日野自動車 三菱ふそうとの統合を公表 日野は終わったね

日野自動車は5/30、「当社及び三菱ふそうトラック・バス株式会社の経営統合に係る基本合意書の締結に関するお知らせ」を公表しました。エンジン認証に関する不正行為で赤字を垂れ流してきた日野自動車、同業他社との統合という形で終わりを迎えます。

統合と再上場

日野自動車の親会社であるトヨタ自動車と、三菱ふそうの親会社である独ダイムラートラックが株式公開を予定する新会社を設立し、統合する2社を完全子会社とするんだそう。2024年12月までの経営統合を目指すとしています。

三菱ふそうトラック・バス

三菱ふそうは、商用車(トラック・バス等)および産業用エンジンの製造会社。これまで競合してきた日野自動車やいすゞ自動車と異なり、非上場会社です。その株式はダイムラー・トラックAG社が約89%、三菱グループ会社が約11%を保有しています。

実質的には日野の消滅 でしょうね

開示文では、「日野自動車と三菱ふそうは対等な立場で統合し、商用車の開発、調達、生産分野で協業。グローバルな競争力のある日本の商用車メーカーを構築」するとしていますが、対当なんてありえません。こんなボロボロの会社と対等で、なんてことになったら三菱ふそうの株主が黙っていません。

エンジン認証問題にかかるリスクについては、三菱ふそうの株主は負担すべきではなく、結果的にはかなり極端な比率での統合となり、実態として日野自動車は消滅することになりそうです。自力の再建ではなく、臭いものにはふたをする。かなり親会社のトヨタの意思を感じさせます。

「今までもやってきたことだから大丈夫だろう」、という不正が、会社を消滅させるわけです。

SMBC日興証券 相場操縦 5人全員が無罪を主張

SMBC日興証券の相場操縦事件で、金融商品取引法違反(相場操縦)罪に問われた同社元副社長の佐藤俊弘被告(60)ら5人の初公判が24日、東京地裁で始まりました。5人はいずれも無罪を主張し、検察側と全面対決の構図となったようです。

おさらい

日興が大株主から株を買い取って転売する「ブロックオファー」取引の対象株式について、2019~21年に計10銘柄で、大株主が株価下落でブロックオファーを取り下げないよう、市場が閉まる直前などに日興の自己資金で大量の買い注文を出して株価を支えた(相場操縦)として起訴された事件。

法人については

法人としての同社の公判が先行して行われており、今年2月、10銘柄全てについて罪の成立を認めた上で、同社に罰金7億円、追徴金約44億7千万円とする判決を言い渡し、その後、確定しています。あっさり片付いたな、って感じだったんですが、個人に関しては全面的に戦うようです。

どうみても無罪はないと思うんだけど

日経によると、メールなどの通信記録で、「買い支えた」との報告や、「引けで支える」、「これ以上下がるなら出動します」なんてのが証拠としてあるみたい。これに対して元副社長が、「了解」とか「OK」とか返している。どう見ても買い支え(安定操作)そのもの。

元副社長は三井住友銀行から降りてきた人みたいだし、買い支えを実行していた元エクイティ部長はたしかゴールドマンサックスから流れてきた人。いわゆる外人部隊ですわ。それを仕切る人間はド素人。ウクライナ侵攻で話題になってるワグネルみたいなもん。彼らの興味は圧倒的な成果とそれに対する報酬のみ。

日興証券もここへきて、かなり迷惑してるんだろうね。他社でも外人部隊による同様のこと(違法行為)はたくさん起きてます。、そろそろ外人部隊は考えた方が良いよ。

ダイハツ工業 国内出荷車両でも認証不正

ダイハツ工業は5/19、「ダイハツ・ロッキーおよびトヨタ・ライズのHEV車の認証申請における不正行為について」を公表しました。4/28に海外向け車両の側面衝突試験の認証申請において不正行為があったことを公表した同社ですが、国内でもやはり類似した不正が出てきました。

不正の概要

海外向け車両における不正を公表後、社内での点検を進めていたようで、その中で新たに、ダイハツ・ロッキーおよびトヨタ・ライズのHEV車のポール側面衝突試験に関する認証手続きに不正がある事が判明したということです。開示した当日から出荷・販売を停止しています。

ポール側面衝突試験は車両の左右の側面を電柱に見立てたポールに衝突させて、乗ってる人の保護の状況を確認する試験だそう。当然助手席側と運転席側の試験を実施する必要があるところ、実際には助手席側のデータを提出していました。左右の側面でどれだけ違いがあるのか知りませんが、まぁ、しょーもない不正ですね。

対象車種

不正が行われていた対象車種は、ダイハツ・ロッキーHEVが22,329台。トヨタ・ライズHEVが56,111台。合計78,440台ということです。今回もまたトヨタ車が含まれていますので、トヨタとしても販売・出荷停止のお知らせは出してるようです(当然適時開示はなし)。

「グループ全体の問題として、私が主担当として取り組む」とおっしゃっていたトヨタ会長でしたが、その後は登場されてませんね。次回どういう形で登場されるのか、楽しみです。

東京電力 社員が柏崎刈羽原子力発電所の工事に関する書類を紛失

日本経済新聞は5/23、「東電社員、柏崎刈羽の書類紛失」と伝えました。社員が柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の工事に関する書類を紛失したということです。6号機の火災防護や浸水対策に関する書類80枚をなくし、うち38枚が現在も回収できていないとのこと。

シャレにならんわ

いずれの書類にもテロ対策など保安上の重要情報は記載されていないということですが、紛失の経緯があまりにも馬鹿げています。5/19に社員が在宅勤務のために書類を自宅へ持ち帰り、自家用車に乗り換えた際、車の屋根に書類を置き、そのまま走行させて紛失したんだそう。

いまどきこんなバカなヤツがいるの?と、一笑に付されてお終いなニュースです。しかし、問題はテレワークのために会社の機密情報が記載された資料等を自宅に持ち帰ることができるという、会社の態勢です。東京電力ってそんなレベルの低い会社なんだろうか。

たしかに昔は顧客情報だろうが、営業秘密情報だろうが、自宅に持ち帰って業務に利用してました。それが重要な情報は持ち出せなくなり、重要という定義でもめ始めると、全面的に会社の資料は持ち帰ることができなくなりました。

金融出身のkuniの記憶では、すくなくとも10年前くらいには書類の持ち出し禁止、個人アドレスへのメール送信禁止というルールが定着していたと思います。

車の屋根に置いたまま走行する社員もバカだけど、そんな気の緩んだ状態で書類を扱うことができる会社のルールやカルチャー。これは圧倒的に怖い話です。原発を運営し、電力供給という国民のインフラを担う企業がこれではね。

その後の報道では回収が進んでいるみたいだけど、上司の許可を得ることなく持ち出し、事件の発覚も柏崎市民が書類を拾ったことから、らしいです。こんなだらしない事件起こしておいて、東電からの正式な開示はありません。

ダイハツ工業 安全認証不正で第三者委員会を設置

ダイハツ工業は5/15、「第三者委員会の設置について」を公表しました。上場企業ではありませんので、自社ホームページでの公表です。上場する親会社のトヨタからは、第三者委員会設置の件については特段のコメントは発表してないようです。

公表文の概要

今回のダイハツの公表文、個人的には好感持てました。これまでのところこの不正行為を行った主体については全く言及がありませんでしたが、今回も一担当者の問題として捉えていません。以下に公表文を引用します。

「この度の不正は、車の安全に関わる領域での不正であり、社会的に許されるものではないと考えております。この度は、内部通報という形で現場が声を上げております。経営マネジメントが現場に寄り添えず、法令遵守や健全な企業風土の醸成が疎かになる中で、正しいクルマづくりを見失い、現場が不正行為をせざるを得ない環境となってしまった結果、不正行為を発生させたと考えられます。」

「今回の不正行為を単にひとつの業務行為の問題で終わらせることなく、企業グループ全体の理念、行動指針に結びつけた改革となるよう、まずは全員で立ち止まり、不正行為をせざるを得なくなった背景・環境・真因を徹底的に究明、改善・再発防止に取り組み、膿を出し切ることで、二度と同じ過ちを繰り返さない会社へと変える決意で取り組んでまいります。経営マネジメントは直ちに現場とのコミュニケーションをとり、本音で話のできる職場づくりに注力してまいります。(引用ここまで)」

どういう立場の従業員が、ではなく、ここでは「経営マネジメント」を主語に不正の原因が語られており、再発防止に関しても同様に、「経営マネジメント」が行動するとしています。謝罪文だからといってしまえば確かにそうなんですが、経営の問題としてとらえたこういう表現って実はなかなかないんですよね。