株式会社グッドスピード 調査委員会を設置

中古車販売のグッドスピードは9/29、「調査委員会設置のお知らせ」を公表しました。同社は8月、ビッグモーターの騒動を受け、過去約4カ月間の保険金請求を自主調査し、30件で不適切な事案が見つかったと発表していました。

グッドスピード

グッドスピードはSUV・4WDを中心にミニバン、輸入車など、専門性を高めた中古車販売店を東海4県(愛知、岐阜、三重、静岡)を中心に出店。附帯して、整備・鈑金などのサービスを提供する企業。以前取り上げたネクステージのように、経営陣がビッグモーター出身だったり、損保ジャパンが大株主だったりという事実はなさそうですが、まぁ、似たようなことをやってた企業でしょう。

調査委員会の設置

今回の開示では、監査法人から「公表済みの決算に関して不適切な会計処理がある旨の疑義が生じている」との指摘を受けたことを公表しています。既に公表済みの自主点検による30件の不適切な事案との関係性については触れていません。

そしてさらに刺激的なのが、「不適切な会計処理がある旨の疑義の詳細、またその対象期間や金額等の影響については、(外部の有識者で構成される)調査委員会が設置された後、直接、調査委員会へその内容を伝えると監査法人から言われている」、という点です。

監査法人が現経営陣に事案の状況を伝えると、事案の矮小化や証拠隠滅、隠ぺいなどの恐れがあるという危機感を持ったということでしょう。不正請求が拡大するのか、それともまた別の会計不正が出てくるのか。いずれにしても経営の関与が疑われ、ちょっと目が離せない事案になりそうです。

秋本議員 収賄容疑に加えて持続化給付金の不正受給も?

洋上風力発電を巡る汚職事件に絡み、受託収賄容疑で逮捕されていた秋本衆院議員。日本経済新聞によると、今度は新型コロナウイルス対策の持続化給付金を詐取した疑いが強まったとして、9/26、東京地検特捜部が詐欺容疑でも立件する方針を固めたもようと伝えられました。

詐欺容疑

秋本議員と知人女性は共謀し、コロナの影響で会社の売り上げが減少したなどとする虚偽の申請書を国に提出し、給付金200万円を不正に受け取った疑いが持たれているんだそう。贈収賄事件の捜査過程で、給付金の不正受給に関与したとみられるメールを押収したということです。

持続化給付金の不正受給に対する摘発は全国的に相次いでいますが、現職の国会議員が立件された例はないとみられるとのこと。たしかに聞いたことないですね。金の匂いにここまで敏感というか、、、なんでこんな男が政治家になっちゃうんだろうね。投票した人、どんな風に感じてます?

日本風力開発

同じ日、贈賄側の日本風力開発は、「当社代表取締役社長就任および特別調査委員会の設置について」を公表しました。洋上風力発電事業を巡る汚職事件について、外部の専門家等で構成する特別調査委員会を設置して、事実関係の調査や発生原因の分析、再発防止策の提言をする予定だそう。

特別調査委員会の委員は3名なんだけど、その中にベインキャピタル(プライベート・エクイティ・ファンド)の日本代表が名を連ねているのが面白い。既にM&A(身売り)が前提になってるってことかな?

アマナ(amana) 事業再生ADRを申請・受理

広告制作などを手掛けるアマナは9/20、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の利用を事業再生実務家協会に申請し、受理されたと発表しました。不適切会計が行われていた事や内部管理態勢などが不十分として、東証から特設注意市場銘柄の指定を受けていました。

事業再生ADR

事業再生ADRとは、経営が傾いて資金繰りに行き詰まった企業が、公平な第三者機関を挟んで債権者と協議し、事業再生を目指す方法のこと。当該機関への申請が受理されました、という開示ですね。

受理したのは第三者機関ですから、このあと第三者機関を挟んで、債権者に「返済を一時停止・免除して貰えないか」をお願いすることになります。開示では取引金融機関との第1回債権者会議を9/29に開催する予定としています。ここが第一関門。

上場廃止

事業再生ADRを申請し、そのもとで事業再生することになったからといって、即上場廃止となるわけではありません。しかし、そもそも東証からは期限を切って上場廃止の猶予期間を宣告されてますし、株価の時価総額が10億円以下になった場合などでも上場廃止となってしまいます。

高い技術力や生産設備などを持っている企業であれば、強力なスポンサーが現れて、一気に再生へってケースもありますが、この会社の場合はどうなんでしょう。今回の開示、上場廃止へのカウントダウンが止まったわけではありません。

金融庁、損保ジャパンに立ち入り検査 金融庁の検査とは

金融庁は9/19、ビッグモーターの保険金不正請求問題を巡り、ビッグモーターと損害保険ジャパンへの立ち入り検査を始めました。両社の関係者にそれぞれ聞き取り調査をして、実態把握を進めていきます。

金融機関への検査

金融庁は既に行政処分を行うことを内定していると思いますが、実際に処分を下すために必要な証跡を集めるのが今回の検査の目的だと思われます。もちろん、検査の過程で新たな問題が出てくることもあるでしょうが、おそらくその辺りの話題は普通公表されません。

この立ち入り検査ってのが受ける方にとっては物凄い負担なんですよね。検査官が30人入るとすると、30人が調査を行えるサイズの会議室を用意。リクエストされた人数分の机や椅子、PCも。プリンター、コピー機なども準備し、社内システムへのアクセスも許可します。社内システムの使い方なんかのレクチャーも大変。ほかに、役職員を面談する部屋なんかも用意します。

検査期間は通常1~2ヶ月だと思います。30人のうちの多くの検査官が常駐するわけで、喫煙スペースや自動販売機コーナー、社員食堂などで偶然役職員が検査官に遭遇することもあります。そんな場面で聞かれては困る話なんかが出ちゃったりしないよう、社員教育も徹底します。

会社側では検査対応の専任部署が設けられ、リクエストのあったデータや書類を用意して検査官室に持ち込んだり、面談を受けた者の面談記録を整備したりなど、その人たちはほぼ通常業務ができなくなります。検査を受ける会社にとっては経済的な損失はかなり大きなものになるため、事前に行政処分できるという見込みがたってからでないと、なかなか乗り込めないんですよね。

ネクステージ 不正行為疑惑(その2)

昨日取り上げたビッグモーターに次ぐ業界第2位のネクステージ。疑惑が発覚した日、同社株式は2,770円の700円安(ストップ安)まで売られました。その翌日もさらに売られてますね。SNSなんかでもかなり辛辣な意見や情報が多いようで。

社長

ネクステージはビッグモーター出身の方が2022年2月から社長に就いているんだそうですね。これは知りませんでした。っていうか、ここまでこのことが話題にならなかったのが不思議です。経営者が一緒なら会社のカルチャーも一緒になってしまうのも頷けます。

大株主

ビッグモーターは非上場の会社でしたが、ネクステージは上場企業。開示されている大株主をみると、第5位に損保ジャパンが入ってます。持株比率は4.38%。さらに第8位には東京海上日動の名前も。持株比率は2.64%。

自動車の販売会社に損害保険会社が出資すること自体は、極めて自然な流れだったのかもしれません。しかし、その関係が協力ではなく、不正な癒着となって問題化している今では、自然な流れではなく、「ここもか」ってことに見えてきますよね。

(追伸) 保険事業の担当役員さんが亡くなった、なんて情報まで出てますね。不正事案との関係性については分かりませんが。