日向に氷 三菱UFJ銀行 店舗4割削減

三菱UFJフィナンシャル・グループは20日、2023年度までに三菱UFJ銀行の店舗数を17年度末比で約200店舗減らす(40%減)方針を示しました。営業経費が高止まりしているなかで、店舗業務の削減により運営コストを引き下げるそうです。

店舗4割削減

4割削減だけがSNSなんかでも語られていますが、2019年に彼らが公表した計画では、17年度末の515店のうち35%にあたる180店を減らすとしていました。つまり、追加で5%(20店舗)上乗せしたというだけですね。

スマートフォンなどを通じたオンライン取引の利用が想定以上に進んでいて、当初計画より一段の削減が可能と判断したとのこと。人員についても採用抑制や退職などで約6000人が自然減となる見通しだそうです。

聞いたことありますかね、「日向に氷」。辞書では「日向に出した氷はすぐに溶けることから、次第に消えていくことのたとえ。特に、蓄えが乏しくなっていくことをたとえていう。」とありました。株屋の世界では、特に何か悪材料が出るわけでもないが、次第に株価を切り下げていくしかない銘柄を指してこう言ってました。

収益に見合うコストカット

従来、銀行は黙ってても、寝ていても自然に儲かるような仕組みでしたが、最近はその儲けの仕組みがどんどん奪われて行ってます。足元の半年ほどでも、濡れ手に粟だった外貨建て保険が販売(商品の維持すら)すらできなくなりました。

さらに、公正取引委員会が、銀行間で振り込み処理などに使っている「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」の送金手数料の高さに切り込んできました。銀行間の手数料は3万円未満の場合は1件あたり117円、3万円以上の場合は同162円ですが、送金コストは現在1件あたり数円で済んでいるといわれています。

まさに黙っていても儲かる仕組みが、また一つなくなろうとしています。こんなふうに収益減少が目に見えているため、経費削減に走るしかないんですね。儲けの目減りに合わせて店舗や人を削って小さくなっていく。まさに、日向に氷です。

三菱UFJ銀行 指定金融機関 辞退

このニュース自体は今年2/25に流れていたものです。地方自治体の公金収納や支払い事務などを受託する指定金融機関。三菱UFJ銀行が、芦屋市や宝塚市、明石市、伊丹市、池田市、所沢市など、10市程度の地方公共団体の指定金融機関を、辞退することになったというお話。

三菱が口火を切った

その昔、指定金融機関になることは、多額の公金預金の受入れや縁故債の引受などのメリットがあり、銀行同士が結構競い合ってた記憶があります。その見返りとして、銀行は窓口収納業務など各種手数料を無料化または大幅割引してきました。今ではそのメリットもなくなり、全くコストに見合わない業務となってしまったため、いただくべきコストをちゃんと払ってくれという交渉が始まっていたんですね。

しかしながら、ここに出てきた10市はいずれもその交渉を受け入れなかったということです。ちなみに、芦屋市の場合は、年間7万200円だった費用を、1500万円というレベルに引き上げる交渉だったそうです。これだけ見ると吹っ掛けてる感じですが、実際にかかっているコストであり、妥当な要求なんです。

10市はいずれも、三菱UFJ銀行が輪番制で指定金融機関を務めていた先のようで、三菱が口火を切った形です。そのため、他の銀行も地公体との交渉がしやすくなったようで、10市の中には、三菱と一緒に輪番を組んでいたもう一つの銀行が交渉を続け、手数料等の増額に成功した事例も出てきたとか。

銀行が好調だったころの慣行

時代が変わって、銀行も国や地公体にコスト割れのサービスを続けていくことができなくなりました。三菱と言えば3年ほど前、国債の入札に参加する際の特別な資格である「国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)」を返上したという出来事もありました。この辺りから、既に三菱はコストに関してかなり敏感に対応していたように感じます。結果的に、御上よりもステークホルダーを志向し始めている。そんなふうにも言えるかもしれませんね。

昔の慣行にメスを入れ、地方の指定金融機関の座は地方金融機関に返すことになっても構わないという判断。これをきっかけに銀行界が当然の要求をし始めるといった新しい潮流を作ろう。そんな狙いもあったのかもしれません。

三菱UFJモルガンスタンレー証券

最後に脱線。昨年、三菱UFJモルガンスタンレー証券が国債特別資格を停止される、というニュースがありましたが、こちらは国債先物取引で相場操縦をしてしまったことに対する処分でした。上記の話とは違います。。。実は2004年に、当局検査において検査忌避で業務停止命令を受けたUFJ銀行(当時)も、同じ資格取り消しを受けてます。三菱UFJグループ、この資格とは因縁があるようで。

三井住友銀行 今度は不当手数料?

「選択」3月号でまた三井住友銀行が書かれちゃってます。今回のタイトルは『三井住友銀行で「不当手数料」強要横行』。またなんとも物騒な言葉が並んでいること。以前当ブログでは同誌が報じた三井住友銀行のファイアーウォール規制違反の疑いについて取り上げたことがあります。今度は不当手数料だそうです。

不当な手数料 3億5,000万円の融資に1,500万円のアレンジメントフィー

記事では、メガソーラー関連会社の社長が三井住友銀行に3億5,000万円の融資を打診したところ、銀行員が持ってきた提案書にアレンジメントフィー1,500万円が要求されていたとのこと。通常の融資でも手数料がとられることはあるとしながらも、4.28%もの手数料は不当であるという主張になっています。確かに高いですね。

不当な手数料と言えば、以前当ブログでは東日本銀行の行為を取り上げました。歩積両建預金を迫ったり、根拠が不明確な手数料を徴求したり、さらに顧客に実体のない営業所を登記させて、不適切な融資をしたりといった行為が組織的に行われていたというものです。昨年7月に金融庁から行政処分されました。

優越的地位の「活用」

記事に話を戻しましょう。思わず笑ってしまったのがこの社長と銀行員の会話です。社長が「融資の見返りにこんな訳の分からない手数料を要求するなんて、これこそ優越的地位の濫用ではないか」と詰め寄ると、銀行員が「これは優越的地位の濫用ではなく、優越的地位の活用です」と答えたとか。

顧客との間でこんなやり取りする銀行員がいるとは到底思えないんですが。記事ではこの行為が優越的地位の濫用に該当するかどうかの考察も行っているんですが、そういう問題ではないような気がしますね。いまどき法令に抵触するかどうかではなく、顧客本位の業務運営を競っている時代ですから。しかし、それにしてもこんな事例があるとは、、、。

強要と横行

記事のタイトルでは「強要」と「横行」が強調されていますが、今回取り上げている事例は冒頭のメガソーラー関連会社社長の件だけです。社長は結局他行から借り入れしたそうですから、強要されてるふうではないです。また、横行というには1事例のみではちょっとという感じです。他にもこんな苦情等が何件も寄せられているとか、、、が必要ですよね。

今月の三井住友銀行に関する記事は詰めが甘かったようですが、来月号でもう少しその辺りを深掘りしていくんでしょうか。

三井住友銀行 SMBC

ちょっと理由があって三井住友銀行のことを調べていました。その理由とは関係ないんですが、以前から気になっていたこともついでに調査。日本語だと三井住友なのに英語表記ではSMBCって何で???。という素朴な疑問。Wikipediaで調べてみました。

対等の精神

「三井住友」を「Sumitomo Mitsui」とした理由は、日本語表記だと三井が初めとなり、英語表記では住友が初めとなるという、対等の意味からだそうです。また、国際的にはMitsuiよりもSumitomoの方が名前が通っているからという意味もあるそうです。

メガバンクが生まれる当時の合併交渉の難しさが伝わってきますよね。今となっては紛らわしいわ、てなもんですが、あの頃は大変だったみたいですよ。社名もそうだし、組織のつくりから、存続させるシステムの選択も。最終的にはお偉い人たちのポスト争いまで。ポスト争いは合併後も続いてますけどね。

メガバンクの志望動機

調べていてまたまた脱線、面白いモノを見付けました。就活学生に対してアドバイスしているブログです。人事面接で「メガバンク3行の中でなぜ当行を志望したのか?」と聞かれた場合にどう答えるべきかを指南しています。

三菱UFJ、三井住友、みずほ、それぞれの会社の特長やらを上手く取り込んで、模範回答を示しているんですが、まさに模範回答。面接していてこんな解答ばかりだと、面接官面白くないだろうなぁと思います。御社の強みとか、御社の社風だとか、、、分かりませんて、会社の外からその会社の実態なんて。ましてや皆さん会社体験のない学生なんだから。

そこで、kuniが面接官をグッと引きつける回答を考えてみました。「メガ3行の中でどうして当行を選ばれたんですか?」。

「いえ、メガバンク3行とも面接受けてます。銀行ならメガしかないと思っていますので、地銀等は考えておりませんが、正直なところメガ3行の中でどの銀行を、というのはまだ自分の中にはありません。企業側も事情は同じだと思うんですが、何度も面接を繰り返して学生のことを知ろうとするように、私も企業訪問や面接とかを通じて、3行のことを理解できるんじゃないかと思っています。最終的な選択はそれからのつもりです。」

どうでしょう。直球すぎますかね。kuni自身も新卒やキャリア採用の面接、何度もやってきましたけど、これくらい正直に話してくれる人の方が好きですね。会社の志望動機なんて、定番の質問ですから、面接受ける側にも十分準備ができています。十分準備されているからこそ、皆さん似たような回答で面白くないんですよね。

三井住友の本題に入る前に少々長くなり過ぎました。本題は明日にでも。なお、志望動機の回答例をお使いになるのは自由ですが、あくまで自己責任ということで。