株式会社アイ・テック キックバックの第三者調査委員会の調査結果を公表

アイ・テックは1/18、「第三者調査委員会の調査報告書の受領及び公表に関するお知らせ」を公表しました。昨年7月に公表された役員と従業員が結託して取引先から外注費のキックバックを受けていたという事案でした。調査にちょうど半年を要しましたね。

アイ・テック

アイ・テックは鋼材の販売・加工および鉄骨工事請負を主体とする鉄鋼専門商社でした。静岡市に本社を置く東証ジャスダックに上場する企業です。昨年7月からキックバックの調査をはじめ、9月に中間報告を公表していました。

調査結果

基本的には中間報告から大きな変化はなかったようです。2013年4月から2021年6月に至るまで、取締役兼副支社長の廣澤浩一氏(調査報告書でも実名なので実名を書いています)、建築事業部長、工務部長が結託して、鉄骨工事請負の現場施工者からキックバックを受けていたということです。

工事費用の過剰支払総額は、680,800千円。現場施工業者より受領したキックバックの総額は278,300千円ということで、これも中間報告時点の数字と一緒。

結託した3人

報告書では「関与者の人的関係」という記述があります。結託した3人はいずれも中途入社なんですが、前職において3人とも同じ会社に勤務していたといいます。上司・部下の関係だったそうです。なんだかよく見る光景ですね。

他社から中途入社した人物が、紹介で昔の同僚を引き入れる。新しい会社に対するロイヤリティなんかありゃしませんし、多少好き勝手やって上手くいかなくてもまた転職すればいいか、、、みたいなノリの奴ら。kuniもサラリーマン時代よく見てきました。取締役の不正行為の裏に、こんな背景があったんですね。

株式会社 アイ・テック 四半期報告書の提出期限延長申請

株式会社 アイ・テックは8/11、「2022年3月期第1四半期報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出に関するお知らせ」を公表しました。7/26に公表した役員及び従業員による不正行為(キックバック)により、決算が締められない状況というわけですね。

新たな情報

今回の開示では新たな情報が2点ありました。まず、7/1に同社東京支社に広島地方検察庁が家宅捜索に入っていたという事実。同社の取引先の法人税法違反の捜査で東京支社が浮かんできたということですね。

既に公表されていた、同社役員及び従業員が取引先に対して外注費を過剰に支払い、キックバックを受けていたという嫌疑。今回の開示では、このキックバックが複数の取引先との関係においても、同様に行われていた可能性があるとしています。

新たな情報はこんなところです。第三者調査委員会の調査や会計監査人による検証や追加監査手続、過年度の決算数値の確定など、数週間の時間が必要と見込んでおり、四半期報告書の法定期限内の提出は困難であると判断したようです。

渦中の役員

静岡市に本社を置くアイ・テック。にもかかわらず東京支社に家宅捜索ということになると、やはり東京支社で事件が発生してるんでしょうね。同社役員の一覧を見ると、常務取締役東京支社長という方と、取締役東京支社副支社長という方がいらっしゃるようです。

常務取締役東京支社長は今年6月に就任されているのに対し、取締役東京支社副支社長は就任が2011年6月。10年にわたり同じポストというのは少々気になります。

キックバック 丸井グループ部長 6500万円着服

マルイは良い会社だ、なんて書いたのもつかの間、グループ会社のメンテナンス部長が下請け業者に水増し請求させてキックバック、6500万円を着服して逮捕されるという事件が発生しました。着服した資金は株取引に充てたとみられているとのこと。

事件の概要を整理

逮捕されたのは丸井グループの施設管理会社「マルイファシリティーズ」のメンテナンス部長。逮捕容疑は、店舗の照明をLEDに変更する工事をめぐり、下請けの工事会社に水増しした見積書を作成させ、マルイファシリティーズに提出。同社から過大な工事費を支出させ、7700万円を詐取したというもの。

日経の記事などはやや錯綜した報道になっていましたが、この事件3つの金額が出てきています。1億3000万円、7700万円、6500万円。少し整理しておきましょう。水増しすることにより、マルイファシリティーズが余分に払わされた金額が、2013年10月から2014年6月の間で7700万円。この期間以外にも同様の手口で詐取されていて、合計で1億3000万円ということのようです。

そのうちの6500万円を容疑者が着服しているといいますから、あともう6500万円の行方が分かりません。報道によっては、1億3000万円を詐取した金額としてるところもあれば、業者に発注した金額と伝えているところ(日経)もあります。まだ混乱してますね。

一番わかりやすいのは、容疑者に協力した下請け業者側の担当者が、山分けで6500万円を手にしているというシナリオですね。もう少し捜査、報道が進むのを待ちましょう。

発覚の端緒

この件、どのようにして発覚に至ったんでしょう。この手の業者との癒着みたいな関係は、内部通報により発覚というパターンが多いんですね。丸井グループは「丸井グループホットライン」という、取引先にも開放された内部通報制度を設けていて、社内に加えて社外の弁護士事務所にも窓口を設けているようです。WCMS(内部通報制度認証)はまだみたいですが。

今回の事件、メンテナンス部長は背任罪(刑法247条)の対象になり得るとして、社内的には懲戒解雇ということでしょうね。残るはやはり、下請け業者側へ損害賠償請求・・・といった展開になっていくのかが注目されます。