小倉クラッチ(6408) 特別調査委員会を設置

JASDAQ上場の小倉クラッチは10/5、特別調査委員会を設置したことを公表しました。同社の子会社で不適切な会計処理が行われていたこと、また別の子会社では元従業員による横領の可能性が出てきたため、これらの全容解明のため同委員会を設置したとしています。

ORC(Ogura Racing Clutch)

小倉クラッチ株式会社は、群馬県桐生市に本社を置く、クラッチ/ブレーキの会社です。マニュアル車でよく聞いたクラッチ、半クラとかっていうあれです。モータースポーツ好きの方ならブランド名ORCでよくご存じだと思います。レース用強化クラッチやら、スーパーチャージャーとかも作ってますね。

多種多様な製品を提供しているようで、カーエアコン用クラッチや、オフィスで使用するプリンターや複合機(コピー機)の中で使われるマイクロ電磁クラッチなども作っています。他にも高圧クーラントやオイルミスト除去装置なども(これらはkuniには説明できません)。

棚卸資産の過大計上・横領

そんな小倉クラッチが今回公表したのは、在外子会社2社(開示情報ではこう表現されています)において、約780百万円、棚卸資産を過大計上していた可能性があるということです。また、この2社とは別の在外子会社では、元従業員による横領の可能性が判明したとのこと。

横領に関しては「現在、事実関係の把握を行っている段階」としていますが、元従業員といってますから既に解雇されていて、横領の事実までは把握済みと思われます。ただし、横領金額については触れられていません。

棚卸資産の過大計上は、企業の粉飾決算の典型的な手法です。期末の棚卸資産を過大に計上することで、売上原価を抑え、利益を大きく見せることができます。現時点で分かっているのはこの辺りまで。また調査結果が出てきましたら取り上げます。

Nuts 外部調査委員会の調査報告書

先日、破産手続開始の申立て及び破産手続開始決定を公表したNuts。9/28、やっと外部調査委員会の調査結果報告書が開示されました。今さら、、、ではありますが、事実は知っておきたいですよね。おおよそ予想されていたような結果なんだけど。

「偽計」又は「風説の流布」に当たる

委員会の出した結論は、問題となったIRの開示は、有価証券の取引等のため、又は相場の変動を図る目的をもって、他人に誤解を生じさせる不公正な策略や手段を弄したものと評価でき、金商法第158条の「偽計」又は「風説の流布」に当たる疑いがあるものと認めた、です。

破産手続きの申し立てを行った森田氏(元代表取締役)ですが、この人が主犯です。「当時公表した業績予想は客観的事実に反し、合理的な根拠に基づいていない」、とバッサリ。さらに別の大株主から借りた同社株式を、IR後に急騰した株価で売却して現金化していることなども示されています。

余談ですが、森田氏に相場の変動を図る目的があるとして、Nuts株式を売却している旨を書いてる部分(P18)、2ヶ所の記述(売却した数量)が間違っています。正式な調査報告書ですから、修正された方が、、、。他にも誤字脱字がいくつか。。。

会員制医療施設に関する売上

この会員権を78口販売したとして、売上げに計上していましたが、そのうち74口の販売は架空取引と認定。他社から調達した資金を会員権代金と称して外部から入金するなどして、売上げ入金の偽装を繰り返していたようです。で8億円が消えてしまったと。。。

会計監査法人まで

森田氏は、Nutsの会計監査法人である監査法人元和の統括代表社員公認会計士も抱き込んでいたと思われる、と推測する記述もちょっとだけありました。それ以上突っ込んだ記載にはなっていませんが。一部にラスベガスのカジノ旅行に接待されていたなんて話も聞いた記憶が。。。

ダイワボウホールディングス 特別調査委員会設置

ダイワボウホールディングスは、同社の連結子会社である旧ダイワボウノイ株式会社(今年4月大和紡績に吸収合併)において、不適切な取引が行われていたことが判明したと公表しました。特別調査委員会を設置し、取引内容の精査や原因究明を行うとしています。

ダイワボウノイ

ダイワボウノイは、今年4月に中間持株会社の大和紡績に吸収合併された会社で、繊維製品の製造・販売をしていた会社です。今でもAmazonとかで同社が製造したマスクや防ダニ敷ふとんなんかが出てきます。

不適切な取引は9月上旬に、その大和紡績において売掛金の回収遅延の発生が発端となり、発覚したとのこと。同社従業員が、同社の営業担当であった2014年1月から循環取引等を行い、不適切な売上および利益を計上していたということです。

これまた長いですねぇ。6年間以上続けていたということですか。これまでの社内調査により判明した現時点における不適切な取引による業績に及ぼす影響額は、損失見込額として累計約19億円だそうです。損失見込額が19億円というのは何を指しているんでしょう。

回収困難になった売掛金が19億円なのか、、、過去に計上してきた利益のことを指しているのかよく分かりません。調査委員会の報告を待ちましょう。

ダイワボウ情報システム

ダイワボウホールディングスといえば、今年2月に世間を騒がせたネットワンシステムズ等が行った架空循環取引においても、同社IT機器販売子会社のダイワボウ情報システムが関与していました。売上高で約7億円の架空取引が判明したというやつです。

あの件ではネットワンシステムズが主導したということで、その他の企業は被害者のごとくスルーしておしまいでしたが、、、今回のダイワボウノイはどうなんでしょうね。あの件とも関係あったりする?

カンダホールディングス 子会社役員による横領

この事件に関する社内調査委員会の設置、実は8/21に開示されていたんですが、ノーマークでした。カンダホールディングス自体が東証2部上場で、その子会社での事件ということで、取り上げていなかったんですが、、、。9/29、調査結果報告書受領の開示が。

舞台は連結子会社レキスト

カンダホールディングスは総合物流企業です。その子会社のレキスト。一般貨物自動車運送事業の会社です。犯人はこのレキスト社設立以来、27年間にわたり、経理財務の職務を一人で担当してきた人物。

最終的には取締役管理本部長という肩書ですね。経理財務の担当責任者としての地位を利用して、毎月の人件費(給与)を水増しし、自己名義の複数の銀行口座に金銭を振り分けて振り込み、着服していたとのこと。

犯行の期間はなんと2000年4月~2020年3月までの20年間だそうです。さらにその間に不正に領得した金額の合計は719,212,273円。7億円ですよ、7億円。金の使い道は、定番の遊興費、投資資金およびその損失の穴埋めだそうで、被害額の回収可能性は極めて低そうです。

発生原因

これも分かりやすく、27年も同じ人物に重要業務を任せていたこと。会計データと銀行振り込みデータの照合(事後チェック)も同一人物。グループ各社に統一の給与システムを導入しようとしたが、この人物の反対で導入しなかった。などがあげられています。

統一給与システムの導入に際し、この人物が事務効率の低下を主張し、強硬に反対したため、給与システムのデータが他のシステムに連動せず、犯人によるデータの修正が可能な環境を残した格好になっています。

犯人が不正を働くための「機会」を提供、継続しただけでなく、この時点で親会社が子会社の不正を発見できる「機会」も失っているということですね。

水道機工 第三者委員会による調査報告書受領(その2)

同社では、元取締役監査等委員による不適切な指導が行われ、国家資格取得のため、虚偽の実務経験を申告させてきました。とにかく数多くの不適切な受験指導、受験対策が行われているんですが、多すぎてここでは書ききれません。是非一度報告書をお読みください。

気になること①

今回報告書を読んで、気になることが2点ありました。一つは不正な指導を続けてきた元取締役監査等委員のこと。調査報告書では他の登場人物と同様に、A氏と表されているんですが、「第三者委員会による調査報告書受領に関するお知らせ」では、実名でさらされています。

確かに主犯であることは間違いないところですが、なにやら「この人にすべての責任背負わせて、、、」って雰囲気を感じさせます。水道機工、水機テクノスの合計7名の取締役について、月額報酬を3か月間、10%減額する処分も公表していますが、これはちょっと軽すぎますよね。監査等委員にこんな不正をやらせ続けていた役員さんたちなんですから。

気になること②

もう一つは、同社社員へのヒアリングで、「同業他社でも受験資格に不備のある状態で受験している実態がある」と思っている者が少なからずいたということ。

試験会場には、明らかに実務経験を満たしていないと思われる若い女性や、主婦、色白の男性といった受験者がいることなど、同業他社でも同じように受験資格を偽って受けているのだろうという推測が、役職を問わず広がっていたそうです。

自分たちがしてきたことへの言い訳が半分でしょうが、やはりこの資格試験に関する実務経験虚偽の世界、、、まだまだ他社へも拡大しそうな気がします。