大成建設 札幌市で建設中の26階建てビルで施工不良

大成建設は3/16、「施工中工事における鉄骨建方等の精度不良について」を公表しました。っていうか、「鉄骨建方等の精度不良」ってなんやねん。って話ですが、要するに施工不良です。札幌で建設中の複合ビルで、鉄骨の施工精度とコンクリートの厚さが発注者との契約に基づく規定を満たさない施工不良です。

大成建設

大成建設はスーパーゼネコン(総合建設業)5社(同社、大林組、清水建設、鹿島建設、竹中工務店)の一角。大型土木工事に多くの施工実績をもち、都市再開発など民間建築工事や、海外でも空港旅客ターミナルや海底トンネル、ダム、地下鉄工事など多くの実績をもつ企業。

施工不良の概要

鉄骨に使うボルトが規定より小さいとか、床や天井に用いるスラブコンクリートでも厚さが規定に達していないなどという施工不良がたくさん見つかったということです。日経の報道によると、品質管理を担当する社員が、問題のあった箇所を修正すると、工期が延びることを恐れて、品質に問題ないと判断し、虚偽の数値を発注者に申告していたとのこと。

開示では情報が少なすぎて分からないのですが、日経によると、「コスト削減の意図はなく『単純なミス』と説明している。」んだそうな。いやいや、ここ、重要な部分ですよ。

当然第三者の目線で

大成建設はすでに、「地上部分の全て及び地下部の是正対象部分を撤去したうえで再構築すること」や担当役員2名の辞任を公表していますが、当然この後第三者の目線で調査が行われるでしょう。同じ担当者の案件で他にも同様なことが、とか、いや別の担当者でも、、、。そこらじゅうの大成建設施工案件で「うちは大丈夫なのか」、、、ってなってますよね。

東京衡機 第三者委員会の調査結果を公表

昨年末に不正取引について開示した東京衡機は3/3、「第三者委員会の調査報告書の受領および当社の対応等に関するお知らせ」を公表しました。調査結果を受けて、遅れていた2023年2月期第3四半期報告書を提出期限までに提出できることになったようです。

調査結果

調査結果はまぁ、よく分からない内容です。「商事取引の一部について実質金融取引であると認められる」とか、「不自然な資金の循環が認められた」などと指摘。ただ一方で「商品の実在性の有無等を確認することは困難だった」などと、どうもはっきりしません。

他にも、「仕入先と販売先の間で取引商品や金額・決済条件等がおおむね決定されている取引であって、目的物の引渡し等に対する関与の程度が小さく、代金の立替払いをすることを主な役割として手数料を得る取引(介入取引)」なんかも出てきますね。

同社のカルチャー

報告書では、2017年に発覚した役員の不正に関する調査と、その改善対応にも言及していました。当時、内部統制室の人的リソースや専門性強化への取組みを掲げ、取り組んでいたものの、わずか1年でその改善対応に係る態勢があちこちで骨抜き状態になっていたといいます。

さらに、「現在でも本質的な改善には至っていない」、「内部統制の改善に向けて積極的な対応がされていたとは認められず、十分に機能していたとは言い難い」とバッサリ。改善策や再発防止策って、こんなふうに時間とともに壊れていってしまうものなんです(1年で、ってのは早すぎだけど)。これって、同社だけの問題じゃないですよ。

富士電機 日本原子力研究開発機構向け機器製作に係る不適合管理

富士電機は2/24、「国立研究開発法人日本原子力研究開発機構向け機器製作に係る不適合管理の完了について」を公表しました。昨年7月に公表していた、同機構向け定常臨界実験装置(STACY)施設の更新改造において、指定されたものとは違う材料で機器を製作していたという件の最終報告のようです。

富士電機

富士電機といえば、以前ネットワンシステムズの架空循環取引で子会社が関与していたとして当ブログでも紹介しましたね。今度は日本原子力研究開発機構向け機器製作における不祥事です。

実際には富士電機が受注し、下請けの木村化工機に製作させていたようです。木村化工機で製作された機器において、同機構との間で行われた材料確認検査時とは異なる部材が取り付けられていたということです。同機構による昨年7月の工場立会検査で発覚しています。富士電機としても、同社の事前の検査でそのことが見逃されていたことが問題視されました。

不適合管理

事前に顧客との間で確認を行った材料ではないものを使用して機器を作成していた(木村化工機)。ということを「不適合」と呼び、それを元請負(富士電機)としてしっかり管理できていなかったことを「不適合管理」と呼んでるようです。

納入する機器に使用する材料について、あらかじめ定められたものを使用しなかった「品質不正」と、「その管理実態」って言ってくれたら分かりやすいのに。その業界では「不適合」と呼ぶのかもしれませんが、世間一般的には「不適合」じゃなく、これも立派な不正だと思いますけど。

パソナグループ ワクチン受付業務で委託先が3自治体に10億円の過大請求

パソナグループは2/10、「当社子会社の受託案件における委託先事業者による過大請求について」 を公表しました。子会社のパソナが吹田市、西宮市、枚方市よりそれぞれ受託していた新型コロナウイルスワクチンの接種に関する業務において、不正が発覚したという事案です。

パソナグループ

パソナグループは人材派遣、人材紹介、BPO(業務の外部委託)などを手掛ける大手人材サービスグループ。傘下に人材派遣が主力のパソナやパソナテック、キャプラン、コンタクトセンター・BPOサービスを提供するビーウィズ、アウトソーシングサービスを提供するベネフィット・ワンなどがあります。

事案の概要

吹田市、西宮市、枚方市よりそれぞれ受託している新型コロナウイルスワクチンの接種に関する業務において、その業務の一部を再委託している事業者(株式会社エテル)が、委託料計約10.8億円を過大請求していたというもの。

新型コロナウイルスワクチン予防接種に関する市民向けコールセンター・ヘルプデスク運営業務について、エテルは実際にはオペレーターの人数を確保できておらず、少ない人数で業務に対応。電話の対応件数や応答率などを水増しして虚偽の報告をしていたということです。

不正を行ったのは再委託先のエテルという会社ですが、パソナとしても、委託元としての管理責任が問われているということですね。いろいろとよろしくない噂が聞こえてくるパソナ、多くのメディアが報道してましたが、なぜか日経だけはこの事件について触れていません。なぜなんでしょうね。

このところ公金を巡る不正が後を絶ちませんが、厚生労働省は全国の自治体に対し、同様のことが起きていないか確認するように文書を出したようです。コロナ絡みの過大請求、他の自治体にも広がりそうな気がしますね。

SMBC日興証券 地裁判決 罰金7億円 、追徴金44億円

SMBC日興証券のブロックオファーに関する相場操縦事件で東京地裁は2/13、金融商品取引法違反(相場操縦)罪に問われた法人としての同社に対して、罰金7億円、追徴金約44億7千万円の判決を言い渡したそうです。

判決の概要

判決は「『市場のゲートキーパー(門番)』として金融取引の公正の実現へ重要な役割がある立場で、非難の程度は一層重い」と指摘したとのこと。判決は大株主から株を買い取って投資家に転売する「ブロックオファー取引」を巡る同社の発注の違法性を検討した結果です。

元幹部らが2019~21年、10銘柄の株価を違法に買い支えるため、自社資金で計約167万株の買い注文を出したと認定したそうです。一連の取引で同社が計約10億9300万円の利益を得たとしています。

判決を受けて

SMBC日興は同日、「判決を重く受け止め関係者の方々に心よりおわびする。改善・再発防止に向けた取り組みを着実に実行し、信頼回復に努める」とのコメントを出したそうな。いつも書いてるけど、同社のこのセリフはまったく信用する気になれません。これまで何度聞いてきたことか。

44億円と確定した追徴金を巡っては、同社は「すでに厳格な社会的制裁を受けているとしたうえで、追徴金はブロックオファー取引で得られた売買差益相当額に限定されるべきだ」と主張していました。おそらく10億円を指してるんでしょう(儲けた分だけ返したらええやろみたいな感じ)。この主張をしていたのはわずか2か月前のこと。

事件を主導した当時の幹部が外資系の出身者だったことを受け、国内最大手出身のエクイティ本部長を招聘したとかってニュースもありましたね。イヤイヤそういう問題じゃないのよ。他から連れてきた人間に頼っちゃうところから変えないと。