ユニバーサルエンターテインメント 元会長の控訴棄却

9/17付けで、ユニバーサルエンターテインメント(以下、ユニバ社)は、同社の創業者である元会長の岡田氏による控訴が、東京高等裁判所にて棄却されたことを公表しました。2017年6月に経営陣と自身の息子らにより突然会長の座を下ろされた方ですね。

昔のアルゼ

この会社も2009年に社名変更してユニバ社となっていますが、それ以前はアルゼという商号でした。アルゼなら知ってます。パチンコやパチスロなどの遊技機を作る会社ですね。他にもフィリピンで統合型リゾート(IR)事業も手掛けており、OKADA MANILAという施設が2016年末に開業しています。

特別調査委員会を設置

2017年6月に特別調査委員会を設置し、元会長の岡田氏が行ってきた不正行為の調査を開始。その結果3件の不正が報告されています。いずれもユニバ社の海外の連結子会社の資金を不正に流用したというもの。

しかし、実際には最終的に調査結果報告書を受領する前の同年6/29、定時株主総会で取締役としての再任はされず、会社を追われてしまってますね。妻と長男、長女が経営陣と手を組み、この解任劇を起こしています(後に長女は岡田氏と和解しているようですが)。

3件の不正は20億円強という金額ですが、長者番付にも載り、「カジノ王」とも呼ばれるような人がなんでこんな金額で不正を、、、って感じです。

控訴棄却

岡田氏に対する責任追及は、2017年11月のユニバ社による損害賠償請求と、同年12月の同社子会社 Tiger Resort Asia Limited による損害賠償請求(香港特別行政区高等法院)の2本で争っており、今回の判決は前者のものです。

資金の不正流用に関する訴訟は香港の方で争っていて、今回の訴訟は特別調査委員会の調査費用相当額の請求ですね。岡田氏が同社に2129万円を支払うよう命じた判決(今年2月)を不服とした控訴の結果でした。やっぱり調査委員会の設置ってこれくらい掛かるんですね。

レオパレス21 決算発表再延期で株価が

レオパレス21は9日、2020年4~6月期の決算発表を再延期すると発表しました。従来の予定日は9月11日でしたが、9月末までに発表する予定という変更。同社は施工不良問題による業績悪化を受けて希望退職者を募り、8月末に約1000人が退職しています。

日向に氷の入居率

同日発表した8月の賃貸物件の入居率は78.18%と過去最低の水準となっています。入居率は低下が続いていて、アパートオーナーに支払う賃料が入居者からの家賃を上回る「逆ざや」の水準にあるといわれています。

これに先立ち、8月31日付けで、同社に所属する一級建築士1名と元社員の一級建築士2名が、施工不備問題に関連して建築士法第10条の規定に基づき、国土交通省より行政処分(免許取消)を受けています。このところ悪いニュースばかりですね。

希望退職者の募集

35歳以上の社員につき、約1000名の希望退職者を募集していましたが、応募人数は1067名。希望退職者募集に伴い、第1四半期において約25億円の特別損失を計上しました。1067名の人件費削減が業績にどの程度影響してくるでしょう。

希望退職者の募集は人件費削減という効果を上げる前に、決算業務に従事する従業員が想定以上に退職したことによって、決算プロセスに更なる時間を要するという負の効果となって表れてます。で、決算発表の再延期なんですね。踏んだり蹴ったりです。

株価はというと

決算発表の再延期という開示を受け、9/10は前日比10円(5.7%)安の166円まで下落。翌11日も続落し、162円に。8/3に付けた最安値149円をうかがう展開になっています。

希望退職者の募集、第2弾がありますかね。kuniの居た証券界でも何度も続きましたからね。従業員の皆さんはどう感じてるでしょう。悲惨な状況、、、「去るも地獄残るも地獄」ってやつです。

野村證券 顧客情報 日本インスティテューショナル証券に漏洩

元社員が投資詐欺を働き、現社員に顧客を紹介させていた事件があったばかりの野村證券。ほぼ同じような構図で今度は法人顧客275社の情報を漏洩させました。野村證券から日本インスティテューショナル証券に転職した社員が、元部下だった現野村社員に働きかけ不正に情報を入手していたということです。

両社の開示

野村のプレスリリースによると、漏洩した情報はETF等の取引内容や、同社とのやり取りに関する情報の一部など、金融機関を中心とした275社の法人のお客様の情報、、、だそうです。

日本インスティテューショナル証券のプレスリリースによると、昨年10月に同社に入社した営業部長が、前勤務先である野村證券の社員に働きかけ、今年1月から7月までの間に複数回にわたり、野村証券の顧客情報を入手した、、、としています。

また、この顧客情報については、当該営業部長が同社営業部の部下2名に開示したことが判明しているが、この3名を除く第三者に顧客情報が流出した事実はないとしています。ホント?

日本インスティテューショナル証券

この会社、日興アセットマネジメントの子会社として2018年に設立されてます。第一種金融商品取引業の登録になってますね。日本証券業協会に提出された2020年3月期の事業報告書(当期の業務概要)には以下のようなことが書かれていました。

「営業専担者3名により往訪、架電等、親会社の日興アセットマネジメント株式会社の機関投資家事業本部との連携による積極的な営業活動を展開しております。」

役員及び使用人の状況を読むと、外務員は3人となっていますから、営業専担者3名と一致します。そして今回、顧客情報を不正に入手し共有したのもこの3人。この営業部が野村の顧客情報に基づき、積極的に営業活動していたわけです。

連携していた日興アセットマネジメントには、顧客情報が共有されていたと考えるのが普通だと思いますが、、、。

りらいあコミュニケーションズ(その3)東京電力エナジーパートナーに業務改善勧告

東京電力エナジーパートナーは9日、営業委託先である、りらいあコミュニケーションズが不適切な勧誘行為をしたとして、経済産業相直属の電力・ガス取引監視等委員会から業務改善勧告を受けたことを公表しました。同社が業務改善勧告を受けたのは18年10月以来、4度目だそうです。

不適切な勧誘行為

電力・ガス取引監視等委員会、なんてのがあるんですね。kuniは証券出身でしたので、証券取引等監視委員会にはいろいろとお世話になりましたが。ビミョーに「等」の位置が違います。

りらいあコミュニケーションズに委託していた業務は、東京電力から他社へ乗り換えた顧客を対象に、再度東京電力に切り替えてもらうための勧誘業務でした。この電話勧誘業務は成約数に応じて業務料が支払われる契約形態です。

この電話勧誘が高齢者等を相手にかなり強引に行われており、さらにその証拠となる通話録音が改ざん・捏造までされていたという事件でした。

改善勧告の内容は、「法令違反の原因となり得る事象を早期に把握、是正する仕組みの構築」、「需要家に対する説明方法の改善」、「業務委託先に対する監督方法の抜本的な改善」等必要な措置を講ずるとともに、同社および業務委託先の役員および従業員に周知徹底を図ること、だそうです。

成約数に応じて業務料を支払うという契約形態は即、見直す必要がありますね。

りらいあコミュニケーションズのその後

事件発覚後、7/7には諮問委員会を設置し、8/7には役員報酬の一部自主返上を公表。同日諮問委員会の検証・分析結果等も公表されています。この「諮問委員会の活動記録」はなかなか良いことが書かれてます。中でも共感できたのが次の一節でした。

「お仕着せの再発防止策をこなしていくだけでは何も変わらないので、諮問委員会は再発防止策をお膳立てすることはしない。経営陣が内省を深め、本音をぶつけ合って徹底的に議論する中で、「新生りらいあ」のビジョンを明確に描き出し、そこに至る道のりを全社員に指し示して牽引していくプロセスこそが、再生への第一歩である。」

いちよし証券 元支店長が詐欺容疑で逮捕

また証券会社の不祥事です。いちよし証券の唐津支店の元支店長が架空の投資話で1000万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で大阪府警に逮捕されました。元支店長はギャンブルなどで借金を抱え、集めた金をその返済に充てていたということです。

2017年4月に唐津支店長

この容疑者、2017年4月1日付で唐津支店長になってますね。2019年4月1日付けで別の方が唐津支店長になっているので、この時点で支店長を外されたんでしょうか。しかしまぁ、支店長にまでなった人が詐欺ですかぁ。もちろん本人が悪いんですが、同社の人事も問題ですね。

日経では、「唐津支店の70代男性に架空の投資話を持ちかけ1000万円を詐取した疑い」、とだけ伝えていました。が、いちよしの開示資料によると、同社が調査した結果として、被害にあった顧客の被害額合計は7186万円に及んでいます(同社が顧客に弁償済みとのこと)。

被害にあった顧客数は公表されていませんが、2008年6月~2019年9月にかけて勤務した5支店で詐欺を繰り返していたようです。犯行期間がかなり長いので、当然過去に詐取した顧客には別の顧客から詐取したお金で返済等して発覚しないようにしていると思われます。実際に顧客から引き出した金額はもっとデカいはずですね。

動機の定番 ギャンブル

開示資料では、「自身の借入金の返済や生活費、遊興費等に充てていた」とされています。金融機関の営業員が顧客の金に手を付ける際の動機。圧倒的に多いのがギャンブルですね。あとギャンブルに並ぶのが風俗系の遊興費でしょうか。あくまでkuniの経験ですが。

2019年4月に支店長を外れ、犯行期間が9月まで。事件発覚が9月ということはどこか他へ異動してたんでしょうか。なにか顧客トラブルが起きて本社召還、これがきっかけになって事件が発覚したみたいな流れかな。