レオパレス21 2020年3月期 800億円の赤字

6/4 レオパレス21は、2020年3月期の業績予想数値を大幅下方修正しました。当期の最終損失は304億円→803億円。なんとほぼ500億円の下方修正ですね。これマジでヤバくなってきました。同社にもやはり新型コロナの影響がここから大きく出てくるでしょうし。

純資産が

この時期にまだ予想の修正かよ、って感じですね。2019年3月期の最終損失は687億円でした。で、同期末の純資産額は813億円まで減少しています。つまり2020年3月期の期初の純資産額が813億円でスタートし、803億円、、純資産がほぼ吹き飛んだことになります。

入居率

同社のサブリースの特性上、80%を下回ると逆ザヤになると言われている入居率の推移。昨年10月に初めて80%を割れ、年末まで下げ続けました。今年に入って3月までの3か月間は80%を超えて推移し、3月は83.07%まで回復してたんですね。

ところが4月は81.40%まで下落してます。一旦は回復の傾向が見られていましたが、おそらく新型コロナの影響が出始めたんでしょう。先ほどの803億円の損失はあくまで3月までのもの。4月以降のコロナの影響はこれからです。相当マズいことになりそうです。

外部からの出資

正直言って、レオパレス21の自力での回復はもう無理っぽいですね。日経の記事でも「外部からの出資を募るしかない」と、ある証券会社のアナリストの見立てを載せていました。物言う株主が同社株の44%を保有しているため、他者が手を出せないとも書いてます。

続報で1000人の希望退職者を募ると伝えられましたが、最後はメインバンクがどう考えるか。ですかね。りそな銀行も関連するローンを相当抱えているようですし、どう判断するんでしょう。時間はあまり残されてません。

アルヒ アプラス 不動産融資書類改ざんに関与せず

3/31にはアルヒが、そして4/1にはアプラスが、それぞれ設置していた調査委員会の調査結果を公表しました。投資用マンションの仲介案件において、融資のための審査書類が改ざんされていた問題です。両社の調査委員会は連携して調査を進めていたようです。

調査結果の概要

アルヒのフランチャイズ店舗の社員が借入希望者の書類を偽造・改ざんしたり、借入希望者や不動産事業者に対して申込書に虚偽の記載を行うよう指示したりした、という事実は検出されなかった。ということです。

一方アプラスの方はというと、、、。収入証明書の改ざんが行われたと認定された案件が24件あったものの、当社グループの役職員の関与については、示唆または黙認を含め、そのような事実は認められなかったと。

また、不動産の評価についても、第三者評価機関の不動産評価がアプラス社内で改ざんされるなどの不正や、第三者評価機関によって不当な不動産評価がなされたものは認められなかった。という内容となっています。

それでは誰が?

ということで、24件見付かった収入証明書改ざんという事実ですが、これらはいずれも「収入証明書が不動産事業者からからアルヒに提供されるよりも前の段階で生じたもの」ということになっています。つまり、不動産事業者が改ざん等をしていたということですね。

アプラスの特別調査委員会の報告書では、不動産事業者のうち1社(報告書ではG社)が改ざんの事実を認める調査報告書を提出してきた、という記述があります。調査報告書を提出してくるあたり、そこそこの規模の不動産事業者のようです。次はこの会社に飛び火するんでしょうか。

アルヒもアプラスも「関与してなかった」かもしれませんが、軽くスルーさせちゃう業務フローが不動産事業者に受け入れられ、商売が好調だったわけで。。。法令等の違反はしていないけど、法令違反覚悟で突っ走る事業者に絶好の抜け道を与えていたことは紛れもない事実です。

アルヒ 融資審査資料の改ざん 不正はワンルームマンションへ

フラット35の取扱い最大手のアルヒ、投資用マンション融資をめぐる同社の仲介案件で、借入希望者の審査資料が改ざんされていたことが日本経済新聞で伝えられました。このニュースを受け同社株は一時ストップ安となってました(市場全体も大きく下げてますが)。

昨年はフラット35で

何とも怪しげな会社だとは思っていましたが、そうですかぁ、やっぱり。昨年8月、住宅金融支援機構のフラット35不正利用事件では、50件の不正利用があったことが判明。ただ、同社が主体となって不正を行った事実はない、ということで何となく終わってしまいました。

そして今回は、同社が扱う「アプラス投資用マンションローン」です。日経では借入希望者の少なくとも10人以上が、年収や職業などが改ざんされていた、と伝えています。さらに日経では同社コーポレートコミュニケーション部からの回答として「事実関係を把握している。アルヒは取り次ぎをするだけで審査には関わらない。審査、融資実行、債権の管理はアプラスが担っている」とまで書いてます。

アプラスは新生銀行グループのカードローン会社。アルヒはアプラスに取り次ぐ格好ではありますが、彼らはどれくらいの取次手数料もらってるんでしょうね。

アルヒの反応

アルヒはいち早く反応。ホームページ上で「弊社のフランチャイズ店舗が主体となり不正を行った、あるいは審査書類が改ざんされたという事実は現段階で確認されていません」と否定しています。日経の記事にある「事実関係を把握している」という部分と食い違ってますね。

アプラスもほぼ同様の反応で、改ざんされていたという認識がなかったというもの。じゃぁ、誰が書類を改ざんして審査を通したんでしょう。日経の言うようにアルヒのフランチャイズ店なのか、その手前の不動産業者なのか。

日経も指摘していましたが、投資用不動産のサブリース契約、不正行為の対象がアパート・ローンからワンルームのローンへと流れていってる気配はありますね。一件ずつは小粒ですが、アルヒ以外にも、意外に広がりを見せるのかもしれません。

国土交通省 サブリースの実態調査

7/3 国土交通省は、「近年のサブリース契約における賃貸住宅管理業者と家主との間での家賃保証を巡るトラブル等を踏まえ、多様化しているトラブルの実態を正確に把握し、賃貸住宅管理業の適正化につなげるための調査を実施する」と公表しました。

調査の概要

賃貸住宅管理業者の事業形態や管理業務の契約状況等を詳細に把握し、賃貸住宅管理業の現状や課題を検証したうえで、賃貸住宅管理業者登録制度における未登録業者の登録促進や登録制度の見直しなど、賃貸住宅管理業の適正化につなげることを目的としているそうです。

また、賃貸住宅管理業者と家主および入居者との間のトラブル実態等を把握するための調査も、順次、実施する予定としています。こちらは「順次」と言ってますから、一斉調査で見えてきた事案ごとに、個別調査を実施していくという意味でしょうね。

 【調査対象者】   約11,000業者(登録制度に未登録の業者も含む)
 【調査方法】    郵送による書面調査およびインターネットによるWeb調査
 【調査機関】    令和元年7月5日(金)~令和元年7月26日(金)

先行した金融庁の調査

サブリースの実態解明に向けた動きとしては金融庁が先行しました。そりゃそうですよね、サブリースショックみたいなのが起きると、公益性の面からも大きく不良債権を抱え込む可能性のある金融機関をまずは調査・把握しておきたいところです。

昨年10月~11月にかけて、121の銀行、261の信用金庫、148の信用組合に対してアンケート調査が行われ、今年3月には調査結果報告書を公表しています。ここでは調査結果については触れませんが、この調査により金融庁は各銀行の実態を把握し、さらにその先に居る賃貸住宅管理業者についてもある程度の情報を収集できていると思われます。

報告書の最後には、「当庁の問題意識を幅広く発信していくとともに、引き続き関係行政機関と必要な連携を実施していく」と書かれており、その連携先が国土交通省になるわけですね。

調査対象多過ぎ

当ブログでもサブリースについては何度か取り上げてきましたが、国土交通省としてはこれといった動きが見られませんでしたね。これまではオーナーや入居者への注意喚起といったレベルの情報発信程度です。やっと本格的な調査ということです。

しかし、11,000業者って多過ぎです。金融庁の相手はせいぜい500業者でした。いやぁ、大変だと思いますが、国交省、頑張ってください。しかし、この調査と、続く個別業者の調査、本気でやったら悪質な業者どんだけ出てくるんだろうか。

スルガ銀行再建策

4/10 日本経済新聞でスルガ銀行の再建策について報道がありました。りそなHD、SBIHD、新生銀行の3金融機関に加え、なぜか家電量販店のノジマが支援に名乗りを上げているんだそうです(ノジマの本社は横浜で、神奈川、静岡で約100店舗展開してます)。また、例によって「複数の関係者によると・・・」という記事でして、ソースがはっきりしませんが、おそらく情報の多くが金融庁関係者からリークしているような感じです。

金融庁のプラン

記事中に「株価が500円強まで低下し、時価総額は1200憶円、割安感が出たため、金融庁も2018年度内には決まるだろうと見ていた」などと書かれています。金融庁としては、資本提携や資本参加といった形で、いずれかの金融グループ傘下に収まることを期待していたと思います。

ところが、本命と思われていたりそなHDは、あくまで資本提携ではなく業務提携にこだわったとか。まぁ、当のりそなHDにしても、先日書いたように、自行におけるレオパレス21絡みの不良債権化問題等もあり、スルガ銀行の救済どころではないんでしょうね。ただ、今後のサブリースショックの破壊力次第では、2行一緒にしておいて、最終的に公的資金の注入なんていう大技もありかもしれません。二度とそんな光景は見たくないんですけど。

4陣営の見立て・思惑

記事を読んでいて少し気になることが。「個人に強いスルガ銀行の顧客基盤を使えば相乗効果が出る可能性がある」というSBIの見立てです。いや、微妙な書き方ですが、この見立ては日経によるものですかね。いずれにしても、ここでいう「個人に強い」とか「顧客基盤」って、幻想に過ぎないですからね。

他にも、不祥事後も貸出金利回りが3.35%だとか、実質業務純益が423憶円で、ライバルの静岡銀行を上回るなどという見立てもあります。これらも決して将来のスルガ銀行を表したものではありません。

投資用不動産向け融資の多くが不正な融資であり、過去数年間、地銀の中の優等生と言われてきた、その営業力は虚構だったわけです。加えてこうした不正融資の餌食になった顧客は少なからず同行から離反していくでしょう。顧客基盤も大きく傷ついているはずです。

スルガ銀行は十分な引当金を積んだとみられているようですが、これもあくまで不正である可能性が高い融資分だと思われます。それ以外の投資用不動産に対する融資も(たとえ不正がなかった案件だとしても)、サブリースショックの規模次第では不良債権化する恐れはあると思われます。こんなことも含めてですが、4陣営ともに、やや見立てが甘いように感じます。不良債権処理の規模等の精査が進むと、まだまだ、このお話二転三転ありそうですね。