理研ビタミン 学ぶべき教訓 チャイナリスク

理研ビタミンの上場廃止に関する記事にたくさんのアクセスをいただいています。中国の連結子会社、青島福生食品というパンドラの箱が開き、決算が締められず。監理銘柄に指定され、来週には上場廃止の危機が迫ります。中国のリスク、今一度しっかり認識する必要がありそうです。

いったい何社出てきた

グループ内の中国企業が原因となり、危機に瀕している企業は理研ビタミンだけではありません。親会社の中国企業グループに対する売掛金が焦げ付いて倒産したレナウン。中国子会社において、154億円もの債権に取立不能・遅延リスクが発生した国際紙パルプ商事。

他にも、LIXILグループや大和ハウス工業、ユー・エム・シー・エレクトロニクス、MTG、、、。いくらでも出てきますね。不正の内容は横領や会計不正、粉飾決算、キックバック、架空支払、贈収賄等いろいろですが、日本の本社から子会社のガバナンスをコントロールできていません。

お国柄

子会社の管理の難しさがあるのは間違いないところですが、加えてお国柄というのもありそうです。もう30年位前のこと、アルゼンチンがデフォルトして、アルゼンチン国債が紙切れ同然になる事件がありました。そのころに聞かされた話、「南米では借りたお金は返さないのが常識」。

まぁ、ちょっとデフォルメが効いちゃってるかもしれませんが、日本人なら当然という感覚が海外では意外に通用しないもの。お隣の韓国や中国もです。特に中国には巨大な消費マーケットがあり、従来は安価な労働力もありました。そちらにばかり目がいき、中国のお国柄には目をつぶってきたわけです。

しかし、そのツケが一気にまわってき始めました。コロナがきっかけになっているのも確かですが、中国の生産拠点やサプライチェーン、日本企業はチャイナリスクを直視し、他国への移管や国内回帰などの対応を考える時期だと思います。

アフターコロナ (その2) 国内生産回帰

アイリスオーヤマが来月から国内でマスク生産を開始する話を先日書きました。素材から国産にこだわり、日本国内の生産設備導入により、1億5千万枚/月というマスク生産計画を発表しています。なぜ同社は国内生産回帰を決めたのでしょう。

日本製造業 「コロナ後」再生の道

このタイトルは「選択5月号」の記事のタイトルです。非常に納得感のあるお話でした。新型コロナウィルスがきっかけとなって、世界が中国リスクを再認識し、日本の製造業も中国から国内に回帰し始めるというストーリー。

そしてさらに、日本の製造業のみならず、中国企業の誘致の好機であるとも言ってます。中国と日本の人件費はもうそれ程の差はなく、あらゆる面で日本の地方の工業団地は中国より魅力的になっていると指摘しています。政権により接収や財産の没収といったリスクを回避したいという中国の企業家のニーズもあるとか。「工場のインバウンド」だそうです。

地方への分散が始まるのか

英国がEU離脱を決めた後、ホンダが英国から撤退するというニュースがありました。このケースは関税が絡んでるわけですが、生産工場を置く国のリスクを嫌い、他国へ、もしくは国内回帰といったサプライチェーンの再構築がもう始まっているように思います。

米国と中国の対立から貿易戦争が勃発、中国に生産拠点を置くことのリスクが大きくなってきていたところへ新型コロナウィルス。今度は中国の政治リスクが顕在化します。感染拡大を阻止するために中国政府が採った強権的な政策を目の当たりにし、そろそろ中国に見切りをつける企業が増えてくるんでしょうか。

日本国内はどうかというと、先日も書いたように東京や大阪に人口が集中していることのリスクをまざまざと見せ付けられました。国内回帰する製造業は地方に生産拠点を。東京等に集中していた人口は地方への分散、、、となるのでしょうか。

トラック業界 長時間労働の限界

5/10 日本経済新聞に「トラック長時間運転 限界 運送業界、負担軽減を要請 荷主に供給網見直し迫る」という記事がありました。長距離を1人の運転手で輸送する従来の仕組みは一段と難しくなり、荷主はサプライチェーンの再構築を迫られている、という記事です。

トラック業界の課題

そういうことだったんだ、と思わず納得してしまいました。働き方改革の掛け声のもと、様々な業界で残業の廃止や短縮が進んでいますが、トラック業界ではほぼ違法状態の営業を続けてきていたんですね。運転手の皆さん大変ご苦労様です。

いつ頃だったでしょうか。観光バスの運転手が過労で高速で大事故。大勢の死者を出してしまって社会問題になったことがありました。トラック業界でももうその寸前、次に何か事故でも起こったら同じことが露呈してしまう、、、というところまで来ているということなんでしょうね。

記事では、「翌日午前中には九州まで届いていたが、厚生労働省が定める運転手の1日の拘束時間や連続運転といった法令を守ると到着は夜中になる。グレーな運用でやってきたが、このままでは事業を続けられない。」という切実な現状を伝えていました。

運転手を2人乗せて、交代で運転するとなると、ルールは守れるかもしれないけど、人件費は2倍になります。当たり前ですけど、コスト競争に勝てなくなりますわな。などと考えていて、ふと気付いたというか、なるほどなと思ったのがトラックの隊列走行です。

ソフトバンクグループなど 自動運転でトラックの隊列走行

「5G」実用化への実証試験について、いろいろと報道されていますが、トラックの隊列走行の実験が盛んに行われています。ソフトバンクや豊田通商、いすゞや日野自動車といった企業名があがってました。トラックによる幹線輸送で先頭車のみを人が運転し、後続車は自動運転で追随する「隊列走行」の実現に向けた取り組みです。経済産業省は22年までに後続車でレベル3~4、25年以降に無人化という目標を掲げて旗を振っているようです。

街中で自動運転、よりは、高速道路での隊列走行の方が、とりあえずハードル低そうですよね。路側から人が飛び出してくることはなさそうだし、信号は少ないし、交差点での対向車との駆け引きみたいなのもなさそうです。

最近アジアで起きている新ビジネスの特徴は課題解決型、、、という話を読んだような気がします。「Iotを使った5G技術によるトラックの隊列走行」日本で一番というか、日本が一番というか。最初に実現しそうなサービスのような気がします。