アマナ(amana) とうとう追い詰められたか

アマナは5/11、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。っていうか、公表してました。もう駄目だろうなと思ってたもんで、気にも留めず、正直中身も確認していませんでした。5/15にも追加の開示が。

開示の内容等

今回の事案における売上・外注費の水増し及び架空計上による売上高の累積影響額は約1億4,600万円、売上原価の累積影響額は6,540万円だそう。追加事案の方は売上高の累積影響額が約5億5,400万円、売上原価の累積影響額は約3,920万円だそうです。

もうここまでくると、上記の金額自体はあまり意味をなさないかもしれませんね。この時点では、2022年12月期の有価証券報告書を延長承認された提出期限である5/22までに提出することを目指していましたが、5/15の開示では一変、5/31頃まで遅れざるを得ないとしています。

終わりの始まり?

なんかもう、何もかもがグダグダで、正直、提出期限に間に合わせて上場維持を死守するという気概も感じられません。いや、むしろ、このまま取引所の制度のせいで上場廃止となりましたみたいな形で、世間の関心が希薄化するのを待っているかのような感じ。

これまで意外に、「まだ再生が期待できるのかな」と感じさせてきた同社株価の方も、5/16に35円安。5/17には54円安の386円まで売られています。終わりの始まり、、、という感じです。

熊谷組 北海道新幹線トンネル工事試験で虚偽報告

熊谷組は5/2、「弊社JV施工の工事におけるコンクリートの単位水量試験およびスランプ試験の虚偽報告について」を同社ホームページで公表しました。北海道新幹線の札幌延伸に向けたトンネル工事で、ゼネコンの熊谷組などでつくる共同企業体(JV)がコンクリートの品質管理試験で虚偽の報告をしていました。

熊谷組

熊谷組は、ダムやトンネルなどの大型土木工事に強みをもつ準大手のゼネコン。特に大型トンネル工事には定評があります。また、高層ビルの建築工事にも多くの実績を持っています。早期から海外展開も積極的に行ってきた東証プライム上場企業です。

不正の概要

コンクリートの単位水量試験(コンクリート1㎥に含まれる水の量を測定する試験)及びスランプ試験(固まる前のコンクリートの柔らかさを測定する試験)において、必要な手順を踏まずに試験したのに「適切に実施した」と報告していたということです。施工したコンクリートの強度については現在調査を進めているところだそうです。

この不正、発注者である「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が現場立会を行ったことで発覚しています。以前当ブログでも取り上げた、大成建設の札幌で建設中の高層ビルにおける施工不正。あの件も発注者であるNTT都市開発が現場を巡回した際に発見してました。

発注者が施工業者等からの実績報告を鵜吞みにすることなく、自ら現場に足を運びチェックすることの重要さが分かります。こういうチェックがしっかり行われるようになると、もっともっと不正が発覚するんでしょうかね。それも怖い話ですが。

KNT-CTホールディングス子会社(近畿日本ツーリスト) 過大請求さらに拡大

KNT-CTホールディングスは5/2、「当社連結子会社による『新型コロナ関連受託業務における過大請求』に関する緊急社内点検について(経過報告)」を公表しました。4月中旬に2億9,000万円の過大請求を公表していました。

過大請求額は最大約16億円

調査委員会の調査とは別に実施してきた緊急社内点検において、これまでに疑義があることが判明した過大請求額は最大約16億円にのぼるとのこと(前述の2億9,000万円を含む)。点検対象は2020年4月1日から 2023年3月31日実施の、近畿日本ツーリスト株式会社が取り扱った762自治体等からの受託事業2,924件だそう。

緊急社内点検で、過大請求であると認識し、自治体に報告した金額が5億8,400万円。さらに、十分な証憑が確認できない等の理由で一旦過大請求と分類した金額が最大見積額約10億円という内訳です。当ブログで前回取り上げた際に、まだまだ出てきそうと書きましたが、やっぱり出てきましたね。

まだ確定した金額ではなさそうですが、東大阪市が突出していて3億円超なのに対して、その他の自治体がいずれも数千万円以下というバランスの悪さも気になるところ。

取締役内定も取消し

KNT-CTホールディングスでは、取締役専務が新社長、社長が新会長へ、という取締役の異動内定を4/25に公表していたんですが、今回この異動についても取り消す旨の開示がされています。まぁ、こんなことになってきたら当然でしょうね。

「コンプライアンスの徹底、ガバナンス体制の強化等再発防止策の構築、実施および当社グループ全体の信頼回復に向けた諸改革を図るため」だそうです。

またまたトヨタグループで ダイハツ、安全認証で不正

ダイハツ工業は4/28、「側面衝突試験の認証申請における当社の不正行為について」を公表しました。っていうか、ダイハツは上場企業ではないので、適時開示に関しては親会社のトヨタが4/29(土)付けで、「当社連結子会社による不正行為に関するお知らせ」として公表しています。

ダイハツ工業

ダイハツ工業は主に軽自動車、および総排気量1,000cc以下の小型車を主力とする日本の自動車メーカーです。以前は上場していましたが、2016年にトヨタがダイハツの株式を100%取得し、完全子会社としました。以来、トヨタグループにおいて軽自動車を含む小型車部門としての立場を明確にし、新興国向け戦略の一翼を担ってきました。

不正の概要

トヨタグループ、販売子会社における車検不正に続き、昨年には日野自動車におけるトラックの排ガスや燃費をごまかす悪質な不正が発覚。そしてさらには、トヨタの源流企業でもある豊田自動織機でも、フォークリフトを対象に同じような排ガスデータの改ざんが明らかになってきました。

あきらかにトヨタを中心としたグループ全体がおかしくなってきています。そして今回発覚したのがダイハツ工業。海外向け車両の側面衝突時の安全性を確認する試験の認証手続きにおける不正。衝突時に人を傷つけるような壊れ方をしないように、ドア部品に切り込みを入れるなど、本来の仕様にない加工を施して試験をしていたといいます。

対象となるのは約8万8000台。うち7万6000台あまりがトヨタのブランドでも売られているということです。巨大な宣伝広告費でメディアを黙らせてきたトヨタでしたが、今回はさすがに適時開示をトヨタネームで行いました。詳しいことは別の機会に書こうと思いますが、やっぱりトヨタは堕ちていってる企業になってしまったんでしょうか。20年前の半導体や家電のトップ企業のように。

株式会社ジェイホールディングス 連結子会社取締役があるはずのない株式を売却

株式会社ジェイホールディングスは4/24、「錯誤による募集新株予約権(有償ストックオプション)の行使過誤に関するお知らせ」を公表しました。錯誤による過誤とはまた、小難しいタイトルですね。誤解によりやっちまいました、、、って意味ですね。

株式会社ジェイホールディングス

ジェイホールディングスは、スポーツ、不動産、Web、太陽光、環境ソリューションの5事業を営む企業です。2021年12月期は売上高の6分の1強を横浜マリノス向けが占めたんだそう。1993年に設立されて以降、ここまでで社名が5回も変わってます。あんまり上手くいってる会社じゃなさそうです。

事案の概要

同社は役職員や連結子会社の役員向けにストックオプションを発行しており、その行使条件は、「同社普通株式の取引終値が一度でも 500円以上となった場合にのみ、本ストックオプションを行使できる」というもの。「取引終値」ね。

同社株式は4/7に一時501円まで買われましたが、残念ながら終値は478円。つまりストックオプションは行使できないわけですが、子会社役員はこれを誤認して行使(株券にする)を申請し、同社の裏方もこれを受けてしまったということです。

結果的に4/14、この株式を市場取引にて1株当たり 340円で売却してしまったとのこと。しかし、まぁ、なんでこんな初歩的なというか、笑い話みたいなミスが発生するんでしょうね。事業活動に資源を最大限に投入し、稼ぐことは否定しないけど、その前に最低限のルールを守る態勢がね、必要なんですよ。