昔利用してました。将来性がありそうな事業だけに、ガバナンスやコンプライアンスしっかり固めないと、です。

昨年2月に発覚した不適切な会計処理(原価の付け替え)についても、改善に向けた取組み中だったはず。そんな中で発生した「不適切な電話勧誘や、録音の改ざん・捏造」だということも重く受け止める必要があります。

諮問委員会の設置目的に、「同種事案の再発防止、早期発見・対処」とあるように、もうこれ以外に不適切な事案がないことの証明が最重要課題です。内部管理態勢がしっかり整えば、同社株はかなり割安と言えると思います。