ダイワボウホールディングス アマナ 再発防止策など

ダイワボウホールディングス、アマナの両社は12/24、今回の不正・不祥事に関する再発防止策を公表しました。年の瀬が迫るクリスマスイブに再発防止策。社内の雰囲気ってどんなでしょうかね。2020年の締めくくりというわけでもありませんが、内容をチェックしてみます。

ダイワボウホールディングス

子会社で架空循環取引が行われていたダイワボウホールディングス。公表した再発防止策で目についたのは、「管理部門の統制を軽視しがちな組織体質」や「企業風土の改革」といった観点。結局こういう根っこのところに立ち戻ることになるんですよね。

特に同社の場合は、ネットワンシステムズ絡みの架空循環取引(ダイワボウ情報システム)、フィッシングメールに引っ掛かり顧客情報500件強が流出(ダイワボウアドバンス)、そして架空循環取引(ダイワボウノイ)と子会社の不正が立て続けに出てきましたからね。企業風土とか、カルチャーのところまで掘り下げざるをえません。

アマナ

一方のアマナ。2018年5月に最高財務責任者だった取締役が辞任してたんですね。さらに、2016年以降社外取締役が1名になっていて、その社外取締役も2020年9月に辞任してしまい、現在社外取締役が不在となっています。

この会社危機感を感じさせない、、、みたいなことを以前書きましたが、どうやら取締役会が機能してないんでしょうね。つまるところ、代表取締役が機能していないということでしょう。再発防止策を読んでいても薄っぺらな感じというか、改善しそうな感じがしません。

役員報酬

両社とも再発防止策のお知らせの中で、役員報酬についても触れています。ダイワボウホールディングスは役員報酬の減額、、、ですが、アマナは役員報酬の自主返納としています。言葉だけの違い、でもないような気がします。

アマナ 四半期報告書提出完了 残るは ひらまつ

四半期報告書の提出期限について再延長ということになっていたアマナ。期限の12/23に四半期報告書を提出した旨公表しました。TDnetでは第3四半期決算短信と通期連結業績予想も開示されています。週明けの12/28にはひらまつの提出期限がやってきます。

業績は

もともとは不正・不祥事が発覚した企業ということで取り上げ、そのせいで四半期報告書が提出できず、期限を延長しても提出できなければ上場廃止になっちゃうぞ、、、という展開を追いかけてきたわけです。そういう意味では無事提出完了して良かったということなんですが。。。

このアマナに関しては、もっと大きな課題があることが分かり、そちらも気になるところ。会社の業績ですね。以前書いたように、767百万円の債務超過という状況です。にしては、どうにも危機感が伝わってこないんですよね、この会社。

今回同時に公表した通期の連結業績予想。12月も後半になっての2020年12月期の予想ですから、ほぼほぼ正確だと思われます。売上高は170億円、営業利益が-17.5億円、経常利益が-18億円で、最終28億円の純損失という予想です。特別調査委員会の調査費用も織り込んでるようです。

今期はコロナあり、グループ再編で債権放棄ありなど、大幅な損失は覚悟のうえ。ということなんでしょうが、公表されている売上原価や販売費及び一般管理費のコントロールぐらいでは追い付かないのでは?と心配してしまいます。しかし、それにしても株価が高すぎるんですよね。なんで?

ひらまつ

11月に提出されるべき四半期報告書の提出期限を延長した銘柄群。残るはひらまつ1社となりました。再延長後の提出期限は12/28。来週の月曜日ですね。無事提出となるんでしょうが、創業者との対決はそこから始まるって感じです。調査委員会の調査結果も同時に公表されるんでしょうか。

アマナ(amana) 特別調査委員会の調査報告書を公表

アマナは12/15、子会社等で発覚した架空売上等を調査していた特別調査委員会から、調査報告書を受領したとして、同報告書を公表しました。しかしながら四半期報告書の提出までは至らず、翌日12/16に四半期報告書の提出期限について再延長ということになりました。

架空売上等の概要

報告書の整理通りに事案を並べると、次のようになります。
①A氏案件(アマナデザイン):約3500万円の架空売上、原価の付替、売上の前倒し
②B氏案件(アマナ):原価の継続的な付替え
③C氏案件(アマナデザイン):約5400万円の売上の前倒し、原価の付替え
④その他事案(アマナ):原価付替、売上前倒しなど7事案

①~③が当初の調査対象で、④は調査の過程で新たに発覚し、調査対象を拡大することで見付かったものです。報告書も触れていましたが、基本的に会計に関するリテラシーが低すぎです。

特に②のB氏案件ではB氏が役員に相談し、経営会議にまで報告されていたにもかかわらず、適切な対処ができていませんでした。っていうか、役員まで一緒になって未払原価を一括で支払わず、各案件につき一定の粗利を維持しつつ、超過する原価を他の案件に付け替えるといった処理を行っていたみたい。要するに、未払原価の処理においても不適切な会計処理をしているんですね。役員の指示の下。

ということで、同社のコンプライアンスや会計に関するリテラシーの低さを露呈してしまいましたが、架空売上を除けば、過去の財務諸表にはあまり大きな影響はありませんでした。2018年には海外子会社での不正会計、そして今回の国内子会社と同社での不正会計。これでやっときれいになりました。か?

ところで、四半期報告書の期限延長申請って、何回までOKなんだろうか。

ネットワンシステムズ 外部調査委員会調査報告書を開示

ネットワンシステムズは12/16、外部調査委員会調査報告書を公表しました。2012年、2013年、2019年と三度にわたって大きな不祥事件が発覚した同社。今回が四度目となる不祥事です。その調査報告書をまとめておきます。

乙事案(原価付替)

報告書では主に2つの事案が取り上げられていて、甲事案と乙事案とされています。このうち乙事案というのは、売上先である会社に「リスク費」という名目で資金をプールするスキームで、当該「リスク費」を別の案件の費用の支払に使用することで、原価の付替えが行われていたという事案。

甲事案

問題はこちらの甲事案。従業員がネットワンの資金を流用していたというもの。この従業員が所属していたのは、第1営業部第1チーム。なんと年初に発覚した架空循環取引を主導した従業員と同じチームです。

前回の架空循環取引(原価付替も)の主導者と今回の資金流用をした従業員が同一人物と誤認してしまいそうな報道がありますが、、、。同じチームに所属する、別人です。

水増し取引によりネットワンから仕入先に支払われた資金のうち2,100万円と、架空発注により別の仕入れ先に支払われた資金のうち1億7,000万円が、第三者を経由するなどして流出していたといいます。

この資金は、同従業員が代表取締役を務め、発行済み株式のすべてを保有するプライベートカンパニー2社に送金されていたとのこと。合計金額は1億9,100万円、このうち1億4,732万円が出金され、従業員が個人的に費消しています。なんと沖縄に4件で7,000万円超の不動産購入も。

同じ部署でこのような不正が並行して行われていたとは、、、。もはや呆れるしかありません。最後に、この報告書には原因分析や再発防止策には触れていません。わずか1か月ちょっとの期間での調査(四半期報告書の提出を控えて)ということで、いたるところに調査の限界が見て取れます。まだ他にも不正が残っている可能性、、、ありそうです。

小倉クラッチ 特別調査委員会の調査報告書を公表

小倉クラッチは12/16、四半期報告書を提出し、特別調査委員会の調査報告書を公表しました。中国の子会社である小倉離合機(東莞)有限公司、小倉離合機(長興)有限公司における棚卸資産の過大計上、米国の子会社では従業員による横領について明らかにしています。

中国2子会社

こちらはいずれも棚卸資産の過大計上。慣れないシステムへの誤入力などの原因により、製造原価(仕掛品)に、実際には存在しない過大計上が生じていたとのこと。

2社でそれぞれ別の中国製ERPシステムが使用されているんですが、このシステムの使用方法に問題があり、製造原価の過少計算という事象につながったということです。いずれもいい加減なオペレーションとその管理に問題はあるものの、業績を良く見せるために誰かが故意に実行したものではなさそうです。

Ogura Industrial Corporation(OIC)

問題はこのOIC。米国子会社です。同社の経理担当従業員が、2018年6月から2020 年3月にかけて、OICの取引銀行であるBoAの同社銀行口座から、従業員自身の銀行口座に対し、不正な送金を繰り返していました。

その金額は合計約128万米ドル(約135百万円)。また、これとは別に同銀行口座からクレジットカードの発行会社に対して支払処理もしていて、こちらの金額は約19万米ドル(約20百万円)。合わせて約156百万円を不正に着服していました。

同従業員が自社の銀行口座からの支払入力権限と、本来なら上司しか持たない承認権限まで併せ持っていたのが一番の問題でした。そして、着服の動機はやはり、オンラインカジノ等のギャンブルでの損失です。

ただ、この従業員、ギャンブルで勝ったときには、会社にお金を返済(これも不正な手続きで、バレないように)していて、、、その金額も約25百万円だったそうです。