株式会社アウトソーシング 再発防止策の中で特筆してお伝えしたい事案

グループ17社において会計不正が発生したアウトソーシング。調査結果報告書を開示し、1/14には、四半期報告書を提出し、併せて「再発防止策の策定等に関するお知らせ」も公表。一旦当事案に関しては終結していました。

再発防止策の中で特筆してお伝えしたい事案

その後1/17、「適時開示した再発防止策の中で特筆してお伝えしたい事案」という文書を公表していました。適時開示はされていないので、kuniも見落としていたんですが、同社ホームページで公表されています。

「再発防止策の中で特筆してお伝えしたいこと」。パワーポイントでまとめられた文書で、次の項目からなっています。①内部通報制度の見直し、②トップ主導の社内風土改革、③コンプライアンス意識の改革、再発防止策の徹底、④事業計画・数値目標について。

適時開示する再発防止策が形式ばったものになりがちなのに対し、この文書では経営の心意気というか、本気度みたいなものも感じられます。特に②、③については、「経営トップである私、土井みずからが責任をもって」という表現で語られているんですね。

代表取締役 土井さん

土井さんは代表取締役社長兼会長。経営トップが改革の意思を明示しているところが良い感じ。発生した不祥事が自らの責任であることも認めているからこそ、こういう表現をされたんだと思います。

末端の従業員を切ってお終い。外部講師によるコンプライアンス研修を・・・みたいな、経営者自身の覚悟が疑わしい再発防止策が多いなか、同社のこの「再発防止策の中で特筆してお伝えしたい事案」、なかなか新鮮でした。

東レ UL に対する 認証不正

東レは1/31、「当社樹脂製品における第三者認証登録に関する不適切行為および有識者調査委員会の設置について」を公表しました。 Underwriters Laboratories の認証登録に関して、不正を行っていたというものです。

UL認証不正

当ブログでもこれまでにUL認証不正を取り上げてきました。東洋紡や京セラ、三菱電機など、我が国の超優良企業が認証不正を働いてきました。そして今回は東レです。

東レ

合成繊維の国内最大手で、炭素繊維は世界トップシェア。衣料用・産業用の各種繊維のほか、炭素繊維、合成樹脂、IT関連材料、医薬品まで幅広く展開する東証1部上場企業です。今さらやねぇ。知らん人いないと思いますが。

認証不正の概要

ULが定めている、樹脂の難燃性能を示すUL94の規格に関し、一部の品種でULが実施する認証試験で指定されたグレードと異なる、試験合格用のサンプルを作成し、提出していたことが発覚しました。

また、認証登録された品種の一部で、登録時の組成と異なるものを製造・販売していました。家電製品や自動車などに使われている樹脂製品らしいです。

昨年、上記のような企業数社がUL認証不正を公表してきたにもかかわらず、東レが自社における認証不正を認識したのは、昨年12月下旬のことだといいます。この時行った社内アンケートで明らかになったと。後手に回りましたね。

同日付で有識者調査委員会の設置を決定し、さらなる徹底的な調査と原因究明を実施。併せて、東レグループ全体にわたるUL認証に関する調査も行うとしています。ほぉ、この事件を受けて、株価は10%以上下落しましたね。

神東塗料 認証不正(その3)

神東塗料が水道管用の合成樹脂塗料の認証を不正に取得していた件。同社からの新たな開示はありませんが、経団連や日本水道協会からは反応や情報アップデートが継続しています。ここまでに出てきたお話を整理しておきます。

経団連

経団連の会長は1/24、定例記者会見で、「神東塗料が合成樹脂塗料の認証を不正取得していた問題に関して、非常に遺憾に思う」とコメントしました。経団連の会長が個別企業の不正に関して言及するとは。と思ったんですが、現会長は住友化学の会長だったんですね。住友化学は神東塗料の筆頭株主なもんで、、、なるほどそういうことね。

日本水道協会

日本水道協会はかなり頻繁に情報発信しています。1/16以降、認証品の出荷停止等が徐々に解除されてきています。直近の情報は1/28時点で既に「第8報」まで発信されています。事の重要性に配慮した迅速な対応が取られているようですね。

日本経済新聞によると、1/30、同協会が調査の対象を拡大することを明らかにしたと伝えています。これまで不正の疑いがある12製品の品質や水道水への影響について調査してきましたが、これとは別の12製品についても調査を拡大するということです。

不正の手口についても触れられていて、認証を取得するために協会に提出する塗料の試験片を、規格に沿わない方法で製造していました。

規格ではセ氏55~65度で24時間乾かすと定められているのに対し、80度で10日間乾燥させていたとのこと。さらに水で洗浄も。認証試験で合格するため、水に溶け出す成分がより少なくなるように不正な手順をとっていたということです。

グレイステクノロジー 架空売上や架空外注費で利益操作

グレイステクノロジーは1/14、「特別調査委員会による調査の継続、2022年3月期第2四半期報告書の提出遅延及び当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ」を公表しました。昨年11月から不適切な会計処理を調査していた特別調査委員会でしたが、、、。

調査委員会の中間報告

同社は会計処理の適切性につき外部からの指摘を受け、事実経緯の確認のために社内調査を進めた結果、一部の取引について会計処理の適切性に疑念があることを認識しました。これを受け、利害関係を有しない外部の専門家で構成される特別調査委員会を設置したんでしたね。

で、もともとこの1月中旬に調査結果を得る予定だったんですが、残念ながらよりマズい不正が出てきてしまって、今回は中間報告にとどまってしまったという流れ。

調査の過程で、①架空売上を計上し、その架空取引に係る売掛金を当社役職員の自己資金を用いて仮装入金等していたこと、②売上の前倒計上をしていたこと、③利益操作目的で架空外注費を計上していたこと、④これらを実現する手段として偽装工作している状況が多数発見されたといいます。

最も致命的なのが、これらを主導したのが経営そのものであること。調査委員会からは、「元代表取締役及び元取締役が関与する重大な経営者不正が発見された」との報告がありました、と綴られています。

株価急落が示していた

11月に不適切な会計処理を公表した直後、二日間で株価が半分になってしまいました。不祥事発覚で株価は下げますが、ここまで強烈な下げは珍しい。前回取り上げた際も書きました。やはり上記のような最悪の不正が行われていたというわけです。EduLab(エデュラボ)級の衝撃です。

サガミホールディングス 食材の誤使用 食品偽装?

サガミホールディングスは1/4、「連結子会社における食材の誤使用に関するお詫びとお知らせ」を公表しました。舞台となったのはサガミレストランツ株式会社が営業する「和食麺処サガミ」の一部店舗だそうです。なんだか懐かしい話題、食品偽装の類ですね。

サガミホールディングス

サガミホールディングスは東海地区中心に関西、関東、北陸などで和食麺類のレストランチェーンを展開する企業。主力の「和食麺処サガミ」は直営大型店で、店内石臼挽き製麺のそば、みそ煮込み、和食を提供しています。

ほかに、首都圏中心とする日本最大の手延べうどんチェーン「味の民芸」、セルフサービス麺類店「どんどん庵」、カジュアルな麺類専門店の団欒食堂「あいそ家」、手延べうどんを気軽に楽しめる「水山」、大型セルフサービスうどん店「製麺大学」などがあるそうです。

食材の誤使用

「和食麺処サガミ」の一部店舗(22 店舗)にて、2021年10月20日から2022年1月3日のランチタイムまで販売していた「プレミアム手羽先」、「プレミアム赤手羽先」について、メニューに「純和鶏」という鶏種の表記がありながら、誤って「国産鶏」を原材料として使用していたことが判明したといいます。

当該22店舗は全部、埼玉、東京、神奈川、静岡のお店ですね。発生原因は、メニューブックの記載内容変更時、社内における使用食材変更についての確認作業に不備があったためとしています。

食品偽装

食品偽装、産地偽装、メニュー偽装などと呼ばれていましたが、2013年に芋づる式に多くの企業が登場することとなりました。ヒルトン東京や東京ディズニーリゾート内の3ホテル、阪急阪神ホテルズなどなど、多くの企業がこうした偽装を公表することとなり、公取委も動きました。

う~ん、今回も後に続く企業が出てきそうな予感が・・・。